ついに完成したもう一つの路線
6年遅れでごめんなさい。待ちに待った地下鉄がいよいよひとまず完成しました。これまで2つの路線しかなかったローマの地下鉄に、もう1本が加わります。
ローマの地下鉄といえばA線とB線でしたが、2017年4月に完成したのはC線です。これまでも既に就航がなされていましたが、ローマ中心地から最も近い位置のサンジョヴァンニ駅と乗り換えることで、テルミニ駅までA線を利用してアクセスできるようになりました。
そのために、今回のオープンはこれまでよりも比較的大きく取り上げられています。ローマ東部郊外から中心地へ直通する地下鉄の建築は数年前から進められ、今後も路線の拡大が進んでいきますが、これにてひとまずの完成となるようです。
地下鉄が2本しかないという、先進国の首都としてはかなりお粗末な現状であったローマにおいて、この公共交通機関の発達はそれなりの意味を持つと言えるでしょう。
未完のC線は何をもたらすか
現在完成したC線は、ローマ東部に通っていた電車Lazialeの区画をそのまま引き継ぐ形で設計され、それがローマ中心部に伸びる形で予定されています。
将来的には、コロッセオやヴェネツィア広場、ナヴォーナ広場やサン・ピエトロなど、今まで比較的アクセスが悪かったゾーンにもメトロが通ることになる予定です。
地下鉄のメリット
ご存知の方も多いかもしれませんが、ローマでバスを使いこなすことは決して簡単ではありません。地下鉄が2本しか無いのと対照的に、市内全体を張り巡らされたバスは、観光客にとってはどれに乗ればいいかわかりにくかったり、機械の故障は道の整備の悪さなどによってバスが快適でなかったり、ローマ特有の交通渋滞などの影響で想像以上に時間がかかったりなど、多くの問題を抱えています。
一方地下鉄であれば、2-5分に1本は電車がやってきますし、駅名からもどこへ行くことができるのか想像しやすいでしょう。在住の私としても地下鉄は非常に使いやすいので、もっと路線が増えてくれればと思わずにはいられません。
現在はテルミニ駅のみの乗り換え
A線とB線の乗り換えがテルミニでしかできないのも問題です。十字にクロスするようになっている両線。私は地下鉄B線終点のLaurentina付近に住んでいるのですが、例えばA線の終点かつローマ南部のBattitiniなどに行くときに、テルミニ駅でしか乗り換えられないのが本当に面倒。かといってバスもしっかり運行していません。「テルミニ駅の手前でもっと簡単に乗り換えができればな...」と何度も思いました。そのためC線ができることによって、ローマ中心部においての乗り換えは比較的簡単になるといえるでしょう。
残存する問題
ですが考えるべき問題も残っています。それはその中心部の地下鉄がまだできていないことです。
本来は中心部から作るべきものの、以前の路線を再利用したことや、資金の問題、都市部の地下鉄建設の難しさなども相まって、まだ工事は続いています。
現在、コロッセオで地下鉄B線とクロスするFori Imperiali/Colosseoの建設を進めており、2021年の完成を予定してはいるものの、本当にその年に完成するのかはわかりません。なんせ4月に完成したC線が6年遅れだったのですから...。
そして今後の計画が途中で変更になる可能性もあります。ローマのラッジ市長は完成の際の会見で「経済的・政治的にしっかりと精査をして計画を進めていかなければならない」と語っています。
実際、数年前のことですが、4本目の地下鉄となる予定だったD線については、建設計画を停止し、話は頓挫しています。なんとも不便なローマの地下鉄ですが、やはり今後も一筋縄ではいかなそうです。
ローマ人の声
では渦中のローマ人たちはどう思っているのでしょうか。何人かの知り合いに話を聞いてみたところ、やはり「時間がかかるし今後もどうなるかわからない」「完成すれば役に立つかもしれないけど、どうせもっと時間がかかる」や「ローマ中心部と郊外をつなぐ電車のため、中心部そのものの移動には大して効果をもたらさない」「役立つのは東部の人だけ」とけっこう厳しめの声を聞くことができました。
ヨーロッパの他の都市と比べても、かなり地下鉄の整備が遅れていると言ってもよいローマ。ローマらしい地下鉄の建設を目指して、これからどのような動きがあるのか注目です。