イタリア北部 ロンバルディア州
世界遺産シリーズ第一弾は、イタリアで最も世界遺産を持つ州、ロンバルディア州です!一つの州がこれだけの数の遺産を持つことは普通であったらあり得ません!いかにイタリアが文化や自然において豊かであるかということがわかるでしょう。
ちなみに、ロンバルディアの州都はミラノ。イタリアの大都会ミラノへは、日本からアリタリア航空が直行便を就航しているため、首都ローマに次いでアクセスしやすいと言えます!
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ロンバルディア州の世界遺産全9つを解説
1.ヴァルカモニカの岩絵群
1つ目に紹介するのは、ヴァルカモニカの岩絵群です。登録年は1979年。
先史時代の約8000年間に岩石に刻まれた貴重な「線刻画」が、この渓谷一帯に数多く残っています。岩に刻まれた14万以上の絵柄は農耕、航海、戦い、魔術などをテーマに描かれているようです。この画も、動物の上に人が乗っているような岩絵となっています。アルプスの山麓に流れているオーリオ川(Oglio)沿いにある渓谷、ヴァル・カモニカの中に残されているました。
渓谷の景色は、自然の雄大さを感じさせてくれます。
2.『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
2つ目に紹介するのは、「レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院」です。登録は1980年。
説明は、不要かもしれません。ミラノに遺されたレオナルド・ダ・ヴィンチの超大作、『最後の晩餐』を見ることができる教会が、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会です。ゴシック様式のズッシリとした建物は、15世紀の中頃に改築されています。また、『最後の晩餐』があるのは、この教会内の食堂に当たる部分です。ミラノのドゥオーモなどの中心地からトラム1本でアクセスできます。
3.クレスピ・ダッダ
3つ目に紹介するのは、クレスピ・ダッダです!登録は、1995年。
時は19世紀、クレスピという人物によって「労働者の理想郷」として作られたのがこの町。アッダ川とブロンブロ川が合流している地帯に作られたことから、クレスピ・ダッダという名前がつけられました。村は、全く何も存在しなかった土地に、工場主が、労働者と家族のために、ここを丸ごと建設しました。この村では、城の主が村の全てを統治していたんだとか。こんな早い時期から社会保障制度を充実させていた村づくりには、驚くほかありません。
工場はすでに閉鎖されていますが、工場跡や建物はそのまま残り、当時の社宅だった家には、今でも一部に当時の労働者の子孫がすんでいます。
4.サクリ・モンティ
4つ目に紹介するのは「サクリ・モンティ」です。登録は2003年。
ロンバルディア州だけでなく、ピエモンテ州の世界遺産としても登録されているこちら。サクロ・モンテとは「聖なる山」という意味。それが9つ合わさっているので、複数形のサクリ・モンティと呼ばれています。
15~16世紀ごろ、キリスト教信者たちの間では聖地巡礼がブームが起きていましたが、この頃のイエルサレムやパレスチナは、イスラム勢力下にあり、訪れることは難しかったのです。そこでそれらの代わりになるよう、丘の上に聖なる土地を作った、とされています。
5.マントヴァとサッビオネータ
5つ目に紹介するのは、「マントヴァとサッビオネータ」です。登録は2008年。
2つの都市の歴史的な街並みのことを指しています。ルネサンス時代の建築物、さらには都市計画の重要性を評価し、世界遺産に登録されたんだとか。マントヴァはガルダ湖から流れるミンチョ川の水をせき止めた人工湖によって3方を囲まれた、水の町。歴史的な景観をバックに川沿いを歩けば、きっとルネサンス時代にタイムスリップしたかのような気分を味わえるかも?
また、サッビオネータはルネッサンスの理想都市として16世紀に建設された星型の小さな都市です。全盛期には「小アテネ」とも讃えられた星型の都市は一見の価値ありでしょう。
6.レーティッシュ鉄道と景観
6つ目に紹介するのは、「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」です。登録は2008年。イタリアのティラーノ駅からスイスのサンモリッツ駅を繋ぐベルニナ線の一部が、イタリアの世界遺産として登録されています。
スイスとイタリアが両方保有している世界遺産の1つ。欧州車窓トップ10にも選ばれる美しい景観を誇り、山々の綺麗な眺めのみならず、氷河を見ることができる路線もあります。細い橋もいくつかあり、渡るときはきっとドキドキ。スイス・イタリアの国境移動には、世界遺産の鉄道に乗ってみてはいかがですか?
7.サン・ジョルジョ山
7つ目に紹介するのは「サン・ジョルジョ山」です。もともとはスイスの世界遺産として2003年に登録されていましたが、山の南部はイタリアにまで広がっていることから、2010年にイタリアとしても登録されることとなりました。
実は!その美しい景観によって世界遺産になったのではなく、そこから見つかった10000以上の化石が決め手となっています。しかもその化石が海洋生物のものだというから驚き。これらの化石は、200万年前、この地方が亜熱帯性気候だった頃に現在の地表から100m下の海水のくぼ地にあったものと考えられています。
貴重な化石の採掘場である世界遺産サン・ジョルジョ山では、100年以上前からチューリヒ大学とミラノ大学による発掘調査が行われているんだとか。
8.ロンゴバルド族の遺跡
8つ目に紹介するのは「イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡」です。登録は2011年。
ローマ帝国の滅亡後、ゲルマン人の一派のである、ロンゴバルド族が、イタリア一帯に侵入し、ビザンツ帝国に滅ぼされるまでの間、王国を形成しました。その時の彼らの歴史的遺産がイタリア各地に遺されており、それらをまとめて世界遺産として登録しています。そのため、ロンバルディア州以外の多くの州で重複して登録されているため、これから先、何回か紹介することがあるかもしれません。
ロンバルディア州で登録されているのは、サン・サルヴァトーレ=サンタ・ジュリア修道院の建築物群と、カステルセプリオとトルバのカストラムという要塞地の2つ。
9.アルプス山脈周辺の杭上住居群
最後に紹介するのは「アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群」です。登録は2011年。
この杭上住居は高床式住居の一種で、アルプス山脈周辺ではガルダ湖などの湖や湿地に杭を立て、その上に住居が築かれていました。湖上に立てた理由としては、漁や、敵への警戒のためのみならず、農業に適した土地を住宅地に割かないようにするなどがあると考えられています。
この世界遺産、数がめちゃくちゃ多く、スイス・イタリア・フランス・ドイツ・オーストリア・スロベニアで総計111件も登録されています!
さいごに
9つの世界遺産を一緒に追いかけてみました。いかがだったでしょうか。ミラノを訪れることがあれば、ロンバルディア州の様々な世界遺産にも足をのばしてみてくださいね。