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【レビュー】『最後はなぜかうまくいくイタリア人』に学ぶイタリア式人生の楽しみ方

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話題の一冊を読んでみた!

イタリアのことが好きなら、きっと一度は聞いたことがあるかもしれない、『最後はなぜかうまくいくイタリア人』という一冊。イタリア人に対して何となくもっているイメージの謎を、見事に解説してくれると、Amazonのレビューでも人気が高かった本。

やっとこさ読み終えた私が、その魅力に迫ってみたいと思います。

出会ったキッカケ~購入まで

この本が発売されたのは2015年。発売当初から非常に気になっていたものの、イタリア・ローマへの留学準備や、帰国後の就職活動などもあり、なかなか手を出せずにいました。また、単行本は一冊1,500円と学生にはややお高かったのも正直なところです。

そんな折、ふとAmazonを眺めていると、なんと2018年1月に文庫本が発売されているではありませんか!お値段も約半分の800円。ローマから帰国後、就職活動等を経て、すっかりイタリアらしさを失っていた私。「久しぶりにイタリアのことでも考えてストレス解消するか~!」と考え、ポチっと購入しました。

本の内容

著者紹介

この本の著者は、宮嶋勲氏。東京大学経済学部を卒業後、1983-89年までローマの新聞社で勤務、その後はイタリアのワインと食について執筆活動を行う、稀有な経験をされてこられた方です。2014年にはイタリア文化への貢献により、イタリアの星勲章・コンメンダトーレ章を大統領より受賞されました。また宮嶋氏のこれまでの活動拠点は、ローマなどの主に中部・南イタリアにあるようです。云わば私の大大大先輩です。

※星勲章…伊:Ordine della Stella d'Italia。イタリアと他国間の友好関係や協力を推進し、海外で国威を保護・発展させた者に贈られる勲章。

概要

この本を私なりの言葉で解釈するならば「イタリア人の国民性に迫る上で、一つの重要な視点を提示する本」と考えております。私たちが考えるイタリアのイメージというのは、ある程度凝り固まったものであるかもしれません。ですが、それ以外の側面も間違いなく存在しているのです。

「食べる、歌う、愛する」に象徴されるように、イタリア人は、怠け者で、働かず、女性を追いかけて、歌を歌って気楽に暮らしているように思われがちである。だが一方で、イタリアはEUの中核を担う経済大国であり、ファッション、デザイン、車、農業、食品などの分野で世界をリードする製品を生み出している。単なる怠け者大国ではないのだ。

ーはじめに(p13)ー

イタリア人は、日本人とは非常に異なる性格を持った人々だと、私は思っています。ですが、それを具体的に言葉にすると難しい。また、その性格が生まれたのはどうしてなのか、考えるともっと難しい。この書籍の中では、宮嶋氏がそれを丁寧に説明してくれています。

この書は私が痛い目にあい続けた中から学んだイタリア人の特性、イタリア流仕事のやり方の特徴などをまとめたものである。22歳までイタリアとまったく縁のなかった日本人が関係を持つようになり、ボコボコにされながら身につけた、生きていくための知恵と思っていただければ幸いである。

ーはじめに(p15)-

ユーモアたっぷりな「はじめに」ですね。

特徴①:あるある話がたっぷり

1つ目の特徴は「あるある話がたっぷり」です。イタリア人の友人がいたり、イタリアに住んだことのある方なら、共感できるエピソードがたくさんのページにちりばめられています。読みながら「うわ、めっちゃ分かる!」と思ってばかりでした。

イタリア人にとって、アポの時間はあくまで数値目標である。…「この数字を目指して頑張ってみます」といった感じだ。だから「夕食20時」と言われれば、「20時に向けて頑張ってくれているけれど、おそらく20時半~21時ごろだろうな」と読めばいいのである。

ー1.仕事ールーズなのになぜか結果は出る秘密(p33)ー

1年間の留学の初期、例えば1.2か月目までは、時間通りに準備をしては損をしたことが何十回とありました。「ローマ・テルミニ駅に夜8時に集合ね」と示し合わせたのに、結局9時まで集合できなかったこと、「夜10時に迎えに行くから身支度しといて」と言われて家で着替えて待っていてもなかなか来ず、最終的に11時過ぎにやってきたこと、などどれも懐かしくなります。

複数の仕事や事案を並行して同時進行させると作業効率があがり、「段取りがいい」「要領がいい」と褒められる。しかし、イタリア人はこれが苦手である。ひとつずつ作業を進めていくことを好み、複数のことを一度に依頼すると、混乱する人が多い。

ー1.仕事ールーズなのになぜか結果は出る秘密(p63)ー

宮嶋氏はご自身の経験から、具体的にワイナリーでの取材の例を挙げていらっしゃいました。事前に段取りを説明して効率よく取材しようとするものの、なかなかオーナーは理解してくれないのです。

先々のことを考えるというよりは、目の前のことに精一杯やるタイプのイタリア人。一気に色んなことを言われても、理解が追い付かないようです。私などはすぐ計画をして効率的に動こうとしてしまうので、仲良しのルーカと遊びに行ったり、旅行したりする時も「次は何する?」とか「明日はどこ行く?」だとか、聞いてしまいます。すると彼は「まぁ、あとで考えようよ。」とか「ちょっと様子見よう」とか言って、あまり話が進みません。

こんな感じで、イタリアにいたことのある人なら「あるある!」となるし、そうでない人なら「そうなんだ~」と驚くはずです。

特徴②:非常に鋭い指摘も見逃せない

この『最後はなぜかうまくいくイタリア人』には、章の合間にコラムが挟まっています。タイトルは「見習ってはいけないイタリア」。先ほどのあるある話とは打って変わって、30年来のイタリアのプロだからこそ分かる、宮嶋氏の独自視点から、イタリアの影の部分を知ることができます。

イタリア人が著しく公共心に欠けるということは、よく指摘される。強いコネ社会で、自分達の仲間とみなしたグループの利益は必死で守ろうとするが、それより大きな組織(市、県、イタリア国家)を、自分のものとして認識できないのである。だから、自分の属するグループの外の事案に関しては、…(中略)…何をしても構わないし、罪の意識もおぼえないということだ。

ー見習ってはいけないイタリア①(p74)ー

イタリア人はよく、「イタリア人であることよりも地方(ローマ・フィレンツェ・ミラノ等)人であることの方が重視している」とされます。国家への帰属意識は日本と比べてもかなり低いようです。諸説ありますが「他国から繰り返し侵略を受け続けた歴史」や「ファシズム時代への反省」が根底にあるのではないかとされています。

他にも「あまりにも自分にも他人にも寛容すぎるために事態が改善されない問題」や「規則が規則として機能してない問題」など、とても特徴的なエピソードが記述されています。

また、4章・食事の章では、イタリアにおいてどうしても食事時間が長くなってしまう背景について触れた後、非常に鋭い言葉が飛び出します。

「イタリアでもフランスでも、ヨーロッパは余裕のある成熟した社会なので、人はゆっくりと時間をかけて食事を楽しんでいます。日本のようにがつがつと急いで食べるといったみっともない真似はやめて、時間をかけて豊かな食事を楽しみましょう」的な浅薄な文化論を展開する人がいるが、それには大いに異議を申し立てたい。

ー4.食事ー食卓でのふるまいは、商談以上に難しい(p183-184)ー

非常におだやかに記述されてきた宮嶋氏が、「浅薄な文化論」や「大いに異議」という少し強めの言葉を使われていることに、印象付けられました。

確かに振り返ってみれば、私の両親が私のホームステイ先に来て、一緒にランチを食べた時、2人はみんなの食事のスピードに驚いていました。特に家族の食卓では、この傾向は強くなるのではないかと思っています。

私自身もこの記事を書きながら、BUONO!ITALIAが浅はかな文化論を語るサイトになっていないか、自己反省しなければならない、と感じました。

特徴③:独断と偏見が面白すぎる!

この本の最終章である5章には「独断と偏見で考えるイタリア」が設けられています。イタリア人同士の会話ではしばしば「俺の地元が一番よくて、お前の地元なんてダメだ」的な、そばで聞いていて笑ってしまうような煽り合いが発生します。

ここまでは、あくまでも客観的にイタリア人を推察されてきた宮嶋氏が、そんな煽り合いに参戦して、各州の特徴を教えてくれます。

ピエモンテの特徴を挙げろといわれると、それは「地味」なことだろう。

ー5.独断と偏見で考えるイタリア(p205)ー

典型的なミラノ人のモラルは、「一生懸命働く。たくさん稼ぐ。気前よく使う。そして、金を払うのだからそれに見合ったサービスを要求する」というものである。

ー5.独断と偏見で考えるイタリア(p210)ー

ナポリで車を運転していて赤信号で止まると、うしろからクラクションを鳴らされる。…(中略)…規則を守るという意識は一切ない。

ー5.独断と偏見で考えるイタリア(p218)ー

どの節を読んでいても、思わず笑ってしまうようなものばかりです。イタリアのことをそんなに知らない人ほど「え!そうなの?!」と驚き、笑い、楽しめる章だと思います。

読み終えて

就活の面接やインターンシップやエントリーシートの合間に読んでいたため、面白い内容ではありながらも、一気読みせずにゆっくり読み通しました。

読み終えた感想は「また彼らに会いたい」というシンプルなものでした。というのも、宮嶋氏が挙げたエピソードの多くが、私自身のローマにおけるたくさんの友人の行動と一致して、過去がどうしても懐かしくなってしまったのです。

それと同時に、まだまだ知らないイタリアもあるんだ、ということを学びました。留学をして「俺はイタリアのことなら何でも知ってる」風を今後も吹かせないためにも、自分のイタリアへの解釈をブラッシュアップできた一冊でした。

どんな人に読んで欲しい?

これは、私が想定する者であり、宮嶋氏が想定されたであろう読者とは異なる可能性が高いことを、ご容赦ください。

私が、この本を読んで欲しい人の特徴は3つです。

  • イタリアに留学または在住経験のある人
  • イタリアのことを何となくしか知らないけど、とりあえず好きな人(こんな人、多いんじゃないでしょうか!)
  • 最近思い悩むことがある人

誰が読んだとしても、これまでのイタリア、もしくは自分の人生を振り返るための素晴らしい本であることは間違いありません。

関連書籍

10皿でわかるイタリア料理

宮嶋氏の書いたイタリア料理の解説本。誰もが知っている有名なイタリア料理10皿をピックアップし、それらの歴史や誕生背景などを知りながら、イタリア料理のみならず、イタリアという国自体を紐解いていきます。

日本人が知りたいイタリア人の当たり前

イタリア人の目線で書かれたイタリア人のこと。日本語とイタリア語両方で記述がなされているので、参考書としてもピッタリな一冊。

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  • この記事を書いた人

ゆうさん

『BUONO!ITALIA』の代表をしています。 ローマ・ラ・サピエンツァ大学に1年間留学。シチリア生まれのマンマが牛耳る大家族にホームステイをし、イタリアの様々な側面に触れる。 現在は、イタリアの国民性と中小企業経営について卒論研究中。主な執筆記事は、社会問題、旅行、カルチョ、ポップ・ミュージックなど。

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