ホテル税以外にも!ヴェネツィアで"訪問税"の導入が決まり、観光客に打撃か

ホテル税以外にも!ヴェネツィアで"訪問税"の導入が決まり、観光客に打撃か

ゆうさん

学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

イタリアを代表する観光都市として、または水の都として知られるヴェネツィア。このヴェネツィアに関して、かなりインパクトのあるニュースが飛び込んできましたので、ご紹介させていただきます。

ヴェネツィアの訪問税について

国家予算案によって訪問税導入

レプブリカ紙によると、2018年12月のイタリア議会が可決した予算案にて、ヴェネツィアを訪問する観光客を対象に「訪問税」という税金を徴収することが決められました。この訪問税は、Contributo di Sbarcoといい、直訳すると「船着き税」となります。

これまでヴェネツィア滞在者は、ホテルなどの宿泊施設に宿泊する観光客のみがホテル税とも呼ばれる宿泊税を支払っていました。しかしこの訪問税は、ヴェネツィア市内に宿泊しない滞在者も支払い義務を持ちます。これは、2019年7月から導入される予定です。

ヴェネツィア市長のルイージ ・ブルニャーロ(Luigi Brugnaro)氏は、12月31日に自身のTwitterを更新し、ローマにてマッタレッラ大統領と会談した様子を公開しました。

https://twitter.com/LuigiBrugnaro/status/1079413763328131072

訪問税導入の経緯

ヴェネツィアはイタリアのみならず世界でも有数の観光地であり、本当にたくさんの観光客が訪れています。2017年のヴェネツィアの訪問者は約1,050万人でした。こうした観光客の滞在を支えるために、非常に多額の維持費がかかっています。市内を安全かつ清潔に保つための資金は、これまではヴェネツィア市民から徴収された税金を財源としてきました。

 
 
 
 
 
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またヴェネツィアは、干潟の上に杭を打ちこんでできた町です。そのため標高が非常に低く、大雨の日にはアクア・アルタ(Acqua Alta)と呼ばれる、街中に海水が入り込んでしまう現象がしばしば起きています。さらに近年では、これまで以上に地盤沈下が問題となっており、ヴェネツィアは、「あと50年後には水の下に沈んでいる」と言われるほど。

ヴェネツィアを美しい「水の都」のままで保つことは、想像以上に難しい試みなのです。維持費のために観光客から訪問税を徴収することは、ある程度の必要性を持っていると言えるかもしれません。

訪問税の金額

レプブリカ紙によると、訪問税はシーズンによって変動があるようで、具体的には2.5-10ユーロ(約300-1,200円)の間で変動するとされています。ヴェネツィアのハイシーズンといえば、2-3月にかけてのカーニヴァルのシーズンと、夏のシーズンが想定されるかと思いますので、これらの時期にヴェネツィアに訪問される方は、今後注意が必要になるかもしれません。

訪問税の支払い方法

もし訪問税を払わなければならないのであれば、どうやってそれを払うのか気になりますよね。払うのを忘れて罰金を徴収される、なんて事態は避けたいです。

レプブリカ紙によると、この訪問税の支払いは、ヴェネツィアに到着する飛行機、電車、バス、フェリーなどの交通機関の運賃に含まれる形で支払うようです。そのため私たちは、特にどこかへ行って支払ったりする必要はありません。

ただ、こうなるとシーズンによって運賃に変動が出るようになります。そのため事前に調べていた運賃と、実際に交通機関を利用した際に支払う運賃が違ってしまうことが起きるかもしれません。いずれにしても、計算が少し面倒になると思っています。

今後の展望

収入予測

レプブリカ紙やIl Nuovo Terraglioによれば、この訪問税によって得られる税収は、年間4-5,000万ユーロ(約50-60億円)に上るとしています。現在既に導入されているホテル税の収入は年間約3,000万ユーロだとされています。

訪問税が自治体の予測通りに税収を上げることができれば、ホテル税と合わせて年間約7-8,000万ユーロ(約90-100億円)。非常に大きな税収です。

観光客には打撃?

当然ながら、私たち観光客にとっては手痛い出費になるでしょう。特に10ユーロというのはなかなか高く、ホテル税と合わせたらかなりの金額になってしまいます。特にヴェネツィアは、何をするにも物価が高くて有名で、トラットリアでランチをするだけでも20ユーロくらいはかかってしまうほど。

しかし、これからずっと先まで、美しいヴェネツィアを守り続けていくためには、やはり観光客の一層の協力が必要とされているのかもしれません。

チンクエテッレも導入するかも?

先ほど述べたように、こうした動きはイタリアの島々では見られてきましたが、本土にはほとんどありませんでした。しかしIl Giornale紙は、イタリア北部・リグーリア州の一大観光地である、チンクエテッレも、こうした税を導入する可能性があると報じています。

チンクエテッレを形成するリオマッジョーレの市長は、このヴェネツィアの動きを受け、同市においても同様の税金を徴収するようにしたい考えを明らかにしています。チンクエテッレは国立公園にも指定される非常に自然豊かな場所ですが、1997年の世界遺産登録を受け、世界中からやってくる多すぎる観光客が問題となっていました。

さいごに

いかがでしたか?ヴェネツィアが訪問税を導入するという、非常にタイムリーなニュースについてご紹介いたしました。イタリアを観光客として訪れる我々にとっては、こうした税金の有無は大きな意味を持ってきます。

今後もまた新しい動き等がありましたら、お伝えしていければと思っております。

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学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

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