1000年以上の歴史がある、パレルモのストリートフードを楽しもう

1000年以上の歴史がある、パレルモのストリートフードを楽しもう

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国際線客室乗務員をしていた頃、仕事で訪れたローマに一目惚れ。その後社内留学システムを利用して渡伊。結局退職して、本格的にイタリアに居を構える。フィレンツェで数年暮らした後は、縁あってシチリア島へ引越しし現在に至る。フリーランスで通訳、コーディネーター、ライター稼業を営みながら、シチリアのスローな生活を楽しんでいる。

シチリアと言えば美食の島、美味しい物が山程あります。島ですから勿論豊富な魚介を想像する方が多いかと思います。

徐々に色々とご紹介していきたいと思っていますが、まずはストリートフードから始めてみたいと思います。実はシチリア、ストリートフードが有名なんですよ。しかも今から1000年以上前から存在するものもあり、驚きであります。

歴史が長い?パレルモのストリートフード

1.アランチーナ

アランチーナ、シチリアの揚げお握り

具のバリエーションが豊富

まず代表的な物と言えばアランチーナ、ライスコロッケです。因みにパレルモではアランチーナと女性名詞が使われ、その他の町ではアランチーノと男性名詞になります。どちらでも通じますけど。定番の具はミートソース、もしくはハムとチーズ。具によって形も変わります。

更に近年では具のバリエーションも増えてきて、サーモン、キノコ、サルシッチャ(イタリアの生ソーセージ)など新しい味を楽しむ事が出来ます。島の東側へ行くとピスタチオやナス入りなど、更に種類が沢山あり、西側の物よりも美味しいと定評があります。日本のイタリアンレストランでもアランチーナを出すところがあるようですが、私の知る限りたいていミニサイズ、本場の物は女性の握り拳くらいの大きさでボリューム満点です。

アラブ人との関係

このアランチーナ、9世紀にアラブ人がお米を持ちこんだ後に生まれました。おそらくカトラリーを使用しないアラブ人が、右手で肉の煮込みなどを一口、その後にお米を一口と交互に食べている所から、それを持ち運びできるようにこの形になったと言われています。

余談ですが私としては、フランシスコ・ザビエルがキリスト教や鉄砲やカステラを日本に持ちこんだ後ヨーロッパに帰る時に、優しい日本のおばちゃん達が「道中長いからこれを食べなさい」と言ってお握りを渡した。それがヨーロッパに入ってシチリアに伝わった。だけどシチリア人にはあまりに質素だったので彼らは揚げてみた、シチリア人は揚げ物が大好きだから。そしてアランチーナとなって定着した。そんな事はないだろうと思いながら、そう言う事を考えてる時間が結構好きだったりします(笑)。

2.コロッケとパネッラ

四角いのがひよこ豆で作るパネッラ。

パセリ、ミントがアクセント?

次に人気のあるのはコロッケとパネッラです。

コロッケは普通にジャガイモのコロッケですが、日本のものとは違い玉ねぎや挽肉は入りません。ジャガイモのみで、パセリかミントのみじん切りが入ります。個人的にはミントの方が好き。意外かもしれませんが、相性抜群です。

一口サイズのコロッケ、お酒のおつまみとしても最高です。そしてパネッラですが、これはひよこ豆の粉を水と一緒に練り上げてから薄く伸ばし、油で揚げた物です。レモンを絞って頂きます。ピッツェリアやトラットリアのメニューにも載っていますが、市場や街中の屋台で買い食いするのが楽しいです、ストリートフードですから(笑)。

コロッケパンも大人気

パレルモっ子はこれらを具にしたパニーノが大好き、日本にもコロッケパンが存在しますが、そのシチリア版と言えますね。でも千切りキャベツが入る日本のそれとは異なり、コロッケとパネッラのみです、つまり限りなく質素。

私はこのまま食べる方が好きかな?コロッケは他の町でも食べる事ができますが、パネッラはパレルモでしか出会えません。トラパニに一軒、移動式のトラックでパネッラを提供している所があります。お店のお兄ちゃんは勿論パレルモっ子。

3.モツバーガー

パレルモのモツバーガー

パレルモでしか出会えない

3番目は少々ヘビーな物、「モツバーガー」です。イタリア語でパニーノ・コン・ミルツァと言います。これもパレルモでしか出会えないストリートフードです。ミルツァとは脾臓のことで、実際は脾臓の他に肺も入っています。モツをラードで煮込んでからパンに挟むのですが、シチリアでは珍しく柔らかめのバンズです。写真のようにチーズ入りが定番ですが、勿論なしでも頼めます。

シチリアにはモツ煮込み系の料理も多く色々な部位を使用しますが、このバーガーに関しては脾臓と肺のみ。頑なに守られているので、強いこだわりがあるのでしょうね。ラードで煮てあるので結構脂っぽいですから、苦手な人もいます、因みに私もその1人。でも私の知り合いの殆どは美味しいと言い、日本でやったら受けるはずと言っていました。モツ好きな日本人は多いですからね。

ユダヤ人の賢いエピソード

パレルモにはおそらく5世紀頃からユダヤ人が住んでいたと言われ、その彼らが15世紀頃から食肉処理を請け負っていました。しかしその作業に対する報酬はお金ではなく、内蔵で支払われていたのです。

宗教上の理由から内臓を食する事を禁じられていたユダヤ人、自分たちが食べる事の出来ない内臓で支払ったパレルモ人に、それを調理して売っていたのです。さすがユダヤ人、頭を使って策を練り、パレルモっ子達に支払わせていたのですから、あっぱれですね。パンに挟む形になったのはもっと近年のことだそうです。


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4.スティッギオーラ

スティッギオーラ。焼くと凄い煙が出ます。

4番目もモツ系です。子羊、もしくは子山羊の腸でネギを巻き、炭火で焼き上げます。日本で言う「アスパラ巻き」の変形番ですね。これは物凄い煙が出るのでレストランやトラットリアでは出会えません、市場や道端の屋台のみです。

焼いてから小さく切り、レモンをギュッと絞ってパクッと口へ入れます。カリカリに焼けた表面が香ばしく、ネギとの相性も抜群です。スティッギオーラという難しい名前が付いていて、これはシチリア方言です。イタリア語では?存在しない言葉です(笑)。

屋台でも大抵は簡易テーブルと椅子が置いてある事が多いので、これとビールで一休み・・・が出来たら、パレルモ町歩きでは上級編と言えるでしょう。

さいごに

これらはパレルモで出会えるストリートフードが中心、まだ他にもありますし、土地が変わればそこでしか出会えない物もあるので、又の機会に他の物もご紹介していこうと思っております。

きちんと座って味わうレストランの食事も美味しいですが、買い食い感覚のストリートフードはそれと違った美味しさと楽しさがあると思っています。


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