これまで複数回に渡り、Made in Italyの崩壊と題して、イタリアブランドの疑惑について紹介してきました。
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そして今回は、次第に日本でも人気が上昇し、今や知らない人はいないであろう、オリーブオイルの偽装疑惑について取り上げていきたいと思います。
オリーブオイルに忍び寄る影
日本でも人気なオリーブオイル。美容・健康への効果は絶大で、多くの健康志向の人々が愛用しています。またイタリアでは、常にオリーブオイルをたっぷり使って料理しています(私も毎日それを食べています)。
ですがその反面、偽物のエキストラバージンオイルが世界中に多く流通していることが、問題として明るみに出ています。
疑惑はアメリカから
以前から疑惑が無かったわけではないこの問題は、2016年になると特に活発に議論されるようになったようです。そして、それはアメリカのドキュメンタリー番組がきっかけでした。
その番組内では、イタリア産ではないオリーブオイルが、イタリア産と偽装され、各地のスーパーなどで販売されている、という事実が報道されました。
マフィアがオリーブオイルを販売
そしてこの問題にも、またマフィアが一枚かんでいるようです。そしてその偽装をするのはアグロマフィア(Agromafia)という、農業関係のプロジェクトに関係するマフィアなのだとか。
オリーブオイルの中でもエキストラバージンオイルは、新鮮で高級、希少価値も高いためよく売れます。そのため、そこにマフィアが目をつけたということです。
本来のオリーブオイルの基準とは?
実は、国際オリーブ協会(IOC)という団体は、オリーブオイルの品質基準をきっちりと設けています。それは
- 果実をそのまま搾ったバージン・オリーブオイル
- 品質がいまひとつのオイルを精製した精製オリーブオイル
- 上記1と2をブレンドしたオリーブオイル
が基本です。
この中にも様々に細分化された基準が存在しています。そしてエキストラバージンオイルは、バージンオリーブオイルの中では最高級のものでなければならないのです。
アメリカの基準は?
アメリカには、バージンオリーブオイルという表示分類がないのです。つまり、オリーブオイルにおける明確で細分化された品質水準の保証がないため、このような偽装が横行してしまいます。
日本は?
遠いアメリカの話とのんびり構えている場合ではありません。実はアメリカ同様、日本にもこのような基準はありません。そのためもし市販品をテストした場合、同じような結果になる可能性があるのです。
実は日本の基準には、オリーブ油と精製オリーブ油の2種類しか分類がありません。加えてそれぞれの区別は精密な調査をしなければわからないレベルなのです。その結果、アメリカ同様、日本も偽装エクストラヴァージンオイルが横行している可能性があります。
名誉回復へ...
オリーブオイルはイタリアの文化
イタリア国内では、世界各国におけるオリーブオイルに対し、ワインのような厳しい基準を求める声が出ています。というのもこれらの一連の偽装により「イタリアのオリーブオイルはみんな偽装されている」という偏見が生まれているからです。
イタリアの文化ともいうべきオリーブオイルを誤解されることは、彼らの文化の価値を傷つけることにも繋がります。
イタリアの厳しい品質チェック
イタリア内では非常に厳しい品質チェックがなされ、管理されています。オイルの偽装のために訓練された警察官がいたり、生産者のことをトレースできる制度を設けているほどです。
ですがイタリアの外を出る輸出オリーブオイルに関しては、同様のことができないのが現実です。
いたちごっこは続くのか
1990年代以降、オリーブオイルの偽装は今日まで横行し続けています。
ヨーロッパ全体で調査委員会が設置され、偽装を見破るための新たな検査方法の導入が繰り返されてきましたが、それを上回る巧妙な偽装が仕掛けられ、いたちごっこの状態が続いています。
良いオリーブオイルの選び方
良いオリーブオイルはどこで?
そもそも、良いオリーブオイルとはどのように作られているのでしょうか?私たち専門家ではない人にとっては、オリーブオイルに詳しい専門家や専門店の意見を参考にするのが最もいいと言えるでしょう。
ですが、もし皆さんが自分でオリーブオイルを買う場合、どのように買うべきかの指標がいくつかあります。
ここでは南イタリアの食材輸入を行っているブリッジジャパンさんの記事を参考にさせていただきました。そしてこれらの情報を、ホームステイ先でお世話になっている、イタリアの味を食べ続けて70年のマンマの賛同を得た上で記載しています。(もちろん、意見の一つとして捉えていただければ幸いです。)
1.価格
エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブオイルの中でも一番良い品質の部分で全体の2割程度と、希少価値が高いのが特徴です。そのため、海外からの輸入コストなどを考慮すれば、激安のエキストラバージンオイルは存在するはずがないのです。
ステイ先のおばあちゃんも、あまり安いオイルは買わず、敢えて数ユーロほど高いオイルを買っていました。家族の健康を第一に考えるからこそ、家計が少し厳しくても、いいものを買おうとしていました。
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2.ボトル
ピュアなオリーブオイルを生産する農家の皆さんは、自分が丹精込めて作った大切なオリーブオイルを、可能な限り高品質で届けたいと思っています。そのため、彼らはしっかりとオイルを入れるボトルにも気をつかっています。
遮光性瓶、陶器、缶など、光や熱からオイルを保護するタイプのものが最もオススメとのことです。ちなみに、よく見かける透明な瓶やペットボトルに入っているオイルは保存に適していないのだとか。
3.オリーブオイルと生産者情報
イタリア産というザックリとしたくくりではなく、トスカーナ州産や具体的な町の名前など、生産地域の情報がしっかりと記載されていれば、より信頼度が高い、ということを教えてくれました。それ以外にも具体的にどんなオリーブ農家が製品に携わっているかも分かると、さらに良いと思います。
もしも、イタリア産以外のオリーブオイルが混じっていたり、情報の改ざんなどを行ったりしている場合、記載の情報が曖昧なことが多いです。
4.味見
良いオリーブオイルとは、どのような風味がするのでしょうか。酸化していない上質のエキストラバージンは、とてもさらっとしていて爽やかなのです。
オリーブオイルの良い成分の多さは、風味・香り・刺激といったオイルの持つ知覚特性の強さに比例していると言われています。「やさしい味」とか「マイルドな風味」ということは、その分オイルとしてのグレードが低いということを表すのです。
ただ、日本でオリーブオイルの味見をして購入するのは、なかなか難しいかもしれませんね...。
さいごに
まさにイタリア料理を支える重要な存在といえるオリーブオイル(エキストラバージンオイル)。私のホームステイしている家庭でも、これでもかというほどオイルをよく使っています。
既に日本でオリーブオイルを愛用されている皆さんは、一つの指標のみに騙されず、様々な観点から良質なオリーブオイルを見極める必要があるのではないでしょうか。