ちょっとディープなイタリア語の世界
イタリア語の基本的なことはちょっと分かるけど、もう少し詳しいことが知りたい!と思う方へ。本記事ではそんなちょっとしたイタリア語オタクの皆さんの要望に応えるべく、イタリア語の歴史や方言などを様々な特徴から読み解いていきたいと思います。
イタリア語の世界を語るための特徴10つ
1.ラテン語から派生した俗語
イタリア語がラテン語から派生したということは確かなようです。けれどそれはイタリアの学校で教えられるようなラテン語ではなく、俗語(話し言葉)でした。
そしてそれは共和国の時代に、ローマの一般市民、兵士や農民に話されているものに近かったのです。実際、クラッシックなラテン語と、彼らが使っていた言葉とでは、ニュアンスの違いが見て取れることが多いんだとか。
イメージとしては、クラッシックなラテン語が「太っている」と言うのに対し話し言葉では「デブ」と言うみたいなものでしょうか。
2.イタリア語の原型はどこからは?
イタリア語の原型が文書として残っているのはいつ頃からでしょうか?公的なものとしては、960年の「カプアの証文」(Il Piaciuto Capuano)というのがそれにあたるようです。
全てイタリア語で書かれていたのではなく、ラテン語の文章の中に、話し言葉として少しのイタリア語が混ぜられるようにして登場したんだとか。
ですが、最古のイタリア語の記述は、コンモドゥスのカタコンベ(Catacombe di Commodilla、ローマのvia delle Sette Chieseにある)という、6~9世紀まで歴史を遡る壁に書かれています。
壁には「秘密を大きな声で言わないように」と書かれており、おそらく、教会などにおける祈りの声をもう少し小さくするように、友人に求めたものだとされています。
3.イタリア語の体系化をしたのはダンテ
話し言葉である俗語は、侵略者たちの言語(ロンバルド語やフランク語、ゴート語)などと混ざって派生し、そしてそれが発展してイタリア語になりました。
その体系化に大きく貢献したのは『神曲』などで知られるダンテ・アリギエーリです。彼は1303~1305年に彼の捧げた著作「De vulgari eloquentia」(俗語の話し方)を発表し、イタリア語を定義づけたとされています。
4.方言は大まかに3分類
イタリアでは多くの方言が話されていて、それは数を数えるのが難しいほど。便宜上、学者達はイタリアの方言を三つの地域ごとに分けました。
ラ・スペツィア-リミニ線は北方と中部を分けており、ローマ-アンコーナ線が中部と南部を分けています。イタリア人は方言を母語として話し、不完全な形で国語を獲得します。
こう考えると難しいので、日本に置き換えてみましょう。例えば日本には関東弁と関西弁と東北弁がざっくり分けられているみたいなものでしょうか。そして、日本ではどの地域の人もしっかりと標準語を学びますが、イタリアではそうではなく、自分の住んでいる地域の方言のままで、イタリア語を習得するのです。
5.方言の話者数
イタリア語には様々な方言があります。最も普及しているのはナポリ語で、話者数は570万人。続いてシチリア語が話者数470万人、ヴェーネト語が話者数380万人、ロンバルド語が話者数380万人、ピエモンテ語が話者数160万人となっています。
対して最も話されていないのは、モリーゼのクロアチア語で、話者数は1000人しかいません。
6.読み書きができない人がたくさんいた
1861年にイタリア王国ができた時、人口の80%の人はイタリア語で読み書きができませんでした。そして人口の約9%しか初等学校や高等学校に通っていませんでした。
100年後の1961年には、読み書きができない人は5%にさらに2001年には2%まで減っています。
7.識字率上昇は学校だけのおかげじゃない
ある言語学者によると、イタリア王国でイタリア語が確立されたのは、学校のおかげだけではないようです。例えば、雑誌などの出版物や移民の流出、更には軍隊の存在までも要因として挙げられます。
軍隊だなんて変な感じがしますが、徴兵制によって全国から集められた兵隊たちは、言葉を理解して訓練についていくためにも、共通のイタリア語を理解しなければならなかったようです。
そして彼らが地元へ帰れば、次第にイタリア語は広まって行くことになります。
8.学校で習うイタリア語は、より複雑
イタリア人が学校で習うイタリア語は、基本のイタリア語と考えられていますが、このイタリア語は普段使っているイタリア語よりもより広い範囲を扱っています。
普段から学校で学ぶ時のように文法のルールを尊重しているわけではありません。例えば、接続法半過去などは時々雑に使われることが多いようです。
9.新しいイタリア語の誕生?
1964年には、ある学者は新しいイタリア語の誕生を恐れていたようです。もっと簡単な理論で、ラテン語との関連が全くないような言語です。
それは中間層以上の人向けの文化や、北部イタリアの文化に支配されてしまうような言語が登場すると考えられていました。イタリアは南部と北部で心理的な対立が内包している国家としても有名ですよね。
もちろん実際にはそんな言語は誕生しなかったわけですが、イタリア語学習者の身としては、どちらの方がありがたかったかはわかりません笑
10.外国人にとってイタリア語とは
イタリア語の勉強は、外国人にとってどのくらい難しいのでしょうか?
BBCによれば、イタリア語は、書いた文字と同じように読めばよく、単語のスペルと発音がよく似ています。発音はけっこうクリアで、トーンもわかりやすいため、単語や音をりかいしやすいとのことです。異論はありますが。
言語自体のつくりも他のラテン語をもととした言語とよく似ています。
まとめ
いかがでしたか?ちょっと知らないことばっかりだった人も、もしかしたらいくつか知っていた人もいるかもしれません。背景知識を知れば、イタリア語の勉強もより楽しくなるはず!その助けになれれば幸いです。
参考にしたページ
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