前回の記事では、カターニア の守護聖人、聖アガタのお祭りについて書いたと思います。
シチリア・カターニアの守護聖人 聖アガタのお祭り
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続いて今回は、カターニアについてもう少し書こうと思います。カターニア はシチリア島の西部、エトナ山の麓に広がる平野に位置し、州都パレルモに次いでシチリア第二の都市です。
後ろに山が連なる地形のパレルモとは異なり、広い平野にエトナ山だけがど〜んとそびえています。町のどこからでも姿を見せてくれるエトナ山、活火山で現在でも時々噴火を起こしています。
エトナ山って、どんな火山?
このエトナ山、カターニア 市民にこよなく愛されています。活火山の麓に住んでいて危なくないのか?と懸念される方もいらっしゃるかと思いますが、実はとても優しい火山なのです。カターニア 出身の友人曰く、「エトナは赤い火山、それに対してヴェスヴィオは灰色の火山なの、知ってた?」と。
どう言うことか聞いてみると、「赤い火山」と言うのはマグマの濃度が高く、ねっとりとしている。きかん坊みたいにしょっちゅうポンポン弾けているけど、すぐに収まる。対してヴェスヴィオの「灰色の火山」はいつも静かだから、その存在を忘れてしまう。つまり、人々が活火山だと言うことを忘れてしまう。
マグマの濃度は低く、噴火したら水のようにあっという間に海まで溶岩が流れ、全部焼き尽くしてしまうはず。そして何十年分もの毒ガスを溜め込んでいるので、噴火したらおそらくそのガスにやられて人は死んでしまうだろうとのことでした。
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そう言えばあの「ポンペイの噴火」にしても、一瞬にして町が灰の下敷きになったと言われていますが、実はそうでもないことが知られています。確かに火山灰は降り続け、家から出られない人達が蒸し焼き状態になったり、屋根が積もった灰の重さに耐えられず崩れて下敷きになったり。でももう一つの死因は毒ガスでしたから。
そして実に興味深いことに、カターニア 市民で噴火の犠牲になった方がいないと言う話です。
エトナ山の恩恵
話が少々逸れました。つまりエトナ山はそれほど恐れる必要がないのです。そしてこのエトナの恩恵と言ったら!溶岩のお陰で土壌が多くのミネラルを含み、地質が良いのです。
それによって農作物が豊富で美味しく育つのであります。実際市場で野菜の値段を比べると、パレルモよりもはるかに安い。そして日本でもすっかり有名になり定着したと思われる「ブラッドオレンジ」、あの赤さもこの土壌のおかげだと言われています。同じオレンジの木を他の土地に移すと、身が赤くならないそうですよ。
そして勿論ぶどうの栽培も盛んで、つまりワインが美味しいと言うこと。
カターニアの町
町の低い位置、海に近い所にドゥオーモ広場があり、カターニア の町のシンボルマークである象のオリベスクが置かれています。ドゥオーモをはじめ、ほとんどの建築物に溶岩が使われており、大理石の白と溶岩の黒の美しいバロック様式が目立ちます。
目抜き通りである「エトネア通り」は緩やかな坂になっていて、この坂が既にエトナ山の勾配であります。石畳も溶岩が使用され、もう本当に「溶岩の上に立つ町」と言っても過言ではありません。そして町中にいきなり古代ローマ劇場が現れます。と言っても劇場自体は今の道路のレベルよりも低い位置に存在し、上から眺める形になります。
この劇場も勿論溶岩で造られているのですよ。見学もできますが、一部のみです。実は現在の町の下には、このローマ劇場の発掘されていない部分が眠っているのです。
さらに坂を登っていくとベリーニ公園があり、公園の高台からはエトナ山を拝むことができます。と言っても常に山頂を見せてくれるわけではありません。とっても気まぐれで恥ずかしがり屋のエトナ山、山頂を見ることが出来たらラッキーですよ。
シチリアでいちばん有名な魚市場
ドゥオーモ近くに市場がありますが、ここは何と言っても魚が有名。鮮度にしろ種類にしろ、値段にしろ、何をとっても他の市場よりも数段上を行きます。
朝から賑わいますが、最も人手の多くなるのは10時過ぎ頃からでしょうか?威勢の良い掛け声が購買意欲をそそります。そしてこの市場には貝類が多いのも特徴の一つと言えるかもしれません。
私の住んでいるパレルモでは手に入れることの出来ない貝がたくさん並んでいます。貝好きな私としては羨ましい限り。勿論肉、野菜、日用品も売っていますが、魚屋の占める面積が群を抜いています。市場内にはトラットリアも数軒あり、すぐ目の前で売られている新鮮な魚を堪能できますから、是非。
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一般的にシチリアでは「ストリートフード」に定評があることは以前書きましたが、ここカターニアも然り。
パレルモでは出会うことの出来ないものとして、「クリスペッレ」が挙げられます。これは水で溶いたイースト入りの小麦粉を揚げたもので、甘いバージョンと塩辛いバージョンがあります。甘い方はこの小麦粉だねに砂糖を加えて細長くして揚げ、最後に蜂蜜をたっぷりとかけて食します。
塩辛い方は中にリコッタ、もしくはアンチョビを入れてから揚げた物。かなり柔らかい生地なので、作るには技術がいるとのこと。町中にクリスペッレのスタンドが出たり、ほぼ立ち食いかテイクアウトのみの常設の店がありますが、甘いバージョンはバールでも食べることが出来ます。
しかしこれはシーズンがあり、大体9月中旬から5月一杯、夏場は姿を消してしまうので要注意。スタンドは深夜まで営業している所が多いようです。遊んだ後にちょっとつまんでから帰宅・・・、と言うのがカターニアっ子のお決まりだとか。
もう一つ、他の町ではあまりいかけないのにここで有名なのは「馬肉」です。馬肉の炭火焼、馬肉ハンバーグやそれで作ったパニーノなど、お好きな方は試してみる価値があるでしょう。
場所によって全然異なるシチリアの町
最後に、同じシチリアと言っても西と東、パレルモとカターニアでは方言も異なり、町の雰囲気も随分と違います。もともと商業都市として発展してきた所なので、パレルモよりも進歩的と言われています。
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日本からのツアーだと寄らないことが多いのですが、どうしてなのかしら?自由に動ける日が来てシチリアへいらっしゃることがあれば、是非ここにも滞在して欲しいと思います。