興味本位では絶対行かないで。ローマで危険とされる5つの地区

興味本位では絶対行かないで。ローマで危険とされる5つの地区

ゆうさん

学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

ローマでのスリやひったくりなどの被害は、年々増加しています。一般的にそれには、貧困層の増加や移民・難民の流入などの原因が挙げられています。

私は1年間のローマ留学中、幸いにもスリに遭うことはありませんでしたが、それでも私の友人で何人も被害に遭った人を知っています。彼らの大半は電車やバス、観光地などのいわゆる人が密集する場所で、そうした被害を受けています。

では、私たちが訪れないような場所、例えば郊外や住宅街も含めた時に、ローマで特に危険な地域とはどこになるのでしょうか。この記事では、私の経験、現地メディアのサイト・書籍、友人の声などを参考に、5つを取り上げてみました。

この記事を読む前に

残念ながら、私はこの記事で紹介する全ての地域を訪れたわけではありません。そのためいくつは現地メディアの記事やローマ在住の友人の意見を反映させています。少なくとも、危険だという声が多く挙がるということは、決して安全な地域というわけではないのでしょう。

ただ、実際に目で見たり、そこを歩いたり、住んでみたりしないと分からないことが多くあるのは事実です。例えば、ローマの友人に「世界一危険だから絶対行かない方がいい。やめとけ」と言われたナポリは、危険な区域を避ければ、全く危険を感じることはありませんでした。

危険なものは危険かもしれません。ですが、あまりにも敏感になり過剰に反応するのも良くないと思います。この記事で紹介する地域に関しても、あくまでも「私が見たものや聞いたもの」という主観によって書かれているということをお忘れなく。

ローマで最も危険と言われる5つの地区

1.エスクイリーノ

2014年にローマ市民を対象として行われたアンケートによれば、彼らのうちの13.8%が、ここをローマで最も治安の悪い場所として選びました(もちろん1位)。ローマの7丘の1つにも数えられるこのエスクイリーノ(Esquilino)は、コロッセオの裏手すぐにあるコッレ・オッピオ公園やドムス・アウレア、さらにはサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂などの観光客が訪れることの多い地域全体のことを指しています。

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂

テルミニ駅の南側のエスクイリーノやヴィットリオ・エマヌエーレなどの地区は、移民・不法労働者が非常に多く、特に夜のコッレ・オッピオ公園周辺は何ともいえない雰囲気があり、あまり訪れたくありません。ちなみに、落ちているゴミの多さも市街地とはくらべものにならないほどでした。

昼間はほぼ危険を感じることはありません。夜に近くを通る方は注意されたし。

2.トル・ベッラ・モナカ

その物々しい雰囲気から、ローマを舞台とする映画や小説などにもしばしば登場する地区。サンドローネ・ダツィエーリ作のミステリー小説『パードレはそこにいる』では、主人公ダンテの協力者でギャングの一味サンティアゴが住む場所として登場し、その異様な雰囲気は文面からもひしひしと伝わってきます...。

また、日本の原作をもとにして作られた映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』では、主人公エンツォの住む地域がやはりこのトル・ベッラ・モナカ(Tor Bella Monaca)で、劣悪な住環境がリアルに描かれています。

一言で表すのであれば、スラム街で、犯罪発生率もローマNo.1。地下鉄C線沿線の、この地域を普段私たちが訪れることはまずないとは思いますが、興味本位で行くのだけは避けた方が良いでしょう。

3.サン・バジリオ

Googleで検索をかけると、怪しい落書きがたくさん描かれた家が立ち並んでいることがお分かりいただけると思います。一般的に、ローマ東部や北東部は非常に治安が悪く危険と言われ、サン・バジリオ(San Basilio)もその例外ではありません。

http://www.dire.it

サン・バジリオは昔も今も労働者が多く住む住宅街であることは変わりありません。唯一変わったのが仕事がなくなったこと。彼らの息子・孫世代の仕事がなくなり、彼らはドラッグなどに手を染めるように。夜になると多くのバールが店を閉めてしまいます。それは、ドラッグや殺人、強盗などの面倒ごとに巻き込まれたくないから。

地元住民でも、人がいない通りはあまり歩きたくないほどだとか。治安の悪化と貧困、国家の経済状況は、切っても切れない関係にあります。

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4.コルヴィアーレ

1975-82年にかけて建築された、庶民向けの居住区であるコルヴィアーレ(Corviale)。先ほどのランキングでは、11.2%の票を獲得して、全体の約3位の危険度とされていますが、実際はそれほど危険すぎる場所ではありません。実際車で通ってみると、高級な家を持ち、裕福な暮らしを送る人々も見かけました。

ですが、本来はテナントが入るための団地の一階は違法な施設になっていたり、誰も人がいない教会が放置されそこがたまり場になっていたりと、問題は山積み。ですがそれでも住民たちは、それほど恐れている様子もなく、それぞれの生をめいっぱい生き抜いているように感じられます。

ある女性が、「記者や政治家はこの地区のことを悪く言い過ぎているけど、それはみんなウソだ。」と身分を隠して取材をしていた記者に対しても訴えていました(記事はこちら)。実際コルヴィアーレを扱う記事には、実際には町は美しい側面もあると結論付けたものがいくつかあったのが印象的でした。

5.プラーティ・フィスカーリ

他の地区はドラッグや犯罪などが頻発するとして取り上げましたが、このプラーティ・フィスカーリ(Prati Fiscali)に関しては、道端での売春・買春が横行している地区として最も有名です。

イタリアでは比較的広い道路の道端に女性がほぼ裸、もしくはきわどい格好で立っていることがあります。もし好みの女性がいた場合、男性は値段交渉を行って彼女たちを買う、というわけです。女性の年齢はかなり幅広く、10代―50代くらいまでといったところでしょうか。

こうした女性は私が住んでいたエウル地区の大通り沿いにも多くおり、非常に印象に残っています。それが特に深刻化しているのがプラーティ・フィスカーリというわけです。

住民たちがローマ市に「買春廃絶デモ」などを通じて訴えかけたりもしていますが、ローマにはただでさえ課題が山積されています。こうした乱れが黙認され続ける状況は、いつまで続くのでしょうか。

さいごに

いかがでしたか?エスクイリーノ以外は私たち観光客が立ち寄るような場所ではありませんが、確かにこうした、‟外部の人間にとって”危険な地域が存在しているようです。

ローマと一口にいっても、あまりにも広く、危険だ・安全だなどと簡単に言い切ることはできません。ましてやここで紹介した地域に関しても同様です。これをどう考えるかは、読者の皆さんそれぞれ次第だと思います。

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