ローマを旅行するなら、劇場で本場のオペラを鑑賞したい!と思っている方も多いのではないでしょうか。
チケット購入が難しそう…
何を着ていけばいいの?
そんな不安も、この記事を読めば解消します!今回は、チケット購入から座席の選び方、そして迷いがちな服装まで、ローマ在住&オペラファンの筆者が徹底解説します。
歴史は140年!ローマ・オペラ座の基本情報
ローマ・オペラ座の歴史は1880年にまで遡り、現在の姿は二度の改修を得て完成しました。オペラ座専属のオーケストラ、合唱団を持ち、今日まで多くの観客を楽しませています。
ローマが舞台のオペラ『トスカ』の初演も行われるなど、歴史的にも重要なこの歌劇場ですが、資金難により消滅の危機に瀕したこともありました。現在は製作陣に有名な映画演出家を招いたり、高級ブランドValentino監修の衣装を使うなど、オペラ・バレエの両方で話題性に富んだプログラムを上演しています。
観光エリアからのアクセスも良好。メトロA線レプッブリカ(Repubblica)駅(注:2019年5月現在、事故調査のため無期限閉鎖中)から出てすぐのところにありますが、ローマの中心、テルミニ(Termini)駅からも徒歩で10分かかりません。
オペラの国・イタリアの首都に位置する、歴史ある劇場。遺跡や観光地をめぐる観光に、この場所での優雅な時間をプラスしたいあなたに、ローマ・オペラ座での芸術鑑賞5ステップをご紹介します。
続きを見る【初心者さん向け】ドラマ顔負け!? オペラを楽しむポイント6つ
これで完璧!オペラ鑑賞ステップ
1.プログラムをチェック!
オペラ座と言っても、一年中オペラを聴けるわけではないことをご存知でしょうか?実は、オペラ公演が行われる期間、「シーズン」は秋頃に幕を開け、夏前には終わります。通常シーズン外は劇場がメンテナンスのためお休みに入り、オペラ上演は行われません。ローマでは、シーズン外の夏期には野外オペラやコンサートが上演されています。
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ローマ滞在中にオペラを観たい!それなら、まずはローマ・オペラ座のウェブサイト(英語・イタリア語)でプログラムをチェックし、気になる演目を探してみましょう。
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例えば2018/2019年のシーズンでは、イタリアオペラを代表する『リゴレット』や『椿姫』、そしてドイツ語のオペレッタ『メリー・ウィドウ』まで、演目は多岐にわたっています。人気の演目は次のシーズンで再演されることもありますが、ラインナップは毎年変わります。上演日程や出演者などの情報も出ているので、気になる演目をクリックし、詳細を確認してみましょう。
夏期に上演される野外オペラのプログラムも見ることができます。夏にローマに滞在される予定のある方は、こちらをチェックしておきましょう。
2.見やすいのはどこ?座席選び完全ガイド
観たい演目が決まったら、チケットを購入します。チケットを購入する際、選ばなければならないのが座席。
ローマ・オペラ座の総座席数は1600席ほどと、有名なミラノのスカラ座よりやや小規模。舞台を中心に、円を描くように配置された座席は、位置によってステージからの距離や見やすさが異なります。そして、良い座席ほどチケット料金が上がる、という座席のランクが存在します。
ここでは、チケット購入がよりスムーズになるよう、各座席のランクや雰囲気を解説していきます。
★★★★★ 最上級
舞台正面の平土間席 (Platea)
地上席でステージを正面から、そして近い距離から見ることができる、最も見やすい席です。通路側よりも、より舞台が見やすい中央寄りの座席の方が価格が上がります。
舞台正面のボックス席、地上〜2階 (Palchi centrali, platea/1,2 ordine)
4-6人分の席が小部屋の中にまとまったボックス席の中でも、舞台から近く、最も見やすい座席です。親しい人と一緒にボックスごとチケットを購入し、プライベートな空間で公演を楽しむことができます。後列は前列よりも価格がワンランク下がります。
★★★★ 上級
舞台横のボックス席、地上〜1階 (Palchi laterali, platea/1 ordine)
視点はやや横側からになりますが、舞台から近く見やすい座席です。後列は視界がやや遮られるため、前列よりも価格がワンランク下がります。
舞台正面のバルコニー席 (Balconata)
2階席なので舞台からはやや離れますが、正面から舞台を見ることができる座席です。後列は視界がやや遮られるため、前列よりも価格がワンランク下がります。
★★★ 中級
舞台横のボックス席、2階 (Palchi laterali, 2 ordine)
2階席となり、舞台からの距離が遠いため価格は下がりますが、特別感を楽しめるボックス席です。後列は視界がやや遮られるため、前列よりも価格がワンランク下がります。
★★ カジュアル
舞台横のボックス席、3階 (Palchi laterali, 3 ordine)
かなり上・横から鑑賞することになるため舞台の端は見にくいですが、舞台上の演者の動きやストーリーはしっかり楽しむことのできる席です。
舞台に近いボックス席に比べるとカジュアルな雰囲気で、子供連れの家族がボックス席を購入し、まるで自宅のリビングのような雰囲気でオペラ鑑賞を楽しんでいるのも見かけました。
後方の座席は後述のワケあり席であることが多いので、購入の際はご注意を。
ガレリア席 (Galleria)
3階のボックス席と同様、舞台を遠くから見下ろす視点ではありますが、ステージ全体を見渡すことができる座席で、公演を十分に楽しめます。
ワケあり席
舞台横の3階ボックス席・後列 (Palchi laterali, 3 ordine dietro) など
座席の構造上、視界が大きく遮られる、あるいは全く見えず、聞こえる音のみを楽しむための座席です。他の座席に比べかなり安く販売されています。
オペラをよく知っており、音楽だけでも楽しめる方や、何度も鑑賞したい方にはお得な座席です。購入時には”Visibilità Ridotta”(視界に制限あり)との注意書きが明記されているはずなので、しっかり確認しましょう。
これほど座席の種類が多いと劇場内で迷ってしまいそうですが、困ったらオペラ座の職員さんにチケットを見せましょう。どの階段を上がるか、どの扉から入るか、など詳しく案内してもらえます。
3.オンラインで簡単!チケット購入
さて、座席についてもしっかり予習できたところで、いよいよチケット購入の流れを確認します。
チケットを購入する方法は2種類:「オンライン購入」または「劇場のチケットオフィスで直接購入」です。
価格の安い席や人気の席は早くから埋まってしまうことが多いので、ローマ滞在の日程が決まり次第、事前にオンラインで購入するのがおすすめです。
専門の代理店などに頼んでチケットを取ってもらうことも可能ですが、手数料が高額な場合も。ここでは、実際のオンラインチケット購入画面を使い、手数料ゼロ、“自分で”チケットを買う方法を解説します。
まずはローマ・オペラ座のウェブサイトにアクセス。スクロールしていくと下の方に現れるBOX OFFICEから購入してもいいのですが、希望の演目・上演日が決まっている場合は、演目の詳細ページからアクセスする方が簡単です。ここでは例として、2019年6月21日の午後8時開演の『トスカ』のチケットを買うことにします。
メイン画面のプログラム一覧から観たい公演を選択し、詳細情報を下までスクロールします。上演スケジュール一覧から、希望の日程を選び、BUYをクリック。
座席とチケット価格のリストが出てきます。座席ごとに価格が大きく変わるのがわかります。リストの12番目の座席は、公演1ヶ月以上前の現在(執筆当時)でも売り切れています。
希望の席があれば、NUMEROの欄でチケットの枚数を選択し、黄色の「カートに追加」ボタンをクリックすると、確認画面に進みます。
演目、日付、時間、座席、価格を確認し、間違いがなければ青色のボタンをクリックし、支払い手続きに進みます
支払いの前に、メールアドレスとパスワードを設定し、ticket one(チケット購入サイト)のアカウントを登録する必要があります。会費などは一切かからないのでご安心を。
アカウントを作成したら再度ログインし、個人情報を入力します。チケットはここで入力したメールアドレスにPDFとして送付されます。
チケットが無事メールで届けば、購入は完了です。公演時にはチケットは必ず紙に印刷して持っていく必要があるのでご注意を!
絶対に観たい演目や座席がなければ、公演当日に直接劇場のチケットオフィスで残っている座席を買うこともできます。予算を伝えれば、予算内でいい席を紹介してくれるようです。ただし、人気公演の場合は満席だったり、高額な座席しか残っていない場合も。当日にチケットを購入する場合は、「希望の席があったらラッキー」と思っておくのが良いでしょう。
4.楽しみ倍増!予習のススメ
チケットを無事購入できたら、演目の予習をしておきましょう。実は舞台上部には英語と上演言語での字幕が出るのですが、字幕に集中し、舞台を見逃してしまうのはもったいないです。
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音楽だけでなく、美しい衣装や踊り、そして目に楽しい舞台演出の数々を楽しむことこそが、生でオペラを観る醍醐味。じっくり観たい方は、オペラグラスを持っていくのもおすすめ。
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予習と言っても、それほど時間をかける必要はありません。登場人物、特にメインで動くキャラクターは誰なのか、そして幕ごとのあらすじをざっくりと理解しておくだけでも楽しめるはずです。
余裕があれば、鑑賞するオペラの中で有名だと言われる曲をいくつか聴いておきましょう。きっと一度は耳にしたことのあるメロディーに出会えるはずです。曲を覚えておけば、劇場で生演奏を聴いたときの感動も倍増します。
5.もう悩まない!服装マニュアル
さて、予習も済ませ、あとは劇場に向かうだけ。ここで多くの人の頭を悩ませるのが、「服装」ではないでしょうか?
昔は上流階級の社交場としての役割も果たしていたオペラ座ですが、現代のオペラは多くの人が気軽に楽しむ娯楽。各演目のプレミエ(公演初日)には取材陣なども訪れ、イブニングドレス姿のゴージャスな女性たちの姿も見かけますが、それほど着飾らなくても大丈夫。
定番スタイルは、女性はきれいめのワンピース、男性はシャツにフルレングスのパンツ。普段よりもちょっとおしゃれをして挑めば間違いないでしょう。下の画像がイメージです。
男性はネクタイを締めていない人も多いです。あまり気張らず、リラックスできる服装でゆったりとオペラ鑑賞を楽しみましょう。
おわりに
ローマ・オペラ座でのオペラの楽しみ方を解説しました。ローマに限らず、いろいろな場所でのオペラ鑑賞の参考になると思います。劇場に足を運ぶ皆さまの「第一歩」を支えられたなら幸いです。
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