地震に続いて噴火?
昨年2016年夏のアマトリーチェとノルチャを襲ったイタリア中部地震は記憶に新しいのではないでしょうか。
その日付が、ポンペイを壊滅させたヴェスヴィオス山の噴火(紀元84年)と同じ8月24日であったことは奇妙な偶然として、一部の人々の間で話題になっています。
しかし、そのヴェスヴィオス山麓の都市ナポリ近郊のフレグレイ平野にて、超巨大火山の噴火の兆候が確認されつつあります。
ナポリとフレグレイ平野
フレグレイ平野(Campi Flegrei)はナポリ西方に広がる、長さ13kmのカルデラです。
イタリア語で「燃え盛る平野」を意味するこの地域には、現在50万人が生活しています。
科学誌『Nature Communications』に、フレグレイ平野の地下から放出されるガスの圧力が、臨海圧力に達している可能性があるという見解を示した論文が掲載されました。
観測の結果、ローマのイタリア国立地球物理学研究所は「マグマが、ガスを放出する臨界圧力(CDP)に達している可能性がある。世界屈指の人口過密地帯である大都市ナポリ近郊にあるこの火山では現在、加速的な変動と温度上昇が観測されている」と発表しています。
イタリアと火山~ポンペイ遺跡
ポンペイ遺跡といえば世界遺産として有名なナポリ近郊の観光地で、国内外より多くの観光客が訪れています。
この遺跡は前述したように、ヴェスヴィオス火山の噴火によって壊滅しました。
紀元79年の噴火によって、古代ローマ人たちの日常生活の場であった街のみならず、2,000人以上の市民が犠牲になったのです。
死因の多くは火山ガスによる窒息と火砕流の直撃とされており、当時の犠牲者たちの様子が石膏を用いてはっきりと分かるようになっている展示は皆さんも見たことがあるかもしれません。
しかし紛れもないそのヴェスヴィオス火山の火山灰によって、市民たちの生活をよく伝える壁画などが、よい状態で保存されていたことは、何となく皮肉であるようにも思われます。
イタリアと火山~エトナ山
イタリアにおける火山として有名なものの一つに、エトナ山があります。
エトナ山はシチリア島東海岸にある火山で、地中海の島の中では最も標高が高く、活動も活発な成層火山です。
噴火の歴史は50万年前までに遡り、少なくとも2700年前の噴火活動が記録されています。
今現在も活動は活発で標高の変化が早いことで知られていますが、山麓ではその火山性の土壌を生かした果樹園があり、それから作られるワインも有名です。
終わりに
地震や噴火の多い日本にとって、この話題は非常に身近なものではないでしょうか。いつ起こってもおかしくはないこうした自然災害に対して、常日頃からの備えが非常に重要になってくるということは間違いありません。フレグレイ平野での火山噴火が差し迫っていることを示す証拠はないものの、ポンペイ遺跡がかつて起きた自然の脅威を今に物語る、物言わぬ証人であることを記憶に留めておくことは必要であるのかもしれませんね。