【語学学習にも!】イタリア版ミリオネア!? 人気クイズ番組を徹底解説

【語学学習にも!】イタリア版ミリオネア!? 人気クイズ番組を徹底解説

大学でイタリアの言語および芸術文化を専攻する傍ら、声楽も学ぶ。関心はイタリアの芸術、文学、食、モードなど幅広い。 2018年秋よりローマに留学中。

テレビで放送されているとついつい観てしまうクイズ番組。日本だけでなく、イタリアでも人気があるのをご存知でしょうか?今回はイタリア放送協会のチャンネル1、通称Rai1で毎日放送されている国民的クイズ番組、L’eredità(エレディタ)をご紹介します。

イタリア版ミリオネア!?

番組名のL’ereditàは、イタリア語で「遺産」を意味します。その名の通り、7ラウンドにも及ぶゲームを勝ち抜いた勝者には賞金が贈られる仕組み。番組のタイトル通り、各ラウンドを突破した挑戦者は敗退者の「遺産」を相続し、賞金を増やしながら次のラウンドへ進みます。

クイズの難易度によって賞金額が変わるなど、世界的に有名なクイズ番組「ミリオネア」とよく似たシステムが採用されており、日本人の私たちにも馴染みやすいシステムのクイズ番組です。

遺産相続の様子、覗いてみましょう!

2002年の放送開始から何度かリニューアルされ、各ラウンドのゲームやシステムに変更はありますが、2018年12月現在、一般の視聴者から選ばれる挑戦者は7人。18歳以上で、2015年以降のシーズンで挑戦者として出場していないこと、などの出場資格を満たせば、参加者として応募できるようです。

基本的には4択、2択、あるいは一問一答タイプのシンプルなクイズに答えていく形式ですが、システムやルールは各ラウンドで様々。

各ラウンドで共通するのは、同点の二人の挑戦者から勝者を選ぶためのScalata doppia(ダブル・クライム)。挑戦者2名が言葉の定義が示す単語を60秒以内にできるだけ多く答えていく形式で、これに勝つことができれば残れる、という仕組みです。

キャプション:正解の頭文字と文字数が示されるダブル・クライム。時間が過ぎるにつれ「L_ _G_ _ _」、「LE_G_N_」とヒントが増えるので、回答しやすくなります。

それでは早速、クイズ番組がどのように展開するのか一緒に追っていきましょう。

第1ラウンド:Gli abbinamenti (連結ゲーム)

出場者たちの紹介をしながら始まる最初のラウンド。Gli abbinamentiは2018年12月5日放送回から新しく導入されたゲーム。挑戦者はすべての問題が「職業」や「動詞」といったあるテーマに関連した10問のクイズに答えます。

10問連続で正解すればクリアとなり、ミスをしても制限時間内であれば一問目から解き直すことが可能。時間制限を過ぎるとその時点でゲームは終了となります。

このラウンドでは一人の挑戦者が脱落し、6人が第2ラウンドに進みます。

第2ラウンド:L‘una o l’altra(答えはどちら?)

その名の通り、2択のクイズに答えるラウンド。6人の挑戦者たちは1人ずつ問題に答えていき、2回のミスでラウンド敗退の危機が訪れます。ここでミスをした挑戦者は相手を指名し、生き残りのチャンスを賭けてダブル・クライムに挑戦します。

1人が敗退し、敗退者の遺産が勝ち残った挑戦者に相続されます。

第3ラウンド:I Fantastici Quattro(ファンタスティック・フォー)

5人の挑戦者で迎える第3ラウンド。ある出来事の起こった年度を4択で答えます。1920年から現代までに起こったイベントに関する知識が必要ですが、他のラウンドよりも「勘」が生きるゲームでもあります。1人の挑戦者が脱落します。

動画ではファンタスティック・フォーでミスをした挑戦者の女性が他の男性プレーヤーを指名し、ダブル・クライムに挑戦しています。

第4ラウンド:Di chi/che cosa stiamo parlando?(だれのこと?何のこと?)

その名の通り、8つのキーワードから連想できるある人物や事象を当てるラウンド。一見シンプルですが、実はシステムはやや複雑。

挑戦者たちはまず、全8問あるクイズに順番に答えていきます。実はそれぞれの問題の正解が、「だれのこと?何のこと?」ゲームのキーワードのひとつになっているという仕組み。つまり、知識があれば少ないキーワード数(=少ない問題回答数)でゲームを制することも可能。最も得点数の少ない1人の挑戦者が敗退します。

第5ラウンド:Il Triello(3人の決闘)

ここまでで挑戦者は3人に減っています。彼らが挑戦するのは分野別クイズ。挑戦者は「科学」「芸能」「動物」などの分野を選び、その分野に関連するクイズ8問に回答します。

回答の時間制限は10秒。不正解や時間切れの場合は、問題の回答権が他の挑戦者に移動します。個性豊かな挑戦者たちの得意分野を存分に発揮出来る実力主義のラウンドです。

しかし、挑戦者内でなかなか正解が出ない場合は、もともと4択である回答の選択肢が3択、2択と減っていくので、思わぬ幸運を手にする挑戦者も。逆転も起こりやすく、目の離せないラウンドだと言えるでしょう。

第6ラウンド:I calci di rigore (PK)

サッカー用語でPKを意味するこのラウンドでは、ここまで勝ち抜いた二人の挑戦者が直接対決!5つのクイズに順番に答え、先に多くの正解数を出した方が勝ち、相手の「遺産」を相続して最終ラウンドに進みます。

最終ラウンド:La Ghigliottina(ギロチン)

最終ラウンドまで残ることのでき1人の挑戦者には、形の似た単語のペアが5つ提示されます。各ペアからいずれかの単語を選び、それがここでの正解ワードであれば、これまでのラウンドで得た「遺産」を守ることができます。

一方、選んだ単語が正解ワードでなかった場合は…まさにギロチンのように「遺産」が切り捨てられていきます。ここまでは知識問題ではなく、「運」と「勘」がものを言うゲームです。

動画での1問目、この日の挑戦者アンドレアは”dono”(=贈り物、恩恵)の“buono”(=良い)の2択で“buono”を選択し見事「遺産」を守っていますが、3問目の”azione”(=行動)と”emozione”(=感情)では選択を誤り、賞金が半額にまで減ってしまいました。

5問目でさらにミスをし、賞金は当初の4分の1である45,000ユーロに。

しかし本当の勝負はここから。5ペアの単語選びを終えた後、挑戦者は正解ワードである5つの単語すべてとつなげて意味が通る1つの言葉、Parola vincente(=勝者のワード)を当てます。

この日のワードは以下5つ:

  • ”buono(=良い)“
  • ”volta(=回数)”
  • ”emozione“(=感情)
  • ”conto”(=計算)
  • ”zucchero“(=砂糖)

これらのキーワードからアンドレアが連想したのは…“volto”(=顔つき、向ける、裏返す)という言葉。しかしこの回の正解は”poco”(=少しの)。挑戦者アンドレアは残念ながら、賞金を手にすることはできませんでした。

イタリア語学習者にもオススメ?

イタリアの家庭で親しまれるL’eredità。1時間ほどのこの番組、実はイタリア語学習にも役に立つんです。

オススメ理由① 語彙力アップが狙える!

まず、クイズの正解を答えるには、言わずもがなイタリア語の語彙が必要になります。

L’ereditàに登場するクイズは、その多くがシンプルなもの。例えば、過去の出題例を見てみましょう。

Q1.Quello del dentifricio si schiaccia/歯磨き粉が入った、握ってつぶすものは?

A1. Tubetto/チューブ

Q2. Segno di chi è nato il 12 ottobre/10月12日生まれの人の星座は?

A2. Bilancia/天秤座

このように、一問一答形式の問題では、正解となるワードの定義がひとことで簡潔に示されます。ですので、イタリア語が母語ではない学習者が定義から正解を想像する力、そして反対に、物事を簡単なイタリア語で説明するスキルが鍛えられます。

制限時間が長くはないので、必ずしも簡単ではありません。しかし、ダブル・クライムの画像で既に説明したように、ヒントが与えられ流ことで答えやすくなる問題もあります。時間内に答えられずに正解を聞いて「これなら答えられた!」と少し悔しい思いをすることも、学習のモチベーションに繋がります。

また、分野に関わらず、ざまざまな語彙に触れられるのも魅力です。

オススメ理由② イタリアの文化・時事に詳しくなる!

語彙を増やすだけでなく、文化や歴史のクイズからは「イタリア人と関わるなら知っておきたい知識」に触れることができます。

ここでも出題例を見てみましょう。

Q3. Totti ha raccontato che da piccolo, quando giocava con le figurine, i giocatori della Lazio…/トッティ(ローマのサッカーチームASローマの元選手、フランチェスコ・トッティ)は子供の頃、ラツィオ(ASローマのライバルチーム)の選手が描かれたカードを…

  1. Li buttava nel caminetto/暖炉に投げ入れて遊んでいた
  2. Li attaccava a testa in giù/上下逆さま(選手の頭が下になるよう)に貼って遊んでいた

この問題の正解は⑵でした。

ASローマとラツィオの敵対関係を反映した、サッカーが盛んなイタリアならではの問題ですね。他にも政治や歴史、芸術など幅広い分野のクイズが出題されるので、友だちやホストファミリーとのコミュニケーションのきっかけになる知識を得ることができます。

どうやって観る?

L’ereditàはRAI1で毎日、18:50~20:00というスケジュールで放送されており、イタリア在住の方で、お部屋にテレビがあれば視聴できます。しかしRAIは日本のNHKと同様に国営の放送局で、受信料を払うことで視聴可能になるチャンネル。

まずはテレビのチャンネルを1に合わせて、テレビ線がRaiと契約済みか確認する必要があります。

また、イタリア在住だけどテレビがない、という方にも朗報です。RAIが提供するRAI Playというオンデマンドシステムを使えば、スマートフォンやパソコンからRAIの番組が視聴できます。

キャプション:Rai Playのメイン画面。画面上部の検索バナーに番組名“L’eredità”を入力すると、過去の放送も視聴可能。

Rai playはiPhone・アンドロイドのアプリ版もリリースされています。イタリアに留学や旅行などで滞在する際は、ぜひチェックしてみてくださいね。

また、2018年12月現在、日本からのRai playによる視聴はIPアドレスの関係から出来ないようです。ただ、最終ラウンドのLa Ghigliottinaのみ、YoutubeのRai公式チャンネルにアップロードされており、日本にいながら視聴が可能です。

終わりに

イタリア版ミリオネア、人気クイズ番組L’ereditàを紹介しました。友だちやホストファミリーと観て盛り上がるだけでなく、イタリア語の学習にもぴったりな番組ですので、ぜひお楽しみくださいね。

イタリア映画を観るには?

コロナ禍でイタリアに行けない中、文化を少しでも知りたいなら、イタリア映画を観るのが一番。

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使っているうちに初めて分かることもありますし、イタリア映画以外にも魅力的なコンテンツがどちらも揃っているため、きっとどちらかは使い続けたくなると思います。

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