北イタリアといえば、ヴェネツィア、ミラノ、ジェノヴァなど見所満載の街が集まっています。書店を訪れてガイドブックに、これらの都市を取り上げていないものはないといってもよいでしょう。
そしてこれらの都市から足を延ばせば、アルプス山麓の工業都市トリノや「ロミオとジュリエット」の舞台となったヴェローナに向かうこともできます。イタリアを訪れるのであれば、一度は訪れてみたいところではないでしょうか?
今回は、これらの美しい都市を訪れつつ、隣国フランスの観光地もついでに訪れることができる国際列車テッロThelloについてご紹介します。
国際列車テッロThelloとは?
テッロThelloとはイタリア国鉄のトレニタリア(trenitalia)のフランス国内子会社です。現在は北イタリアの主要都市と、パリ、ニース、マルセイユなどの都市を結ぶ列車を運行しています。
列車が運行されている路線は以下の通りです。
- ミラノ - ジェノヴァ - ニース - マルセイユ
- パリ - ミラノ - ヴェネツィア
1の路線には通常の特急列車が運行しています。座席の雰囲気などはイタリア国内を走るイタロ(Italo)などの列車と似ています。
②の路線は夜行列車(寝台特急)で、現在はヴェネツィア→パリ行き列車とパリ→ヴェネツィア行き列車の二本が運行されています。全区間に乗車すると14時間半の長旅になります。
ミラノ-ニース間のチケットが、早割購入で約2,000円程度になる場合もあり、その安さが旅行者の間で人気になっているようです。移動時間も短く、楽に移動できるため、バスよりも快適な移動手段となりえることが大きいのでしょう。
テッロのチケットはどのように買えるの?
テッロのチケットは以下2つのサイトまたは現地駅構内の自動券売機から購入が可能です。
1.Thello公式サイト
「Thello」と検索すると一番上に表示されます。
検索結果の見出しはフランス語ですが、英語のページに切り替えることができます。
出発地と目的地、出発日と到着日、乗車人数(大人・こども)などを入力し、チケットを選択します。
グレードを選んだあとで、購入者の情報と支払情報の入力を行います。
2.Trenitaliaサイト
以前にBUONO!Italiaでもご紹介した、イタリアの鉄道会社のサイトでもテッロの列車のチケットが購入可能です。
①と同じように、出発地と到着地、利用日と時間帯、乗車人数を選びます。乗り換えを含むチケットもいくつか検索結果に表示されますが、乗り換えなしのテッロのチケットもあります。
若干ですがトレニタリアでの発売価格の方が安いように見受けられました。トレニタリアでのチケットの予約に関しては、「イタリア国鉄トレニタリア(Trenitalia)のオンライン予約方法徹底解説」の記事も参考にしてくださいね。
3.自動券売機
トレニタリアやイタロのように、駅構内の自動券売機でもテッロのチケットを購入することが可能です。自動券売機は白を基調とした淡い緑色が特徴の機械です。
パリ-ヴェネツィア間の寝台の種類はどう選ぶ?
前述したように、テッロはパリ-ヴェネツィア間でも列車が運行され、それは寝台特急のタイプになっています。この列車のチケットを購入する場合には、寝台の種類を選択しなければなりません。
今回は、トレニタリアの購入画面を参考に見ていきたいと思います。まず、寝台には以下のような種類と利用人数の上限があります。
- プレミアム寝台(Cabine Premium):1-2人
- 寝台(Cabine-lit):1-3人
- 簡易寝台(Couchette):4人/6人
加えて、各寝台の利用者の性別(男性/女性/占有)を選択する必要もあります。
つまり、上の画面において、女性の購入者が「女性のみの4人簡易寝台」を選ぶ場合は
Couchette/cuccetta 4 Femme/Donna/Woman
をプルダウンで選ぶ必要があるということです。
フランス起点の国際路線・フランス国内路線拡大の予定あり?
東洋経済オンラインの記事によれば、テッロは2020年からパリ-ブリュッセル間の高速列車の運行を予定していることが分かりました。これは同社のCEOであるロベルト・リナウド氏へのインタビューで明らかになりました。
テッロはパリ-ボルドー間の国内路線への参入も視野に入れているそうです。それが人気を博すことになれば、それ以外の路線への乗り入れも考えられます。
現在、パリ-ミラノ間では、フランス国鉄(SNCF)の高速列車TGVが1日3往復運行されています。
これだけ幅を利かせているSNCFに対して、本国への参入を考えるということは「イタリアからの殴り込みを仕掛けてやろう」ということでしょう。
テッロの親会社トレニタリアの主力車輌フレッチャ・ロッサ(Freccia Rossa)は、イタリアを訪れたことがある人なら見たことがあるかもしれません。あくまで噂のレベルではありますが、トレニタリアはこのフレッチャ・ロッサの10編成追加を企図していると言われています。
フレッチャロッサは、規格や運行方式の異なる路線にも対応できる能力(インターオペラビリティ)に適合しています。つまりイタリアのみならず、フランス、ベルギー、オランダなど欧州各国での運用が可能ということです。
以前は、落書きや遅延が多発していたことが原因で、イタリアからの国際列車は2000年代初頭まで疎んじられてきました。2010年からはそれらに対する対策の効果が表れてきたことも併せて、フランスでの事業によってそれまでのイメージを払拭できるか、真価が問われます。
フランスのリヨン駅にフレッチャ・ロッサが並ぶ日も、そう遠くないのかもしれませんね。
終わりに
いかがでしたでしょうか。ジェノヴァで王宮を、ミラノでドゥオーモを、ヴェネツィアでサン・マルコ大聖堂を、そしてパリでエッフェル塔を…。
そんな大胆な旅が簡単かつ安価にできるのがテッロの強みです。次回のイタリア旅行には、ぜひこの列車を使ってみては?
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