観光大国イタリアの貧困と移民問題

私が初めてイタリアへ訪れたのは2010年の冬です。クリスマス前だったので綺麗なイルミネーションと、想像していた以上のとても素敵な風景に感動しました。ですが、1番驚き、何よりも印象に残っていることはホームレスの数の多さです。世界各国から多くの観光客が訪れ、経済が潤っていると思っていたイタリア。なぜこのような現状になってしまったのか?今回はイタリアの貧困と移民についてご紹介します。

イタリアの経済

世界有数の観光地

イタリアは世界で1番、世界遺産を保有している国であり”観光大国”として知られています。

2018年のデータで観光客数を見ると、EU圏内ではフランス、スペインに次ぎ3番目に多くの観光客が訪れています。(ちなみに観光客数は日本の約倍です。日本もここ数年インバウンドが増えていると聞きますが、その倍とはさすが観光大国!)

また、観光業はイタリア経済の約75%を占めており、観光業が如何にイタリア経済を担っているか、数字を見ると一目瞭然です。

経済格差

イタリアは、国内において地域間格差が大きいことが特徴です。ミラノやトリノなど工業化が進んだ北部と、工業化が遅れた南部やサルデーニャなどの島では、所得や失業率に大きな差が生まれました。

特に2008年のリーマンショック以降に失業率は高くなりました。貧困になった人はイタリア全体の約8%に上ります。イタリア国内全体の失業率が20%弱に対し南部での平均失業率は30~40%であり、高いことが分かります。特に若者の失業率は40%と言われています。ですが、若者の失業率はイタリアだけでの問題ではなくヨーロッパ全体の深刻な問題になっています。

仕事を失い、または不安定な仕事にしか就けず、家賃が払えなくなりホームレスになってしまう人も多いです。多くの観光客が訪れるイタリア都市部の土地価格は上昇しており、家賃の値上げに苦しむ人もいます。

ちなみに

イタリアに留学していた時の学校の先生は、イタリアには仕事がないから英語を使って海外で仕事ができるように娘をイギリスへ留学させたと言っていました。そう考える親は多いそうです。

移民

近年問題になっている移民。よく日本のニュースでも取り上げられています。世界の多くの国にとって様々な影響のある問題ですが、どの国よりもイタリアにとっては深刻な問題になっていると言っても過言ではありません。移民と貧困はイタリアの長年の問題です。

なぜイタリア?

なぜなら、イタリアは移民たちにとって一番近いヨーロッパの国だからです。2014年以降60万人以上の移民がイタリアに入ってきたと言われています。渡ってくる移民の多くはナイジェリア、ギニア、コートジボアールなどアフリカ出身者が多いです。

イタリア最南端の小さな島、ランペドゥーサには北アフリカから最も近いため移民の目的地となっています。地中海を船で渡りすぐに到着できるが、事故も多く2015年には移民を乗せたボートが転覆し約800人の犠牲者がでました。

そもそも、なぜこれほど移民の流入が多くあるのかというと、2010年に起こった”アラブの春”と呼ばれるアラブでの反政府運動や”リビア内戦”が影響しています。中には移民でだけでなく、難民キャンプやシリアの内戦から逃れてきた難民も多くいます。

移民の受け入れに対しての反応

政府

多くの移民は貧相なゴムボートでイタリアへ渡ってきます。もちろん、大人だけでなく小さい子供も同じ船です。簡易ボートに多くの人がすし詰め状態なので、地中海を渡ることができずに命を落とす人たちは後を絶ちません。その都度、イタリアは制限なく移民の救助に当たってきました。

スペインやドイツ、フランスなども移民が増加していましたが、受け入れを制限し始めた国が増え、受け入れてもらえない移民は、受け入れを制限していないイタリアへ流れ着いたのです。キリスト教の精神もあり、命がけできた移民を送り返すことが出来なかったこともあり、イタリアに多くの移民が流入することになりました。政府としては、移民・難民の滞在許可の法律を厳しくし、1つの国だけに移民が増加しないようEU加盟国に訴えるなどの対応、対策をとりました。

国民

衰弱している人たちをケアするための医療費や移民収容センター、生活必需品などの費用は、イタリア政府の負担です。移民の受け入れに反対しているイタリア人は自分たちの税金が使われることに納得しておらず、反発の声もあります。(確かに、移民に使う税金があるなら生活が苦しい私たちを助けてと思いますよね)

また、治安の悪化についても言われています。移民の受け入れを積極的にしていたドイツでは、移民の少年グループによる暴行事件が起こり日本でも取り上げられて報道されていました。貧困で苦しい生活をしている移民は多く、犯罪に手を染めてしまうことは少なくありません。仕事に就けても失業しホームレスになってしまったり、不法就業で低賃金の仕事しかなく家を借りれない移民(難民も)も多くいます

ちなみに

もちろん、怖い人ばかりでなく気さくに話したりする人もいます。昔から移民が多く入ってきていた南イタリアの人は、移民に対して慣れている部分もあるようです。

さいごに

実は今、日本も他人事ではなくなってきています。住居を確保できずに生活をしている”ネットカフェ難民”と呼ばれる人たちの数が東京都の調査によると約4000人いると言われています。非正規雇用の数が増加しており、また生活保護の需給は減少傾向にあるものの、高齢者と外国人の受給者が多いと言われています。

移民や貧困は決して他人事ではなく、これからの日本の大きな課題になってくるでしょう。

参照

  • イタリア基礎データ 外務省
  • 世界経済のネタ帳
  • 世界の外国人旅行客数 国別ランキング・推移
  • イタリアにおける貧困への視座と対策 田中 夏子

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mina

学生時代のイタリア旅行を機に、イタリアの虜に。食べること、飲むこと、自然が大好き。なにより明るいイタリア人が大好きです。独学でイタリア語を学び、フィレンツェへ短期語学留学。現在も子育てしながらイタリア語学習継続中。

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