私たちが良く知るイタリアとは、少し違う。
日常生活で、私たちは多くイタリアに触れることがあります。それは私たちのように大学でイタリア地域を専攻している人のみではありません。書店に入れば、イタリアの観光ガイドやエッセイがたくさん並んでいます。また、パスタやピッツァが好きな人も非常に多いでしょう。テレビをつければ、旅行番組や料理番組などで多くのイタリアに触れているはずです。
そんな「日常生活に溢れたイタリア」とは、一線を画すテレビ番組があります。それは、これまで私たちが知ることの無かった、イタリアの小さな村で営まれる、人々の人生に触れる物語です。
本記事では、BS日テレにて放送されている、『小さな村の物語 イタリア』という番組の概要・魅力・バックナンバーを取り上げたいと思います。
『小さな村の物語 イタリア』とは
番組について
この番組は、イタリアにおいて、日本人の多くが知らないような、小さな田舎の村を取り上げ、そこで営まれる人々の暮らし、家族模様、人生、そして温かな生活を描いています。
私たちが観光で訪れる、ローマ、ミラノ、フィレンツェなどといった大都市とは全く違う、スローな、それと同時に優しい時間が流れるイタリアの小さな田舎町。そんな生活を描き出すのは、きっとこの番組くらいなのではないでしょうか。
美しく生きるということ…。気候や風土に逆らわず、共存しながら暮らす。先人たちが築き、守ってきた伝統や文化を誇りに思いながら生きる。人間本来の暮らしが息づく「小さな村」が今、注目されています。
海を臨む小さな漁村、山肌にはりつくように佇む村、山に覆われた山間の寒村・・・。古き良き歴史と豊饒の大地をもつイタリアで、心豊かに生きる人たち…。
”豊かに暮らす 美しく生きる”とはどういうことなのか。
私たちが忘れてしまった素敵な物語が、小さな村で静かに息づいていました。番組ではありのままの時間の流れを追い、村人たちの普段着の日常を描いていきます。
「”豊かに暮らす 美しく生きる”とはどういうことなのか。」
この番組の魅力が集約されたような言葉です。人生は、貧しさや死といった、辛いことと常に隣り合わせ。それでも自分自身、そして自分の大切な人・ものに誇りをもって生きていく。
お金があることやモノがあること、それも豊かに暮らす上で大切なことです。ただ、それだけじゃない。美しく生きるイタリアの小さな村に住まう人々と出会うと、そんなことを考えてしまいます。
放送時間
放送局:BS-日テレ
放送時間:土曜日(18:00-18:54)、日曜日(10:00-10:54)
ナビゲーター
この『小さな村の物語 イタリア』のナビゲーター(ナレーション)は、俳優の三上博史氏が務めています。実は私自身、三上氏のことはこの番組で初めて知ったと言っても過言ではありません。ですが私たちの親世代には「トレンディドラマのエース」として、非常に有名で、素晴らしい俳優として知られています。
彼の低い、優しい声は、番組の穏やかな雰囲気とマッチし、村人たちの生活が、よりありありとイメージできます。
「旅の情報もなく、食リポもなく、淡々と小さな村の生活だけが映し出される、超シンプルな内容ですが、僕の立場は、その小さな村の住人たちの人生を語るという、大それた役目をいただいています。
できるだけ、感情を抑えて、観てくださる皆さんに、より味わっていただけるように、想像力を広げていただけるように、シンプルに語るということを心掛けてきました。『なんだか生きるっていいな』と感じていただければ幸いです。続けられる限り、今後も丁寧にお届けできればと思っています」
主題歌
この番組の魅力は、コンテンツや語りだけではありません。非常に印象的でノスタルジックな主題歌は、多くの視聴者を魅了しています。
主題歌は、1960-80年代に主に活動し、イタリアを代表するイタリアン・ポップスの歌手であった、オルネッラ・ヴァノーニ(Ornella Vanoni)のラップンタメント(L'Appuntamento)。直訳すると「約束」という意味ですが、しばしば「逢い引き」と訳されます。
形容しがたい切なさや温もりを感じさせる、ゆったりとしたリズムが印象的な一曲です。まさに小さな村の物語にぴったり合っているように思います。この楽曲は、彼女が1970年というかなり昔に発表した歌です。それでも、2004年の映画『オーシャンズ12』にも挿入歌として利用されるなど、いまだに根強い人気を持っていると考えられます。
この楽曲の歌詞とCDは、下のリンクからご覧ください!
続きを見る【歌詞・日本語訳】Ornella Vanoni - L'Appuntamento
番組制作
制作会社
『小さな村の物語 イタリア』は、大手の映像制作会社であるテレコムスタッフによって製作されています。テレコムスタッフの名前は知らなくとも、この会社が制作している『世界の車窓から』や『世界の街道をゆく』なら、きっとほとんどの方が知っているのではないでしょうか。
この番組に流れているゆったりとした雰囲気は、これらの名番組から引き継がれたものなのかもしれませんね。
ちなみに、テレコムスタッフは、イタリアを中心としたヨーロッパでの番組取材・撮影等のコーディネートを行うm&mメディアサービスと協力しながら制作をしています。
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2018年4月時点、この番組のスポンサーは大和ハウスと東芝メモリーです。2018年3月までは東芝のみがスポンサーでしたが、件の経営危機により状況は悪化。サザエさんのスポンサーを降板しつつも、この番組のスポンサーだけは続けていましたが、4月からは大和ハウスとの2社になりました。
番組が始まる前に、鐘の音と共に「TOSHIBA Presenta...」というナレーションは、もう聞けなくなってしまったようです。
受賞歴
日本の視聴者の皆様へイタリアの村を紹介する番組「小さな村の物語イタリア」の制作に尽力したとして本番組制作会社テレコムスタッフ株式会社代表取締役寺島高幸氏にウンベルト・アニェッリ賞が贈られました。 pic.twitter.com/F7HE0pi9L3
— Italy in Japan (@ItalyinJPN) October 25, 2017
『小さな村の物語 イタリア』は、過去に3つの賞に輝いています。
- 2007年 ギャラクシー奨励賞受賞(放送批評懇談会主催)
- 2010年 第4回「ヨーロッパ・メディア・デー」テレビ番組部門グランプリ受賞(在日ヨーロッパ観光委員会主催)
- 2017年 ウンベルト・アニェッリ賞(伊日財団)
このように日本のみならず、イタリアを含むヨーロッパにおいても、非常に評価が高い番組なのです。
過去の放送は?
最近「小さな村の物語 イタリア」に興味を持ち始めた方も多いはず。ですが既に300回程度放送がされているため、過去の放送を見たい場合は、公式のDVD BOXを購入するほかありません。
また、音楽集もいくつか販売されていますよ!
最新アルバム発売!
2019年5月、ソニー・ミュージックダイレクトさんから『小さな村の物語 イタリア 音楽選集 ~イタリアン・ポップスとカンツォーネ100曲~』が発売されました。このアルバムの詳細については、こちらからどうぞ。
どんな魅力があるのか気になる方は、是非「ファン歴3年の私が教える『小さな村の物語 イタリア』の5つの見どころ」の記事も読んでみてくださいね!
毎週の放送内容
次のページでは、週ごとに放送された内容(小さな村の概要、主人公、村の写真など)と挿入歌を紹介しています!公式サイトの情報(毎週の町の紹介、放送内容、写真)だけでなく、挿入歌として使われている楽曲も紹介していますよ!実際に番組を見て、気になる楽曲があったという方は、是非読んでみてください。