平時と戦時を同時に見学できる歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」

平時と戦時を同時に見学できる歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」

Kanba

イタリアの海沿いの小さな町に住んでいます。イタリアの大学を卒業後、日本の企業のために働いています。天気が良い週末は砂浜で筋トレしたり、庭でオーガニック野菜を作ったりしています。主に穀物・野菜・果物・ナッツ類を食べて暮らしています。

ラティーナにある歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」とは

ローマ近郊のラティーナ県にある広大な歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」(Museo Storico Piana delle Orme)。

ここには、1930年代に行われたラティーナ一帯に広がるポンティーネ湿原の干拓事業や第二次世界大戦時の連合国軍のイタリア上陸作戦であるアンツィオの戦いなど、特にムッソリーニ政権時の平時と戦時に関する様々なパビリオンが設置されています。

敷地内に置かれた軍用機F-104 S/ASA-M

広々とした敷地内に入ると左手に平時の農耕生活に関するパビリオンが立ち並び、右手に戦時(イタリアや北アフリカを舞台にした第二次世界大戦)のパビリオンが置かれています。

5万点にも及ぶ展示物が、パビリオンの至る所に展示されています。

ここでは、そんな歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」を平時と戦時のパビリオンごとに分けて幾つかご紹介していきます。

平時(農耕生活)のパビリオン

模型コレクション

歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」には、19世紀末から20世紀初めの模型おもちゃのコレクションも展示されており、車、飛行機、オートバイ、船、機関車、軍用機、軍用車両、航空母艦、兵隊などなどの模型が飾られています。

展示されている軍用機の模型

なお、イタリアやイタリア軍のだけではなく、第二次世界大戦時の連合国軍、枢軸国軍の兵器などの模型も置かれています。

ポンティーネ湿地の干拓事業

このパビリオンには、1930年代に始められたポンティーネ湿地の干拓事業や労働者の様子が等身大の模型や実物のトラクターなどを用いて展示されています。

また、この干拓事業により新たな平野と農地ができる前のラティーナ一帯の生活の様子もうかがい知ることができます。

干拓前の生活の様子

干拓事業と労働者の様子

さらに、ここにはムッソリーニが干拓現場で乗ったトラクターのモデルも展示されています。

干拓現場を訪問したムッソリーニの写真

ムッソリーニが使用したトラクターのモデル

なお、この干拓事業により、リットリア県(現在のラティーナ県)が誕生し、リットリア(現ラティーナ)、サバウディア、アプリーリアなどの新たな都市が生まれることになりました。

農業用トラクター

このブースでは、農耕生活に不可欠なトラクターが紹介されており、当時の様々なトラクターを見学することができます。また、収穫機や脱穀機も展示されています。

展示されているトラクター

脱穀の様子

農耕生活

ここでは、今ではもう失われてしまったワイン、オイル、パン、チーズなどを作る伝統的な生産過程の様子がうかがい知れます。さらに、鍛冶屋の作業現場や手工芸品も鑑賞できるようになっています。

農耕生活の様子

戦時(第二次世界大戦)のパビリオン

強制移送と強制収容

貨車と機関車が置かれた鉄道駅を再現し、ユダヤ系イタリア人たちが強制収容所へと強制移送される悲劇が描かれたパビリオンです。

どのような状況で収容所へと強制移送されたかを示す資料も展示されています。

軍事車両、軍用品

ここでは、第二次世界大戦で使用された様々な軍事車両、戦車、水陸両用車、輸送車などを見学することができます。

M4中戦車 シャーマン

ちなみに、ロベルト・ベニーニが監督、脚本、主演を務めた映画『ライフ・イズ・ビューティフル』で使用されたM4中戦車(M4 シャーマン)も展示されています。

エル・アラメインの戦い、サレルノの戦い

北アフリカ戦線における連合国軍と枢軸国軍の戦いであるエル・アラメインの戦い、連合国軍のサレルノ上陸を目的としたアヴァランチ作戦に関する展示がされているパビリオです。

北アフリカ戦線におけるイタリア軍

実物の戦車や当時の写真やパネル説明などでどのように戦いが展開していったか分かるようになっています。

アンツィオの戦い

連合国軍によるローマ近郊の都市アンツィオ、ネットゥーノへの上陸作戦が描かれたパビリオン。シングル作戦と称されたこの戦いの様子が等身大の兵士の模型などを利用して表現されています。

モンテ・カッシーノの戦い

連合国軍による爆撃でモンテ・カッシーノ修道院が完全に破壊されてしまったことでも有名なモンテ・カッシーノの戦いの場面を描いたパビリオンです。

残骸と化したモンテ・カッシーノ修道院も再現されており、戦争の悲惨さを伝えています。

破壊されてしまったモンテ・カッシーノ修道院

さいごに

歴史博物館「ピアーナ・デッレ・オルメ」の屋外には軍用機や航空母艦などが展示されており、軍用品なども販売されているショップも併設されています。

広々とした敷地内に置かれた数々のパビリオンを巡ることで、1930年、1940年代のイタリアの歴史の一部に触れることができます。

ローマを訪れた際にラティーナにあるこの歴史博物館にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


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