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【映画】『おとなの事情』誰もが触れてはいけない秘密を抱えている

2019-10-20

今まで観た映画の中でも、より現実的で生々しくて、かつ観終わった後に心に何かが残る作品でした。

この映画を観る前に

映画概要

原題

Perfetti Sconosciuti(日本語直訳:完璧な未知)

公開年

イタリアは2016年、日本は2017年

ジャンル

コメディ、ドラマ

監督

パオロ・ジェノヴェーゼ

キャスト

ヴァレリオ・マスタンドレア、エドアルド・レオ、アンナ・フォッリェッタ、ジュゼッペ・バッティストンなど

登場する場所

ローマ(象徴的な観光地などの登場はほとんどなし)

映画の前知識

コメディ映画の代表的監督

 
 
 
 
 
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―誰もが、人には決して打ち明けられない秘密を抱えて生きているー

全員がスマホの中身を包み隠さずに公開する、というゲームをきっかけに、生々しい人間模様が描かれる、この映画はコメディだが、もっと重い何かを含んでいる…。そんな興味深いこの映画の監督は、パオロ・ジェノヴェーゼ(Paolo Genovese)。『ナポリの魔法(Incantesimo napoletano)』(2002)で監督デビューを果たし、コメディやドラマなどのジャンルを中心とした映画を世に送り出してきました。

2016年の「顔」

初の単独監督としてメガホンをとったコメディ映画『サンタクロース・ギャング(La Banda Dei Babbi Natale)』(2010)は、イタリア全土で大ヒットを記録し、イタリアコメディ映画界に一気に躍り出ました。

そしてこの『おとなの事情』は、「イタリアのアカデミー賞」とも呼ばれる、ダヴィド・ディ・ドナテッロ賞の8部門計9つのノミネートを受け、さらにそのうち作品賞と脚本賞を受賞。2016年のイタリア映画界における「顔」ともいうべき映画を生み出しました。

旬なコメディ俳優から大俳優まで

登場する俳優は、最近のイタリア映画ファンであれば、誰もが知っているようなメンバーばかり。

2000年以降のイタリアを代表する俳優、ヴァレリオ・マスタンドレア(Valerio Mastandrea)、『いつだってやめられるシリーズ』のエドアルド・レオ(Edoardo Leo)、映画だけでなくドラマや舞台でも活躍するアンナ・フォッリェッタ(Anna Foglietta)など、実力派を揃えたキャスト陣。

特に注目して欲しいのは、この作品で特に難しい役回りを演じていたジュゼッペ・バッティストン(Giuseppe Battiston)でしょうか。ダヴィド・ディ・ドナテッロ主演男優賞を受賞した『ベニスで恋して(Pane e tulipani)』(2000)とはまた違ってとても面白いです。

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『おとなの事情』のあらすじ・感想

登場人物

http://otonano-jijyou.com/

登場人物については、映画公式ホームページの相関図を観ていただくのが一番早いかと思いますので、引用させていただいております。

あくまでも個人的にですが、特に注目して観ていただきたきたいのは、コジモとペッペです。というのも、この物語において、特に重要な役割を担っていると思うからです。

あらすじ

(イタリア語版のロングトレーラー)

幼馴染の男友達4人が、それぞれの妻やパートナーを連れ、仲間内での久々のホームパーティーが始まろうとするところから、物語の幕が上がります。ちょうどこの日は、数年に1度の月食の夜。

それぞれ料理やワインなどの差し入れを持ち寄り、会話の弾む楽しいディナーを過ごしていた時のこと。ちょっとした会話の流れから、「この7人の間には秘密なんてない」という話になり、それなら秘密がないことを証明し合おうと、あるゲームが始まることに。

それは、全員のスマホを机の上に表にして置くこと。そして電話がきたらスピーカーフォンにして全員に聞かせ、メールがきたら全員に内容を読み上げる、というルール。乗り気な人も渋々な人もいるなかで、さぁ、楽しいゲームの始まりです。

最初はドッキリから始まり、何でもない電話やメールでもみんなで大騒ぎ。とても楽しい雰囲気で物語が進んでいきます。最初の方にも、いくつかのカミングアウトがありました。しかしそれも、ストーリー後半からラストにかけての怒涛の展開を知った後だと、ごくごくありふれたカミングアウトにしか思えなくなってしまうほど。

後半、特にみんなでセルフィ―を撮った後くらいから、徐々にカミングアウトは重々しくなっていき、クライマックスへのカウントダウンが始まっていきます。友情の崩壊、愛情の崩壊、そして隠されてきた衝撃的な事実、すべてが物凄いスピードで目の前を駆け抜けていき、息つく暇もありません。

そして物語はクライマックスを迎えるのですが、そのあとに用意されていた、もう一つの衝撃的なエンディング。すべては月食が見せたまやかしだったのか、それとも全てが真実なのか。

是非ご自身で確かめてみてください。

映画を見終えて

大きな悲しさ・虚しさが残るのに、面白い

どんな人にも、決して他人に明かすことはできない秘密や悩みがあるということ。それはたとえ親友でも、婚約者でも夫婦でも、同じだということを、私たちにまざまざと突き付けてくる映画です。この映画を見終えたとき、私の心の中には大きな悲しさが残ったのは言うまでもありません。

最後のシーン。月食が終わると同時に、全てが散り散りに消えていく。それぞれの秘密を抱えたまま。他人の秘密は気になるし、どうしても知りたいと思うこともあるはずです。しかしそれを知ってしまったがために、その人との関係や人生までがめちゃくちゃになってしまうかもしれない。

映画の余韻よりも…

『Euforia』のワンシーン。ちなみに、ヴァレリオ・マスタンドレアはこの映画にも出演しています。

終わったときに余韻を残すようなラストシーンは、イタリア映画には多いと感じています。例えば、2019年に日本で公開された映画だと『ドッグマン(Dogman)』(2018)や『エウフォリア(Euforia)』(2018)などは、その典型だと思います。

そうした映画は、ラストシーンが印象的で、自分が映画の世界観に没入してしまっている、あるいはその主人公が持つ世界観に感情移入してしまっている、ことにより、きっとなかなか映画の世界、または登場人物がみていた世界から戻るのに時間がかかるのではないかと、個人的には思っています。

しかし『おとなの事情』はそれと少し違いました。それは、あまりにもこうした話が身近過ぎるから、つまり現実味があるからでしょうか。また、私が見ていたものが、一種の“まやかし”だったからでしょうか。いずれにせよ、映画が終わったとき、映画の余韻よりも先に、人とつながることの難しさ、悲しさといった、現実に対する諦念のような感情が湧き上がってきました。

ストーリー全体にはとてものめりこめた

一方、映画を観ている最中は、途中から急激に展開するストーリーに集中しきることができたため、映画を見終えた後の満足感は、十分だったかな、と思います。

最初は簡単なカミングアウトから始まって(それでも、かなりのレベルですが)、話はもっと重苦しい、性的嗜好の暴露や関係性の崩壊にまで繋がっていく、という分かりやすい展開ではありましたが、最後の方はあっけにとられながら観てしました。

スマホって怖いね

また、月並みではありますが、これほどまでに人の秘密を全て隠しているスマートフォンの恐ろしさ。冒頭、エヴァは、スマホのことをブラックボックス(伊:Scatola Nera)と形容していましたが、まさにその通りだと思います。

それぞれのメールや電話の内容を全員に公開するだけで、これほど互いの関係性が変わっていく様子は、一種の面白さすら感じました。

コジモとペッペ

コジモ(エドアルド・レオ)

コジモ演じるエドアルド・レオは、この映画でも中心人物。最近は『いつだってやめられるシリーズ』(2014)、『私は神』(2018)などで、コメディ俳優としての地位を確立しているかに思えます。しかしこの映画では、こうした「The コメディ」な役とはかなり違うものの、独特なコミカルさとちょっとの素っ頓狂さを掛け合わせた、彼らしい演技がそあったように思います。

また安直ですが、ペッペ演じるジュゼッペ・バッティストンは、非常に複雑な役でしたが、それを見事に演じていて、さすがだな、と思ってしました。彼の演技の妙は、ストーリーの性質上、1回観ただけでは分かりづらいので、是非2回観ることをオススメします。

展開を知った上で見ると、ペッペが話すときの機微な表情の変化が、それぞれのシーンでありありと感じられて、「なぜどこか切ない表情なのか」「ちょっと浮かない声なのか」という、細かい伏線が回収できます。

さいごに

とっくに公開が終了している映画ですが、生々しい人間模様に興味がある方は、是非一度観てみてはいかがでしょうか。きっと観た後に、何かが残ると思います。

日本では2017年に、新宿シネマカリテなどで上映されました。現在は映像配信サービスの「U-NEXT」や「Amazon Prime レンタル」、もしくはDVDなどで楽しむことができます。


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  • この記事を書いた人

ゆうさん

『BUONO!ITALIA』代表をしています。 1年間ローマ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。卒論では、『1980年代以降のイタリア中小企業論』について考えました。社会人1年目。サイトSNSはこちら↓より。

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