イタリア・サッカー界に蔓延る差別の実態と私が出会った”ほんの”一例

 2017/05/17

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3.ベナティア選手に「クソモロッコ人め」

 

ユヴェントス所属のモロッコ代表DFメフメト・ベナティア選手に対しても、2017年5月8日、国営放送Raiの中継中に差別発言があったという報道が。セリエA第35節トリノとの一戦のあと、中継放送でインタビューに答えていたベナティア選手のイヤフォンを通して「クソモロッコ人め」という発言が聞こえ、ベナティア選手は「今喋ったのは誰?」と問いましたが結局誰の発言か曖昧なままインタビューは終了。

国営放送の対応は?

これに対するRai側の公式発表が非常に印象的でした。

差別発言があったことに遺憾を表明しながらも発言者が社内の人物ではないと発表し、発言自体が公共の電波で放送されなかったことは幸いであったとしています。

対応の是非

これに関してですが、個人的に2つのことを考えました。

1.発言者が社内の人物でなかった場合、差別があろうがなかろうが関係がなく、「遺憾」とするに留めていること。

このような責任の所在を不明確にしようとする行動は、どの企業、国でも起こりうるかもしれません。人そのものを否定する差別問題で同じことがあって良いとは限りませんが。

2.発言自体が公共の電波で放送されなかったことは幸いであった

発言自体が公共電波で放送されなければ、「遺憾=残念な発言だ」とするレベルに止めることができる、つまり差別的発言は許されるものではないにせよ、断固として許されないものではないという、暗に差別に対しての諦めのようなものが見て取れることです。

国営放送であるRaiがこのような過ちをしっかりと認めずにこのような発言に至るというのは本当に意味がわかりません。話を飛ばしすぎと思われるかもしれませんが、「人にバレなければ差別してもいい」という根底にある気持ちが表れているような気がしてなりません。

4.サッカー界の差別

問題はもちろんイタリア以外も

イタリアだけでなく、ヨーロッパ全体でも黒人選手に対する差別は相当なものです。SNS上でそのようなメッセージを相当数受け取る選手もいます。

バロテッリの他にもSNSで人種差別に苦しむ選手は存在する。同じくリバプールに所属するFWダニエル・スターリッジは16000通、アーセナルのFWダニー・ウェルベックは17000通の人種差別メッセージを受けたという。

情報源: バロテッリ、今季SNSで4000通以上の人種差別メッセージを受けていたことが判明 

ヨーロッパサッカー協会UEFAはNo Racismを掲げ、差別主義反対を主張し続けていますが、それほど効果があるとは思えません。

何もこの問題は昨日今日始まったことではなく、以前からずっと起き続けてきたことでしょう。これまでも黒人選手を中心に、多くの選手が差別の対象になってきました。定期的にこれらの問題がニュースになり続けています。

解決策はあるか

果たしてこのような差別に立ち向かうための対策はあるのでしょうか。試合中であれば、主審が試合を一旦止め、差別的なチャントを行う観客に注意を与えることもできます。また、チームとしては、そのような行為に及んだ人に対して無期限のスタジアム入場禁止などの措置を取ることもあり得るでしょう。協会はクラブに対して罰金の支払いなどをさせていますが、毎回3万-5万ユーロ程度と、非常に少ない額にとどまっており、罰金が歯止めをかける要因になっているとは思えません。

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