イタリア映画好きのGW恒例行事「イタリア映画祭 2022」が、今年も開催されます。この記事では、上映映画における監督・俳優たちに着目し、視聴したい作品をピックアップしていきます。
イタリア映画祭とは
朝日新聞が主催する映画祭。歴史は古く、2001年から毎年、GWに開催されている。新型コロナウイルスを受け、2020年は存続も危ぶまれたが、オンライン上映と現地上映を組み合わせることにより、開催を維持。
以後、オンライン×現地の組み合わせで、東京・大阪に足を運ぶことが難しい地方在住者も鑑賞しやすくなるなど、幅を広げている。日本で上映されることが少ないイタリア映画を、たくさん楽しむことのできる貴重な機会となっている。
当サイトでも、過去よりイタリア映画祭や上映作品について取り上げている。
イタリア映画祭2022 概要
公式ホームページより
1.開催日・会場
①東京会場 4月29日(金・祝)~5月4日(水・祝)@ ユーロライブ
②大阪会場 5月14日(土)・15(日)@ABCホール
③オンライン5月中旬~(予定)
2.上映日程
スケジュールは公式ホームページを参照
3.料金
前売券:1,300円~1,500円(一般)、 1,000円~1,200円(学生)
当日券:1,600円~1,800円(一般)、 1,300円~1,500円(学生)
私が視聴したい作品たち
1.ダークヒーローを演じるのは『鋼鉄ジーグ』の、ルカ・マリネッリ
『ヴェノム』『モービウス』などハリウッドでも人気が高まっているダークヒーローですが、彼らはご存知のとおりアメコミの中の存在。同様にこの『ディアボリック』は、1960年代に大人気となったイタリアの漫画です。当時ディアボリックから端を発して多くのキャラクターが生まれ、今のMARVELのようにバラエティに富んだ作品が作られました。
そしてそのダークヒーローを演じるのは、 『マーティン・エデン』(詳細はこちら)『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のルカ・マリネッリ(詳細はこちら)。『鋼鉄ジーグ』で、主人公ジーグの前に立ちはだかる敵 ジンガロの演技が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。 ジンガロは完全な悪役でしたが、今回のディアボリックは冷酷非道な連続強盗犯でありながら、強い人気を集めるキャラクター。彼の演技に注目してみてください。
あらすじ
1960年代、架空の国クレルヴィル。冷酷非道な連続強盗犯ディアボリックは、富豪の夫を亡くし南アフリカから帰国したレディーのエヴァ・カントが持つピンクダイヤモンドを盗もうとするが、敏腕警部ジンコがそれを阻むべく追跡する。
2.監督&主演で大忙しな、エドアルド・レオ
イタリア映画のコメディシーンを語る上で欠かすことができないのがエドアルド・レオ。「いつやめ」こと『いつだってやめられる』シリーズや『私は神』、『おとなの事情』(詳細はこちら)、『幸運の女神』など、コミカルな語り口としぐさで笑いを作る才能に長けた俳優。
ローマ大学を卒業し、演技を多角的に学んだエリートどだけあって、その活動は俳優業だけにとどまらず、脚本・監督業もこなします。緊張と緩和、シリアスとコメディ、絶妙な使い分けが素晴らしい。
そして、映画祭で上映される『ある日、ローマの別れ』では、監督・主役を務めます。自らの生まれ故郷であるローマを舞台に、その美しい街並みや雄大さを存分に楽しむことができる恋愛コメディです。
あらすじ
ローマの街並みの美しさを存分に堪能できるロマンチック・コメディーで、長年交際しているカップルの恋愛の難しさを描く。
小説家トンマーゾは、本名を明かさずペンネームで恋愛相談コラムの執筆もしていた。ある日、長い付き合いとなった恋人を傷つけずに別れたいという相談が寄せられるが、相談者は恋人のゾエだった。
3.2022年に注目したいアレッサンドロ・ボルギ×ジャスミン・トリンカ
これからさらに飛躍していくこと間違いなしの中堅俳優の活躍に注目したいのが、この『スーパーヒーローズ』。恋人と観たい作品です。
アレッサンドロ・ボルギは、高身長かつ甘いルックスもさることながら、『暗黒街』(詳細はこちら)で演じたアウレリアーノのような、ダークな雰囲気も非常によく似合う俳優です。残念だったのは、2018年公開で、彼が主演男優としてダヴィド・ディ・ドナテッロ賞を獲得した『Sulla mia pelle』が、日本未公開であること。
そして、ジャスミン・トリンカは言わずもがな、2022年時点で40歳でありながら、既に約20年間に渡ってイタリアの映画シーンを引っ張ってきた俳優の1人です。
ナンニ・モレッティ監督にその才能を買われ、『息子の部屋』でデビュー、超大作の『輝ける青春』(詳細はこちら)への出演など、シリアスな雰囲気がとても似合う俳優でありながら、徐々にコメディ的な要素を持つ作品へも活躍の幅を広げています。
あらすじ
論理的思考の持ち主である物理教師マルコと、衝動的な漫画家アンナの若いカップルの大恋愛劇。しばしば喧嘩し、噓もついたりして危機的状況を迎える2人だが、なんとかそれを乗り越えようとする。
4.マルコ・ベロッキオ監督の暗い過去に迫るドキュメンタリー映画
御年82歳のマルコ・ベロッキオ監督。1965年、26歳の時に発表した『ポケットの中の握り拳』は、小さなブルジョワ家庭が崩壊していく様を、人間の本質やおどろおどろしい生々しさとともに描きだし、戦争や愛に関するテーマが多かった当時のイタリア映画シーンに革命を起こす作品と評価されました。
しかしその3年後、マルコの双子の弟であったカミッロが29歳の若さで自殺を遂げ、それは彼の作品に対する向き合い方や哲学へ大きな影響を与えていくことになります。
コーザ・ノストラのボス トンマーゾ・ブシェッタの生涯を描いた『シチリアーノ 裏切りの美学』(詳細はこちら)では、哲学的な問いかけは少ない史実とフィクションを上手く融合させた作品でしたが、特に彼が死に至るまでの内面描写が秀逸だったと思っています。当時、私は勝手に「ベロッキオ監督自身の人生を棚卸しているのではないか」と思ったのですが、こうしたドキュメンタリー映画が発表されたときも、やはり同じ感想を抱きました。
自身が監督を務めたドキュメンタリー映画では、果たして、どんな事実が明かされるのでしょうか。
あらすじ
ベロッキオ家の人々や関係者の証言、ニュース映像などを重ねながら、若くして脚光を浴びたマルコとは異なった道を進んだ双子の弟カミッロが29歳の若さで自殺した真相に迫る。また、同時にその死が監督自身の人生やフィルモグラフィーにどのような影響を与えてきたのかも明かされていく。
さいごに
その他にも、ネオレアリズモ時代の映画作品である『アッカットーネ』(当サイトでも紹介しています)や『赤い砂漠』など、過去の名作を大スクリーンもしくはおうちで楽しめる絶好の機会。
イタリア映画は、配給の関係かサブスクに登場する機会が少なかったり、入れ替わりが激しかったりしますので、貴重ですよ!
詳細は、イタリア映画祭公式ホームページを確認してください。