世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID-19)。日本のニュース番組やワイドショーでもひっきりなしにコロナウイルスのことを報じ続けている状況です。非常事態宣言が出されるなど、日本でもかなり事態が深刻化しつつあります。
コロナウイルスが中国ではじまったことから、韓国、日本などで特に感染者が多いのですが、ヨーロッパで特に感染者が多くなってしまっているのが、私たちの愛する国・イタリアです。2020年3月22日時点で感染者が53,578人にのぼり、死亡者数は4,825人になってしまっています。この10日間で特に感染者数が増えてしまっているのも、非常に恐怖感があるのではないでしょうか。
続きを見る【3月22日更新】イタリアで猛威を振るう新型コロナウイルス感染の現状
この記事では、イタリアでの新型コロナウイルスの影響について、それぞれ簡単にまとめさせていただきました。
現地新聞社等最新情報
新型コロナウイルスの最新情報は、当サイトでも更新して参りますが、随時更新にはどうしても限界があります。そのため、イタリア語のページも併せて紹介いたします。
- Coronavirus in Italia, i dati e la mappa(Il Sole 24 Ore:グラフ・データ等)
- Coronavirus in Italia: le ultime notizie(la Repubblica:最新情報)
コロナウイルスによるイタリア国内の余波
公的機関・発表関係
03.02 政府、緊急経済支援策の導入
イタリア政府は、新型コロナウイルスに関連して、36億ユーロ(約4260億円)の緊急経済支援策の導入を決定したとのことです。イタリアの経済の中心は間違いなく北部ですが、そこを中心にして観光業や製造業などで大きな影響を受けてしまっています。
具体的には、売り上げが25%減った企業に対し、税額控除などをすることを検討しています。仮にイタリア政府のみでまかないきれなかった場合のことを考慮し、欧州連合(EU)にも協力を求めています。
参照:日本経済新聞社『イタリア、新型コロナで経済支援策』(3月2日)
03.03 あいさつのキスやハグは避けるように
イタリア政府、保健省が新たに発表した勧告書の中で、挨拶のキスやハグをなるべく避けるようにとの指示が出されました。イタリアやそのほかヨーロッパでは、頬と頬をつける形でのキス、握手やハグなどが、挨拶の方法として一般的です。
感染が拡がるリスクを少しでも減らすため、こうした形での接触を避けるよう促しています。当然ながら強制力はありませんが、この指示を受けてどの程度イタリア人が実行するかは、難しい問題ですね。
参照:la Repubblica『Coronavirus: stop a eventi, saluti a distanza, anziani in casa. Le proposte degli scienziati per tutti gli italiani』(3月3日)
03.06 サルヴィーニの護衛が陽性
同盟・レーガ(Lega)の党首、マッテオ・サルヴィーニ氏の護衛の警察官から、新型コロナウイルスの陽性反応が出たことが発表されました。ここ数日間は、サルヴィーニ党首との濃厚接触は一切なかったこと、また車への同乗などもなかったとしています。
サルヴィーニ氏もこの発表を受け、自身が接触をしていないことと、健康状態は良好であることを強調しています。
参照:la Repubblica『Coronavirus in Italia: le ultime notizie』
03.06 死亡者の特徴を発表
清掃・環境保全・消毒などのサービスを提供するISS Italia社は、新型コロナの死亡者に関する情報を発表しました。死亡者の平均年齢は81歳で、そのうち男女の割合は72%:28%ということ。
また、80-85%の死亡者は、2つ以上の既往症を持っていたそうです。
参照:la Repubblica『Coronavirus in Italia: le ultime notizie』
03.08 ミラノを含む北部の県で大幅な移動制限
コンテ首相は3月8日の午前2時、会見を開き、ミラノを含む北部14の県を3月8日から4月3日まで封鎖することを発表しました。封鎖とは、具体的には移動を制限することを指します。これにより許可なくミラノなどへ/からの出入りができなくなりました。同地域には1000万人以上の人口がおり、移動を禁止されることを考えれば、それ以上に多くの国民に影響が出る内容です。
しかしながら、ミラノを発着する列車や飛行機は、8日も予定通りの運航が続けられているので、具体的にどのように規制を徹底させるかは、かなり難しい問題だと言えます。
参照:日経ビジネス『新型コロナで正念場のイタリア、人口の約4分の1を「封鎖」』(3月9日)
03.08 ピエモンテ州知事、コロナの陽性反応
ピエモンテ州のアルベルト・シリオ知事は8日、自身が受けた新型コロナの検査にて、陽性反応が出たと発表しました。シリオ知事は、ローマにて4日に開かれた州知事らの対策会議に出席していたため、他の州知事などへの感染が強く疑われています。彼らは仕事柄どうしても移動をすることが多くなりますので、その影響が懸念されるところです。
参照:CNN『イタリア北部に移動制限、全イベント中止 新型コロナ対策』(3月9日)
03.11 政府、3兆円の特別対策費用を用意
イタリア政府は、11日、新型コロナの感染拡大の対策としての経済特別対策費用として、最大250億ユーロ(約3兆円)を用意する計画だと発表しました。グアルティエーリ財務相は、まず13日までに約120億ユーロ分が閣議で承認される可能性が高いと述べています。
経済活動がほぼ停止してしまっている状況なので、中小企業を中心とした支援が行われる予定です。
参照:Bloomberg『Italy Announces $28 Billion Plan to Cushion Virus-Hit Economy』(3月11日)
03.21 オフィス・工場の稼働を停止
コンテ首相は、21日に、企業の工場やオフィスの稼働を4月3日まで停止する追加措置を発表しました。経済的な打撃がさらに大きくなることが想定されています。
参照:日本経済新聞『イタリア、工場やオフィスの稼働停止、新型コロナで』(3月22日)
03.21 公園などへの外出も禁止へ
先日外出禁止令が出されていたイタリアでしたが、イタリア人の気質なのか別の理由なのか、多くの国民が禁止令を守らずに自宅の外に出てしまっています。特に北イタリアのミラノ周辺などではかなり規制を無視した行為が散見されていて、それが現状の悪化に繋がってしまっているとの見方もあります。
これ以上、外出禁止令が長く続けば、より耐えることができなくなる国民が増加する可能性もあります。どうしたらいいのでしょうかねぇ...。
参照:NHKニュース『イタリア 死者4825人に 外出規制さらに厳しく』(3月22日)
イベント関係
02.24 ヴェネツィアのカーニヴァルは中止
毎年2月、ヴェネツィアの有名行事であるカーニヴァルも、ウイルスの影響を受けて中止となりました。もともとの開催日は2月8日―25日までで、今回の決定で23日までになったため、2日間のみの中止となっています。一部報道では、ヴェネト州の新型コロナの拡大において、狭い土地に多くの人が密集するこのカーニヴァルも、感染拡大を助長してしまったとの声があがっていました。
中止に際しては、かなりスピーディーな対応だったので驚きました。
参照:BBC NEWS『イタリアで感染急増、カーニバル打ち切り 韓国も最高度の警戒』(2月24日)
02.29 延期となった試合も多いサッカー・セリエA
サッカーイタリアリーグ・セリエAにおいても多くの試合が延期となりました。
またこの週の注目カード、ユヴェントスvsインテルの試合は、当初、無観客試合が予定されていましたが、最終的には延期が決定されました。シーズン終盤戦にこれらの再試合が行われることが推測されますので、過密日程での選手たちの疲労もかなり心配です。
また、ヨーロッパリーグ、インテルvsルドゴレツでは、試合はミラノのサン・シーロスタジアムで行われたのですが、無観客試合となりました。普段歓声に溢れたスタジアムから、ボールを蹴る音、選手の声だけが響く光景は、まさに異様でした。
参照:サッカーキング『セリエA、ユヴェントスvsインテルなど5試合の延期を発表…新型コロナの影響か』(2月29日)
03.02 フィレンツェ、市内美術館の無料開放?
フィレンツェ市は、観光客の減少によって大打撃を受けた市内各美術館を救う策として、フィレンツェ内の美術館を、週末限定で無料開放をする予定であることを発表しました。観光客を呼ぶという意味では有効的な方法ですが、この感染拡大を助長する可能性のあるプログラムについては批判も出ています。
イタリアの医師で、メディア露出なども多く著名なロベルト・ブリオーニ氏は、Medical Factsの紙面においてフィレンツェの対応を痛烈に批判しています。
おめでとうフィレンツェ。今回のような感染力がとても高いウイルスの拡散に対抗するための最高の方法だよ。たくさんの人が美術館の中で一緒に過ごすことになる。コロナウイルスもこの対応に感謝しているはずだ。
参照:la Repubblica『Coronavirus in Italia: le ultime notizie』
03.02 ローマ、マラソンは開催予定
先日の東京マラソンは、一般参加者のレースが見送られることになりました。一方、ローマからローマ郊外の町オスティアにかけて行われる恒例イベントのローマ・オスティア・ハーフマラソンについては、当初の通り、3月8日の開催が決定しました。
ローマのあるラツィオ州は、まだそれほど感染者が多くなく、ローマ市も「ローマはしっかりと今回の感染症をコントロールできている」という見解を出しています。今後、1週間弱の中で、ローマでの感染が急激に増加することがなければ、イベントはこのまま行われるようです。
参照:la Repubblica『Coronavirus in Italia: le ultime notizie』
03.09 セリエAの試合中止、4月3日まで継続
ジュゼッペ・コンテ首相は、3月9日にイタリア国内のイベントを4月3日まで中止することを発表しました。これにより、各試合にて対応に差があったセリエAの試合は全て中止となりました。セリエAの試合は5月まで。そのため丸々一ヶ月間試合ができなくなることで、今シーズンのセリエAの運営がどのようになるのか注目されています。
場合によっては、このままシーズン終了もあり得る状況です。こうした中で、上位・下位4チームによるプレーオフも検討されているようです。
参照:サッカーキング『イタリア首相、セリエA含むスポーツイベントの中止を決定…4月中の再開を目指す』(3月10日)
『セリエA、4チームによる優勝プレーオフを開催か…FIGC会長がプラン明かす』(3月11日)
03.12 ユヴェントスのルガーニ選手、コロナ陽性
セリエAのユヴェントスFCは、イタリア代表ディフェンダーのダニエレ・ルガーニ選手が、新型コロナウイルスに感染したことを発表しました。セリエAの選手としては初めての感染者となり、サッカー界全体への影響が広がっています。
ユヴェントスは、この後、UEFA CL(チャンピオンズリーグ)のリヨン戦を残している状況ですが、試合の開催可否などについては、まだ発表されていません。
また、これを受けてインテルは、全てのクラブ活動を中止することを発表しました。というのも3月8日にインテルはユヴェントスとセリエAの試合をしており、ルガーニは出場しなかったものの、ベンチにいたのです。
参照:Goal.com『ユヴェントスDFルガーニが新型コロナ陽性反応…セリエA選手で初の感染者』(3月12日)
サッカーキング『インテルが活動停止を発表…ユーヴェDFの新型コロナ陽性反応を受け』(3月12日)
03.14 負けないイタリア人、みんなで大合唱
自宅待機と移動禁止令が出ているイタリアにおいて、人びとは半ば強制的に家にいることを強いられてしまっています。しかし、そこはおとなしくしていられないイタリア人。人びとがベランダに出て、みんなでイタリア国歌を歌ったり、音楽を奏でたりと、こんな状況下でもなんとか楽しむ方法を探しています。
パレルモ
ミラノ
ナポリ
交通機関関係
03.01 ライアンエアー、イタリア発着便25%がキャンセル
欧州最大手LCCであるライアンエアーは、3月17日から4月8日にかけて、イタリア発着便のうち25%を減便することを発表しました。これは、感染拡大を防ぐだけでなく、乗客の大幅な減少に対抗するための措置とされています。
ライアンエアーの場合、ほとんどのプランでキャンセルができないため、予約はしたものの、当日空港に現れずに搭乗しない客、いわゆるノー・ショー客がかなり増加してしまっているとのことです。韓国ではLCC各社が壊滅的な被害を被っていますが、ヨーロッパでもこうしたLCC各社が、コロナの影響をこらえて生き残ることができるでしょうか。
参照:la Repubblica『Coronavirus in Italia: le ultime notizie』
アリタリア航空、搭乗時の注意と特別対応を発表
アリタリア航空は、入国制限を受ける就航都市やリスクについて説明をし、その上で、必要であれば手数料を免除しての変更などを受け付けると発表しています。
現時点で、モーリシャス、ヨルダン、セイシェル、クウェート、ルーマニアにおいては、イタリアまたはイタリアの一部からの旅行者、もしくはイタリアを過去14日以内に訪れた旅行者などの入国の制限、禁止、検疫期間の設定などが実施されています。また、イギリスにおいては、イタリアの一部地域から帰国した旅行者は、イギリスの国民保健サービスに報告し、14日間の自宅観察を行うよう勧告されています。中国に対するものと同様の措置が取られています。
そのため、一部の旅客に対しては、航空券の特別取り扱いでの変更が可能となりました。具体的なガイドラインは、下の参照のリンクからご覧ください。
さいごに
現時点で発表されている、イタリアにおけるコロナウイルスの状況を簡単にまとめさせていただきました。今後も新しい情報などについては、随時更新していきたいと思っております。
イタリアでの感染状況(日本時間3月22日時点)
州 | 感染者 | 死亡者 |
ロンバルディア | 25,515 | 3,095 |
エミリア・ロマーニャ | 6,705 | 715 |
ヴェネト | 4,617 | 146 |
ピエモンテ | 3,752 | 238 |
マルケ | 2,153 | 154 |
トスカーナ | 2,012 | 72 |
リグーリア | 1,436 | 152 |
トレンティーノ・アルト・アディジェ | 1,403 | 48 |
ラツィオ | 1,190 | 50 |
カンパーニャ | 844 | 22 |
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア | 790 | 42 |
プッリャ | 675 | 29 |
アブルッツォ | 529 | 22 |
シチリア | 490 | 6 |
ウンブリア | 462 | 10 |
サルデーニャ | 330 | 4 |
ヴァッレ・ダオスタ | 313 | 8 |
カラブリア | 235 | 5 |
モリーゼ | 66 | 0 |
バジリカータ | 61 | 7 |
合計 | 53,578 | 4,825 |
サンマリノ共和国 | 197 | 14 |
ヴァチカン市国 | 1 | 0 |
参照:Covid-19 - Situazione in Italia
現地新聞社等最新情報
新型コロナウイルスの最新情報は、当サイトでも更新して参りますが、随時更新にはどうしても限界があります。そのため、イタリア語のページも併せて紹介いたします。
- Coronavirus in Italia, i dati e la mappa(Il Sole 24 Ore:グラフ・データ等)
- Coronavirus in Italia: le ultime notizie(la Repubblica:最新情報)