バロック期の巨匠の一人とされる画家・カラヴァッジョ。彼は多くの年月をイタリアの首都ローマで過ごし、その作品の多くがローマに保存されています。そして、私たちも、カラヴァッジョに関する記事をいくつか書いてきました(詳しくは「代表作や半生は?バロック時代の巨匠・カラヴァッジョを知らないあなたへ」と「日本にも来ていた!バロック時代の巨匠・カラヴァッジョの絵画を解説」の記事をご覧ください)。
ですが金銭的に余裕のない私にとって、美術館などに高いお金を払うのは、少々勇気のいること。そこで本記事では、ローマで"無料で"出会えるカラヴァッジョの絵画についてご紹介していきたいと思います。
ローマで無料で楽しめるカラヴァッジョの5作品
1.マタイ3部作
カラヴァッジョを一躍有名にした『マタイ3部作』は、ナヴォーナ広場のすぐ近く、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会(San Luigi dei Francesi)に所蔵されています。
具体的には『聖マタイの召命』『聖マタイと天使』『聖マタイの殉教』という3つに分かれており、3方向を囲むように配置されています。
どの絵画も、マタイの一生を追いかける形で描かれており、彼の公の場での一作目とは思えない出来栄えに、完成当時から多くの人々が感動したのだとか。
カラヴァッジョファンならまず最初に訪れるべき教会と言えるでしょう。
2.聖ペテロの磔 3.聖パウロの改宗
ボルゲーゼ公園のすぐ近くにあるポポロ広場の向かって立つのがサンタ・マリア・デル・ポポロ教会(Santa Maria del Popolo)。大きい教会だけあって、多くの観光客が訪れているため、絵画を見るためのいい位置を取る必要があるかもしれません。
この教会にあるカラヴァッジョの作品は『聖ペテロの磔』と『聖パウロの改宗』の2つです。
どちらも宗教画として多くの画家に描かれてきたテーマですが、カラヴァッジョが描くことにより、一層背景の暗さ、対照されたペテロやパウロの輝きが目を見張ります。
4.ロレートの聖母
ナヴォーナ広場から歩いて数分という距離に位置する、サンタゴスティーノ教会では、『ロレートの聖母』という絵画に出会うことができます。
二人の巡礼中の農夫の目の前に、裸足の聖母マリアと裸の幼児キリストの幻が現れたという様子を描いている絵画です。絵画がやや高い位置に置かれていることもあり、下から覗くようにして見ると、より一層神聖な雰囲気を味わうことができるはずです。
ちなみに、他の2つの教会に比べて空いているようなので、ゆっくりと教会内の絵画や内装を楽しむことができるかもしれません。
5.瞑想する聖フランチェスコ
最後にご紹介するサンタ・マリア・インマコラータ教会(Santa Maria Immacolata)は、スペイン広場やボルゲーゼ公園に近く、日本では骸骨寺として知られている教会。その名の由来は、祭壇や装飾、アーチなどの全てが人の骸骨でできていることに由来しています。
ちょっと背筋が凍りそうですが、この教会にあるカラヴァッジョの作品にも骸骨が登場しています。それは、『瞑想する聖サンフランチェスコ』という絵画。
最近ではカラヴァッジョの弟子(カラヴァッジェスキ)が描いたものである可能性も浮上しているようです。ローマのバルベリーニ宮には、確実に彼の真筆の作品があるため、そちらを訪れてみてもいいかもしれませんね。
明かりをつけるための小銭は必須
ちなみに、これらの教会では、カラヴァッジョの絵画はかなり暗い場所に設置されています。明暗が特徴的なため、そのままではかなり見えにくいことも。
実は絵画の下には照明がついているのですが、これをつけるためには€1の小銭がいずれの教会でも必要になります。教会への拝観自体は無料な分、あまりケチることなく、お金を入れてみてください。きっと後悔はしないと思います!
その中でもこのロレートの聖母は、アングルが下からになっているため、下から当たる光がより幻想的に見えること間違いなしです。
さいごに
いかがだったでしょうか?無料で鑑賞できるカラヴァッジョの作品についてまとめてみました。もちろん、カラヴァッジョは他にもたくさんの作品を遺しているので、一度見て興味が湧いたら、美術館などへ足を運んでみてくださいね。
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