あのカリスマ(怪物)が何を考え、何をしようとしていたのか...。イタリアを代表する名監督による、狂乱の"彼"を暴く最新作。
イタリアを愛し、イタリアに愛された男、シルヴィオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)元首相をメインキャラクターとした、スキャンダラスな真実に迫った映画『ローロ 欲望のイタリア』の日本での公開が決定しました。
この映画を観る前に
映画概要
(予告編)
原題
Loro(日本語直訳:彼ら)
公開年
イタリアは2018年、日本は2019年11月15日 Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国
ジャンル
コメディ、ドラマ
監督
パオロ・ソレンティーノ
キャスト
トニ・セルヴィッロ、リッカルド・スカマルチョ、エレナ・ソフィア・リッチ
主役は誰もが知っている元首相
映画の主役は、イタリアに詳しくなくとも誰もが知っていそうな、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相。政界では4度首相に任命され、合計約9年間に渡ってその座に座り続けてきました。
ベルルスコーニといえば、元首相以外にも様々な顔を持つ男としても知られてきました。「メディアセット」「カナーレ・チンクエ」「レーテ・クワットロ」「イタリア・ウーノ」などのイタリア全国に展開するメディア会社を自らの手中に収めた「メディア王」、2017年に退くまで様々なポストに就き、影響力を与え続けた、フットボールクラブ「ACミランのオーナー・会長」。
さらに、政治家・実業家のどちらにおいても取り沙汰された様々な汚職問題、マフィアとの黒い繋がり、買春などなど、彼の周囲には常にスキャンダルがつきまとい、ゴシップの恰好のネタとなっていました。Wikipedia「シルヴィオ・ベルルスコーニ」のページの「疑惑一覧」を読むと、彼があらゆる嫌疑をかけられてきたことが分かります。
あらすじ
時は2006年。因縁の政敵に敗北し失脚したベルルスコーニは、首相の座に返り咲くときを虎視眈々と狙っていた。政治とカネ、マフィアとの癒着、職権乱用は朝飯前。燃え尽きることなき野心と共に、いよいよ怪物が動き出す――。
2006年4月、イタリア総選挙にてフォルツァ・イタリア率いるベルルスコーニは、イタリア民主党を率いるロマーノ・プロ―ティに、政治人生の中で2度目の敗北を喫することとなり、2005年から約1年続いた第3次政権は終わることとなりました。
それから2年後の2008年5月、第4次ベルルスコーニ政権を敷くことになるのですが、それまでの間、再びイタリアを手中に収めるために、彼はあらゆる手段を使って政界へのカムバックを目指します。
汚職、失脚、公職追放などなど、様々な問題を抱えてきたベルルスコーニは、何を感じ、何を考え、どのような行動をとったのか...?監督のパオロ・ソレンティーノは、「当時のベルルスコーニに蠢いていた“感情”の正体を知りたい欲求に突き動かされた」といい、それがこの映画を制作するにあたっての強烈な動機となっています。
予告編動画を観ていただければより分かりやすいかと思いますが、彼の生活はとにかく豪華絢爛、狂乱、快楽といった言葉がピッタリ。「すべてが事実に即し、すべてが恣意的」という前置きから始まるこの映画は、まさしくベルルスコーニの人生が垣間見える衝撃作です。
ソレンティーノ監督の甘美と映像美の世界
今回メガホンをとったのは、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』や『グランドフィナーレ』などの監督として知られるイタリアの名匠・パオロ・ソレンティーノ(Paolo Solentino)監督。
日本では、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』(2013)、『グランドフィナーレ
ネオリアリズムの映画を現代に再現したような甘美や悲哀、そして視覚に思いきり働きかけるような映像美が特徴的なソレンティーノ監督は、ベルルスコーニをどのように映し出すのか、大注目です。
トニ・セルヴィッロら名優が映画を彩る
ベルルスコーニを演じたのは、ソレンティーノ監督と何度もタッグを組んできた名優トニ・セルヴィッロ(Toni Servillo)。先述の『グレート・ビューティー』『イル・ディーヴォ』のどちらでも主役を演じてきました。
予告編ムービーを観たときに感じた、このベルルスコーニ感。整形を繰り返したことによる仮面が張り付いたかのような表情、その表情から見える器の大きさや陽気さと、内側に籠る力強さ。そしてちょっとのうさん臭さ(?)。ベルルスコーニ自身のインパクトが強すぎるためか、映画と分かっていながら、どうしても本人の顔がちらついてしまうのですが、それでもここまでソックリなのは、やはりトニ・セルヴィッロだからでしょうか。映画の公式ホームページは、その演技を「怪演」と評しています。
ちなみに、彼の脇を固める俳優たちも注目です。ベルルスコーニの前妻ヴェロニカ・ラーリオ(Veronica Lario)を熱演した、エレーナ・ソフィア・リッチ(Elena Sofia Ricci)は、イタリア版アカデミー賞のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主演女優賞を受賞しました。 今回の受賞は『Ne parliamo lunedì』(1990)となり、約30年ぶりとなりました。
次に、リッカルド・スカマルチョ(Riccardo Scamarcio)。『ローマでアモーレ』(2012)や、2019年のイタリア映画祭でも上映された『Euforia』(2018)などに出演し、今作品ではベルルスコーニに近づき、成り上がろうとする青年実業家ジョルジョを演じています。ちなみに彼も、ドナテッロ賞の助演男優賞を初受賞しました。
さいごに
イタリアに大きな衝撃を与えた『LORO 欲望のイタリア』は、来月の11月15日、 Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町などで全国ロードショーとなります!一緒に楽しみに公開を待ちましょう!公式ホームページはこちら。