ローマ空港からフィレンツェ/ナポリへの直行電車を開通したイタリアの狙い

ローマ空港からフィレンツェ/ナポリへの直行電車を開通したイタリアの狙い

ゆうさん

学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

ローマ・フィウミチーノ空港からフィレンツェ、ナポリまでの直行電車が開通された、というニュースがあり、詳細が気になったのでまとめてみました。

鉄道大手トレニタリアは先月11日、ローマのフィウミチーノ空港と主要観光地のナポリとフィレンツェを結ぶ3路線の直通列車の運行を開始。運行時刻はフィウミチーノ空港の発着に合わせて設定された。空路で到着した乗客は、「フレッチャロッサ」と呼ばれる高速列車に乗り、短時間でイタリアの主要観光都市間を行き来できる。

3路線は、フィウミチーノ空港とナポリの中央駅やアフラゴーラ駅(高速列車の停車駅だ)、そしてフィレンツェのサンタ・マリア・ノベッラ駅とフィウミチーノ空港を結ぶもので、イタリア北部と南部の間の移動がより楽になる。

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直行便の詳細

これまでは、どちらに行く場合もローマ・テルミニ駅で一度電車を降りて、乗り換える必要がありました。この直行便の登場によって、現時点でどんなメリットがあるのでしょうか。

フィウミチーノ空港からナポリ

ローマ・テルミニ駅で乗り換えた上でナポリ行の列車に乗り換えると、大体2時間半くらいかかりますが、この高速鉄道を利用することで約2時間程度にまで時間が短くなります。

フィウミチーノ空港からフィレンツェ

フィレンツェの場合、ローマ・テルミニ駅で乗り換えるとこちらも2時間半ですが、高速鉄道を利用すると2時間20分。こちらはあまり変わりませんね。今後のダイヤ運用次第ではもう少し時間が短くなるかもしれません。

直行便のダイヤを読み解く

ニュースに取り上げられるほどなので、1日にどれくらいの便があるのか気になって、Trenitaliaのホームページで調べてみました。すると、この直行便、2022年8月時点ではまだ1日1便だけです。

また、空港発ナポリ/フィレンツェ着は午後15時前後発の便、ナポリ/フェレンツェ発空港着は午前5-7時台の便となっています。

こうしたダイヤを見る限り、まだトライアル的な要素も強いこと、外国人よりイタリア人の利用者が使いやすい時間帯の設定になっていることが分かります。

直行便とはいえ、どちらの路線も必ずローマ・テルミニ駅には停まるため、大幅な時間短縮にはなっておらず、現時点では「乗り換えがいらなくなる」くらいの利便性にとどまっていると思います。

なぜいま「直行便」なのか?

”インターモーダル”や”飛び恥”と鉄道

イタリアだけでなくヨーロッパ全体で、インターモーダル(Intermodal)という動きが活発化しています。これは、飛行機と鉄道を組み合わせて利用する考え方です。

飛行機を利用することは甚大な環境破壊につながりかねないという批判(いわゆる”飛び恥”)から、航空便の在り方を見直そうという取り組み。具体的には中長距離路線は飛行機を使い、短距離の移動には鉄道を使う流れを作り出しています。

実際フランスでは、既に列車で2時間30分以内の航空路線を廃止し、鉄道利用を加速させようとしています。

イタリアではそこまで急進的な取り組みは進んでおりませんが、今回のフィウミチーノからフィレンツェ、ナポリへの直行便を開通させた背景には、間違いなくこうしたヨーロッパ全体の流れがあるはずです。

フィレンツェ、ナポリ空港は縮小?

ご存じの方も多いでしょうが、フィレンツェ、ナポリにもそれぞれ小規模ながら空港があり、ヨーロッパ域内の便が運航しています。

ただ、フィウミチーノ空港のように大規模ではありませんので、これまでもローマから電車やバスで移動していたのではと思います。今後フィウミチーノ空港と鉄道の連携、より短時間での移動が実現できるとなれば、地方の小空港は縮小し、フィウミチーノ空港をハブとして、イタリア半島中部~南部の移動を補完していくことになりそうです。

航空と鉄道の連携に注目したい

今回フィウミチーノ空港は、「鉄道との連携を強化し、近い将来、航空便の利用者が鉄道の出発駅で荷物を含めてチェックインできるようにする計画」も示しています。

先述のとおり、航空会社と鉄道会社との連携は近年ヨーロッパで特に注目されています。ただ、スルーバゲージやスルーチェックインをするとなると、空港だけではなく、航空会社と鉄道会社との間で契約などを準備する必要もあります。今後トレニタリアがITAエアウェイズやその他の航空会社と提携をしてサービスを提供する、なんてことになると面白いかもしれません。

ちなみに、こうしたインターモーダル連携を長年続けていたのがドイツ(ルフトハンザとドイツ鉄道)とフランス(エールフランスとSFCF)で、鉄道路線に航空便名を付与し、航空便とセットで販売を実現しています。さらにドイツ鉄道は航空連合であるスターアライアンスへの加盟も発表するなど、イタリア外での動きも激しくなっています。

さいごに

コロナ禍の”飛び恥”の動きはヨーロッパ全体でも非常に大きく、航空会社全体としても対応を求められました。

日本には特にこうした運動もなければ、鉄道との積極的な連携を見せる訪日航空会社もありません。陸続きのヨーロッパとは違い、島国かつ山がちな地形が国土の大半を占める日本においては、短距離の航空輸送も重要な意義を持っていますが、同時にヨーロッパの変化に置いて行かれないような対応が求められるかもしれません。

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学生時代にローマ・サピエンツァ大学に留学し、シチリア出身マンマが統べる大家族にてホームステイ。今は日系企業で国際提供業務に従事する社会人3年目。イタリアで仕事をする機会を細々と狙っています。サザンオールスターズとサンドウィッチマンが大好き。

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