ちょっと悪い言葉で、イタリア人と仲良くなろう
日本にもたくさん悪い言葉は存在していますよね?例えば「うざい」「きもい」などが代表ですが、イタリアには、日本をはるかに上回る数の汚い言葉(スラング)があり、イタリア語でparolaccia(パロラッチャ)と呼びます。
初対面の若者に「何かパロラッチャ知ってる?」と聞かれるようなこともありましたし、かなり多くのパロラッチャがイタリア人の中に浸透しているようです。そこで、本記事ではイタリアのパロラッチャを完全解説していきたいと思います。よく使うものから意味が強すぎて使えないものまで、徹底的に解説していきます。
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よく使う順
どこかの参考書にもあるような「でる順」ですね。なんだかんだ言ってもよく使うものを手っ取り早く知りたいのではないでしょうか!この辺の単語は単体だけでなく、形容詞的に使われたり、何かけなしたい単語とセットで使われることが多いのが特徴でしょうか。
よく使う
cazzo
意味:男性器
男性器のことを指しはするものの、本来の意味は失われており、日本語で表現するのであれば「クソ、ウザい、キモい」に近い頻度で、つまり相当使われています。「しまった」から「ちくしょう」から「クソったれ」まで広い範囲の意味を集約する言葉。
単体で使われることもあればChe cazzoやChe cazzo stai facendo? Domani io faccio un cazzoなど、しょうもないことに対する形容詞的な使われ方を多く見かけます。
merda
意味:糞、大便
そのまま「クソっ」っという感じで使われます。この単語もかなり浸透度が高く、che merda(なんてクソなんだ)や、pezzo di merda、merdaccioなどもあり、さらに◯◯di merdaなどと言えば「クソみたいな◯◯」という意味に早変わりです。
assurdo
意味:バカ
ナポリなど南イタリア方面で、最もポピュラーなパロラッチャの1つ。後述のCazzoと同じように機能していますが、それ以外の場所では単純にバカな人というそのままの意味で使われているようです。
bastardo
意味:養子の子供
英語にも存在するスラングですね。状況などに対してではなく人相手に使われます。いつでも使いますが、相手が自分に対して嫌な仕打ち(冗談でも)をしてきた場合などに是非。
minchia
意味:男性器
用法はcazzoとほぼ同じ。南イタリアでの使用が多いようです。
mannaggia
意味:ちくちょう
用法はcazzoとほぼ同じ。ローマなどの中部イタリアで使われることが多い単語。 語尾にla miseriaをつけることによってさらに意味を強めることができます。
cavolo
意味:キャベツ
用法はcazzoとほぼ同じ。北イタリアで頻度やや高。
まあまあ使う
vaffanculo
意味:ケツの穴に行け
意味としては元々相当強く、この単語がいくつのケンカや事件を生んできたか分からないくらいですが、それでも現在はやや意味を弱めているため、友人間の会話などにはよく登場します。
puttana
意味:売春婦
最も聞くのがporca puttanaで女性を指した蔑称です。figlio di puttana(売春婦の息子)なども見かけることはありましたが、イタリアに来てから数えるほどしか聞いていません。ちなみにfiglio...をヴェネト方言で言うとChea vaca de to mareが近い意味になります。
troia
意味:売春婦
porca troia(豚のような売春婦)というワードは非常によく聞きます。基本的に女性を指した蔑称です。ナポリ語だとzoccolaになります。
coglione
意味:睾丸
例えば誰かここにいないうざい人の話をする時なんかによく登場するかも。Che coglioneやporco coglioneのようにして使います。基本的に男性を指した蔑称です。ローマ方言だとcojoneになります。
mortacci
意味:死んだ親戚はクソだ
ローマなど中部イタリアの方言です。mortacciの後にけなしたい相手に合わせて人称代名詞を補います(mortacci tua, sua, vostra, loroなど)。ローマなどでは、過去の先祖に対しての強い気持ちがあるため、このように死んだ親戚という少々コアな攻撃がパロラッチャとして機能しています。
また、単体で使う場合は「超いいね!」という意味にも変わります。
par 'a wallera
意味:睾丸に似てるぞお前
ナポリなど南イタリアの方言です。イタリア語だとsomigli ai testicoliとなります。
che sfaccimm
意味:お前の父親の糞
こちらもナポリ方言のパロラッチャ。イタリア語にするとquello stronzo di tuo padreとなります。また、chillu strunz e patetも同義です。
porco Dio
神を冒涜する言葉(bestemmia)の中では最も利用頻度が高いワード。この今の状況をもたらした神=キリストに対してクソ野郎という意味を込めて使います。このパロラッチャを知っているだけで、大体のイタリア人は「そんな言葉言っちゃだめだから!」か「なんでそんな言葉知ってるんだよ最高だな!」の2種類に分かれます。porco gesù、porco cristo、dio caneも同じ意味です。
あまり使わない
stronzo
これもmerdaと同じく糞ですが、使用頻度的にはやや劣ります。クソ野郎などの強い否定などに用いられることが多く、brutto stronzoなど形容詞をつけるとさらに意味が補強されます。
porca madonna
porco dioを参照してください。ちなみによく「お前は仏教徒なんだからporco budda(ブッダ)って言えよ」とちょっかいをかけられます。
mannaggia di sangue cristo
神への冒涜では飽き足らなかったイタリア人が開発したこれまた最強の単語。非常に重要な意味をもつキリストの血をクソったれと詰ります。
tirchio
意味:ケチ
bifolco
意味:牛飼い
牛飼いの意味が転じて、馬鹿となっています。ヴェネツィアを含むヴェネト州でよく使われています。
fottiti
意味:一人で性交してろ
mona
意味:女性器
マヌケと言いたい時に使われます。こちらもヴェネト州。
rotto in culo
意味:お前の壊れたケツの穴
vaffanculoを参照してください。
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強さ順(弱い方から)
次は強さで。弱い方から見ていきましょう。見やすくするために、細かいところは使う順の分類も混ぜてあります。
弱い
意味が弱めのパロラッチャは「あまりにも意味が弱いからよく使う」と「意味が弱いのでほぼ使われない(パロラッチャとして意識されることはない)」の2種類でしょうか。
イタリア人に尋ねても「これは別にパロラッチャじゃないよ」と言われてしまうようなレベルのものです。老若男女誰もの日常会話の中にもかなり浸透していることが、その理由と言えるでしょうか。
assurdo, minchia, mannaggia, cavolo
tirchio, bifolco, mona
普通
cazzo, merda
puttana, troia, coglione, bastardo, mortacci, par 'a wallera, che sfaccimm
stronzo
ちなみに、merdaとstronzoではstronzoの方が、troiaとputtanaではputtanaの方が強い意味になります。
強い
vaffanculo
fottiti, rotto in culo
最強
意味が最強なパロラッチャは、もはやパロラッチャとは呼ばずに、全てBestemmia(ベステミア)という神を冒涜するもので、使いどころを間違えると本当に大変なことになるはずです。冗談半分では使うことができないので要注意。
porco Dio, porca madonna, mannaggia di sangue cristo
パロラッチャを言う相手別
パロラッチャは意味の強さなどに依存し、適当に言えばいいというものではない、ということはおわかりいただけたと思います。
そして他にも「人に向けて言うパロラッチャ」と「状況に向けて言うパロラッチャ」とが存在します。もちろん、人によって個人差があるため、明確な区別は難しいものの、使ったり聞いたりしているうちに持ったイメージでざっくりわけてみます。
人に向けて言う
何か自分に対して不快なことをした場合や、バカなことをしている場合にはこちらのパロラッチャです。
assurdo, tirchio, bifolco, mona
puttana, troia, coglione, bastardo,mortacci, par 'a wallera, che sfaccimm
vaffanculo, fottiti, rotto in culo
状況に向けて言う
例えば「試験が難しい」とか「渋滞している」とか「寝坊した」など、何か特定の人物の意志が関与していない場合に用いられるパロラッチャです。
minchia,mannaggia,cavolo
porco Dio, porca madonna, mannaggia di sangue cristo
両方
状況を指す場合もあれば、人に対して向けることも頻繁にあるのがこの単語たちです。
cazzo, merda, stronzo
さいごに
イタリア語のスラング・パロラッチャはいかがでしたか?くれぐれも注意してほしいのは、日本と同じで、この類の言葉が好きではない人もいるということ。ある程度仲良くなったり、向こうから話を振ってきたりした場合は、これを使えばきっと仲良くなれるはずです。
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