イタリアブランドに激震
先日、テレビ東京未来世紀ジパング「Made in Italyが激震」が放送され、イタリアブランドのブラック企業化が問題視されていました。
番組内では企業名は挙げられていませんでしたが、イタリアの代表的ブランドGucciが、外国人労働者を酷使して収益をあげている、ということが、2014年2月の告発によって判明しました。
この実態を暴き出したのが、元Gucciの下請け工場長のアロルド・グイドッティ(Aroldo Guidotti)さん。
もちろん、イタリア国内では既に大きな問題となっていましたが、日本でこのような実態が取り上げられたのは初めてのことでした。
外国人労働者とは
番組内で、実際に工場を訪れてみると、労働者は全員中国人でした。また彼らは1日16時間以上働かさせられ、賃金は激安という、Gucciの恐ろしいブラック企業状態が露呈したのです。
もちろん、中国人であるのが問題なのではなく、低賃金で雇った外国人労働者を酷使していることが問題なのです。
イタリアブランドのイメージはどうなる
イタリア製ブランドと聞いて、私たちがもつイメージとは何でしょうか? きっと、職人の手によって一つずつ丁寧につくられている、というものを思い浮かべる方も多いはずです。
もちろん21世紀の競争社会においては、100%イメージ通りとはいかないまでも、<Made in Italy>という文字には強烈なイメージがあります。そしてそれがあるからこそ、多くの人々が愛用しているはず。
このニュースは、イタリア国内でも受け入れられない事実として報道されたようです。
なぜこんなことになったのか
この原因の一つが「手工業者の賃金低下」と考えられています。
手作りにこだわっていたイタリアの多くの老舗は、大量生産と消費の経済の流れについていくことができず、本来の手作り路線を変更せざるをえなくなっています。
その結果イタリア人はそのような職種に就きたがらず、代わりに外国人労働者がそのような職種に就いていると言われています。
彼の作成した告発動画の中では、「10万円で売られるバッグを作っても、得られる収入はたった3000円」ということが述べられていました。
現状は変わったのか
グイドッティ氏は、この告発をきっかけにして、職を失い、家族を失い、今では友人の家に居候するしかなくなっているといいます。
自分の人生をかけた告発には意味があったと信じたい。しかし1年以上たった今でも、全く現状は変わっていません。グイドッティ氏は、自身が働いていた工場を訪れましたが、出会う労働者は全て中国人(外国人)。勇気を出した告発は実を結ばなかったのです。
実際、GUCCIの告発関係の問題を検索してみても、2014年12月以降は全くその問題関係の記事がありませんでした。
(Googleでニュースを検索しても、全く新しいニュースがない)
(Facebookの更新も、ここで止まっている)
また、グイドッティ氏のものと思われるTwitterやFacebookのページも、最近では全く更新されておらず、告発の運動は一瞬盛り上がり、旋風を巻き起こしただけで終わってしまったのでしょう。
さまざまな圧力があったと推測することはた易いでしょうが、受け入れ難い現実です。
最後に
(foto da https://seekcdn.com/pacman/company-profiles/logos/435676/gucci-logo.jpg)
私たちが知っている通り、Gucciは世界最高レベルの商品を創出し続けていることは紛れもない事実です。そのため、Gucciの品質について批判しているのではありません。むしろ、グローバル化や価格競争が進む昨今では、このような工場生産はある意味、当然の結果とも言えるかもしれません。
繰り返しになりますが、私が注目してほしいのは、労働者を不当な環境で長時間労働させている、という事実なのです。それだけはお忘れなく。
そして、全ての高級ブランドがこうである、と結論付けることは絶対にできませんが、このような現実がある、ということは知っておいた方がいいでしょう。
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