スペインだけじゃない!イタリア・イヴレアで投げまくりフェス[オレンジ投げ合戦]とは

スペインだけじゃない!イタリア・イヴレアで投げまくりフェス[オレンジ投げ合戦]とは

ゆうさん

学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

イタリアのオレンジ投げ合戦

イタリア北部・イヴレアでは、華やかなカーニヴァルの期間最後の3日間、ひたすらオレンジを投げまくって闘います。オレンジ投げというと、スペインで開催されるオレンジ投げやトマト投げが有名ですが、イタリアにも似たようなお祭りがあることは知られていません。

本記事では、祭りのルールやオレンジを投げる理由、歴史や動画などでこのお祭りを紹介してみたいと思います。

イタリア・イヴレアで投げまくりフェス[オレンジ投げ合戦]とは

オレンジ投げ合戦の特徴

オレンジ投げ合戦は、ただオレンジを投げまくるだけではなく、しっかりとしたルールに則っています。合戦と呼ばれることから想像できるように、いくつかのグループが闘い、その武器がオレンジなのです。

居住地ごとに9つのグループに分かれた民主戦士たちは、チームごとに揃いの衣装を身にまとっています。そこへトラックに乗って現れるのが完全防備の「敵」である貴族たち。

トラックに満載され、広場にも山積みされたオレンジは、合戦開始の合図と戦士たちの雄叫びと共に飛び交います!

オレンジは普通に皮が厚く硬いため、頭や目、鼻に当たればかなりのダメージを負いますし、血だらけになりながら戦う戦士たちがあちこちで誕生します。そして、路上に叩きつけられたオレンジのせいで町はオレンジ色に染まり、オレンジの香りでむせかえりそうです。

参加者以外はネットが張られた「安全地帯」に逃げ込んで、合戦の様子を観戦します。ネット越しであってもかなりのオレンジを浴びてしまう迫力です。

オレンジ投げ合戦の開催会場・開催日

場所はイタリアのトリノから電車で1時間ほどの小さな村イヴレア。バス便もありますが、通常は本数が少なく、カーニヴァル中は増便されても大変な混雑となることが予想されます。

また、小さな村だけに宿泊施設が限られ、カーニヴァル中の宿の確保はかなり困難です。開催日は1月から2月の約2週間。日程は毎年変わるため、公式ホームページで確認を。

オレンジ投げ合戦の歴史

では、このオレンジ合戦はなぜ行われるようになったのでしょう?この合戦の歴史には、イヴレア地方を牛耳っていた暴君領主と、見初められた村の娘、そして民衆が登場します。

中世、この地域の独裁者の魔の手が伸びた村娘と民衆とが独裁者や貴族たちを追い詰め、城を破壊したという史実に基づき、暴君VS民衆のオレンジ投げ合戦が行われるのです。

オレンジ投げの前後には村娘役の女性が現れて、花やキャンディを見物客に投げ与え、勝利する民衆たちを祝福します。

古くは白インゲン豆を投げ合っていたともいわれています。中世、貧しい民衆にとって白インゲンは貴重なタンパク源でした。それを施政者たちが民衆に対して投げて施したことに由来しているという説もあります。

インゲンの次にはリンゴを投げていた時期もあるとか。リンゴはかなり痛そうですよね...。

オレンジ投げ合戦のパレード

オレンジを投げる部分ばかりが注目されていますが、本来は宗教的な祭りであり、断食に入る前のカーニヴァルです。

カーニヴァル期間中には大小いろいろなパレードが行進していきますが、その中でも目をひくのが、「粉屋の娘のパレード」でしょう。

圧政に苦しめられていたイヴレアで、粉屋の娘が、結婚初夜は花婿ではなく独裁者と過ごすという掟に反して、独裁者の首をはねて逃げ出します。それを機に民衆が立ち上がり、独裁下から抜け出して自由を取り戻したという故事をなぞったパレードです。

登場するのは、勇気ある粉屋の娘「ヴィオレッタ」、独裁者側の軍人や軍馬、民衆蜂起の英雄である騎士たち、演奏部隊など。

中世風の衣装に身を包み、音楽に合わせて行進していくだけですが、イヴレアっ子にとっては勇気と自由を象徴する特別なイベント。大きな歓声と拍手の中を「ヴィオレッタ」は満面の笑みで、軍人や騎士を演じる面々は真面目な表情で進んでいきます。

オレンジ投げ合戦のイベント

イヴレアは小さな村ですが、カーニヴァル期間中は村全体が祭り一色に染まります。村内の広場5つを使い、常になんらかのイベントが開催されているので、通りに貼られたポスターやインフォメーションセンターとなるテントや役所などでの情報収集が欠かせません。

オレンジ投げ合戦の食べ物

イヴレアのカーニヴァルは大釜で煮込まれた「ファジョーリ・グラッスィ」に始まります。

これは白インゲンを豚肉やソーセージと一緒に煮込んだ料理。その昔、貧しかったこの地域でよく食べられていたタンパク質と炭水化物の両方取りレシピです。

カーニヴァルの中心となる広場には、50kgを超えるファジョーリ・グラッスィのほか、地域の郷土料理が並べられ、参加者たちに振る舞われます。

オレンジ投げ合戦の記念品

赤い帽子。これは普通に旅人としてオレンジ投げ合戦を見に訪れたなら必需品です。祭りの最中は被って、終われば記念品として持ち帰りましょう。

カーニヴァル開催中は、通りのあちこちで真っ赤なグッズが売られています、中でも目立って人気なのが帽子。いろいろな形や素材のものがありますが、おすすめはフリジア帽。この地域の伝統的な帽子で細長い筒のような形をしています。

普段被るにはどうかとも思われる色と形ですが、カーニヴァルならこれくらいの冒険がちょうどいいでしょう。

また、赤い帽子がもっとも目立つ「傍観者」の目印ですが、マフラーやシャツなどでも、「赤」が目立てばOKです。

用意するもの

オレンジ投げ合戦では、オレンジ色のほか、白や黒色と赤色とが目に付くはず。まずオレンジ色は、言うまでもなく辺りを飛び交い、飛び散ったフルーツのオレンジが発する色です。そして、白黒色は、オレンジ合戦に参加する人たちの服装。最後に赤色は、祭りの傍観者たちの目印です。

カーニヴァル中のイブリアに足を踏み入れるなら、自分が何色の服装をするかは重要な決断であり、準備です。

また、例年オレンジ投げ合戦が開催される頃のイブリアはかなり寒いため、防寒具も必需品。ただ、参加するならもちろん、傍観者としてであっても、オレンジの飛沫を浴びてしまう可能性はかなりの高確率です。

オレンジ染みは洗濯をしても完全には落ちないので注意!

参加資格

原則として地区対抗のお祭りなので、その地区居住者が参加者対象ですが、ちゃんと抜け道はあります。

地区ごとに、外部参加者枠のようなものがあり、旅人であっても申し込むことで参加可能。参加費用と、揃いの衣装代などが必要になります。

一番の見どころ

街中に流れ、参加者の服に染み込むオレンジジュースでしょうか。

イヴレアはイタリアでも北に位置します。この辺りではオレンジは作られていません。数十万kgといわれるオレンジはシチリアからわざわざ運ばれてくるのです。

だからこそ、闘いの前に広場一杯に並べられたオレンジが詰まった木箱の行列やそれが発する爽やかな香り。そして闘いの最中に飛び交う武器としてのオレンジ。闘いの後にできあがる大量のジュース(皮・果肉入り)。

これらの浪費こそが、めったに目にすることのできない一番の見どころといえそうです。

さいごに

狂ったようにオレンジを投げまくる人々と、それをネット越しに眺める観客。お祭りというレベルを超えたダイナミックさというか、激しさというか、バカバカしさがマックスです。

小さな村の道も空気も人も年に一度オレンジに染まるこのクレイジーな数日間。参加者としてでも傍観者としてでも訪れるなら、青タンと鼻血くらいは覚悟しておいたほうがいいかもしれません。

関連記事

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

ゆうさん

学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

-トラベル全般