「イタリアの大学に留学してみたいけど、授業ってどんな感じなんだろう…」
「日本の大学の授業と同じように受けていればいいの?」
ローマに留学して一ヶ月になる私が、渡航前に考えていたことです。留学前の準備に関する情報は多くても、留学中の情報は手に入りにくく、同じように不安に思っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、イタリアの首都、ローマにあるローマ・ラ・サピエンツァ大学での授業や大学生活を紹介します。イタリア人学生向けの学部の授業にスポットを当てているので、留学を考えている方、そして日本ではあまり知られていないイタリアの大学生活を覗いてみたい方、どちらの方も必見です!
ローマ大生のスケジュール
私は現在交換留学生として、ローマ・ラ・サピエンツァ大学の文・哲学部に所属しています。まずは私の時間割をご紹介しましょう。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
1限 9:00-11:00 |
| 文献学 | 文学批評入門 | イタリア現代文学 |
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2限 11:00-13:00 |
| イタリア現代文学 |
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3限 13:00-15:00 |
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| 文学批評入門 |
4限 15:00-17:00 |
| 外国人向けイタリア語 |
| 外国人向けイタリア語 | 文献学 |
5限 17:00-19:00/20:00 |
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授業は1コマ2時間!
時間割を見てまず気付くのが、授業1コマが2時間あるということ。日本の大学では1コマの授業は90分、あるいは100分であることが多いので、やや長く感じるかもしれません。
ただ、イタリアの大学では古くから、「教授は15分ほど授業に遅れて来るし、学生もそれに合わせて来る」という伝統があるので、時間ぴったりに授業が始まることは少ないように感じます。もちろん、時間通りに来る教授もいます。
また、授業の間に休憩時間がなく、教室移動の時間が考慮されていません。これも、教授や学生の移動に時間が取られ、時間通りに授業が始まらないひとつの要因です。
そして、多くの教授は授業開始1時間後、つまり授業の前半・後半の間に5-10分の休憩を入れます。ですので、2時間まるまる講義、という授業はほとんどないのではないでしょうか。
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バカンスはあるの?
イタリアの学校の年度のはじまりは10月。ローマ・ラ・サピエンツァ大学でも10月初旬から授業がはじまり、クリスマスと年末年始の休みを挟んで1月下旬までがⅠセメスター、2月下旬から夏までがⅡセメスターとなります。2018-2019年度のアカデミック・カレンダーは以下の通り。
Ⅰセメスター | 10月1日(月)〜1月19日(土) |
クリスマス休暇 | 12月22日(土)〜1月5日(土) |
Ⅱセメスター | 2月25日(月)〜6月8日(土) |
イースター休暇 | 4月18日(土)〜4月23日(火) |
学部や授業によって試験日は異なりますが、一般に各セメスター後がappello (アッペッロ)と呼ばれる試験期間になります。一貫した「夏休み」「冬休み」のようなものは存在せず、試験が終わり次第休みに入るといった感じです。
また、キリスト教国ならではの、クリスマス休暇やイースター休暇が存在します。
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日本と違う!?授業スタイル
さすがイタリア!話し上手な教授陣
授業を受けてみて驚いたのが、教授がほとんど板書をしないということ。他の学部ではまた事情が違ってくるのかもしれませんが、文学部の教授たちは話すばかりで、日本の大学の授業のように黒板やスライドを使うことはあまりありません。これは留学生でイタリア語が母語ではない私には厳しい環境で、キーワードや数字を聞き逃してしまうこともしばしば…。
それでも、視覚情報が少ないからといって授業が退屈といったことはなく、むしろ早口でカンペなども使わず、時折ユーモアも交えながら講義する教授陣には圧倒されます。
もちろん、説明が難しい図や表は黒板に板書されることもありますし、事前に授業用資料が教授からメールで送られてくることもあります。いずれにせよ、視覚情報が少ない分、イタリアの学生たちは日本の大学生よりも熱心に講義を聞いているという印象です。なるべく多くの情報を書き取ろうと、パソコンやタブレットを使ってノートをとる学生の姿も見られます。
また、授業中に挙手し、教授に質問する学生も多いです。「ここがわからなかった」、「この理解で正しいか」といった質問から、「ここを聞き逃したからもう一度教えて欲しい」なんていうリクエストまで、授業後ではなく授業中に学生が活発に参加するのも、イタリアらしさでしょうか。
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「履修登録」が存在しない!
1303年に設立された歴史あるローマ・ラ・サピエンツァ大学には、11の学部と63の学科が設けられています。私はその中でも文・哲学部に所属し、現代文学科の授業を受けています。
時間割を見てお気付きの通り、同じ科目が週に2コマ以上あるのが一般的。一般教養科目の多い日本の大学と比べると、入学したての1年生向けの授業でもかなり専門性が高く、内容も濃いといえます。
とはいえ、日本の大学で言う「履修登録」が存在しないので、ローマ・ラ・サピエンツァ大学の留学生は興味があれば自分が所属する学部・コース以外の講義も聴講できます。学生たちは普段授業に出席し、試験前になると試験を受けるための登録をする、というシステムです。
ですので、授業を何度か受けて合わないと感じれば授業に行くのをやめれば良いし、試験前になって「今期は忙しいからこの授業の試験は受けない」なんていう選択も可能なんです。
私が通う日本の大学では、履修登録完了後に授業が合わないと感じても履修中止ができないので、自分の能力やスケジュールに合わせて授業・試験の数を調整できるこのシステムはありがたいです。
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世界中の留学生も驚く、試験の受け方
こちらはイタリア映画『輝ける青春』La meglio gioventù (2003)のからワンシーン。冒頭では大学の講義室で、スーツを着た教授が学生と向き合い、用紙に試験の点数を記入しています。
このように、ペーパーテストが一般的な日本とは異なり、イタリアではほぼ全ての試験が、学生が教授と直接顔を合わせる質疑応答形式の口頭試験です。
卒業が入学ほど難しくない日本の大学とは対照的に、卒業するのが難しいと言われるイタリアの大学では、学生たちは試験に向けて熱心に勉強します。大学構内には自習している学生も多く、24時間利用できる図書館もあるほど。
ちなみに、キャンパス中央にあるこちらのミネルヴァ像と目を合わせると卒業できない、というジンクスが。ローマ大志望の方はくれぐれもご注意くださいね。
まるで争奪戦!?大規模ゆえの座席事情
ローマ・ラ・サピエンツァ大学は規模がかなり大きいのが特徴。全体で10万人を超える学生が学んでおり、様々な領域の図書館や博物館をも備えたキャンパスはCittà Universitaria (大学都市)と呼ばれるほど。メトロB線Policlinico駅近くのメインキャンパスの他にも、ローマ中に小さなキャンパスや関連施設が点在します。
この広大なキャンパスの中にはいくつもの建物があり、学部ごとに拠点が変わります。
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文・哲学部の建物はメインキャンパス中央の5階建てで、各フロア・各エリアによって文学、美術史、地理、文献学、音楽学…などの専用施設・図書館・講義室が分かれています。
講義が行われる講義室・教室はどこもサイズが大きく、マイクなしでは教授の声が聞き取りにくいことも。また、エレベーターがないので階段での移動を余儀なくするのですが、イタリア人の学生曰く、「文学部の学生はたいてい運動不足だからちょうどいい」そうです。
授業にもよりますが、講義室では空席はほぼできず、学生たちは隙間なく詰めて着席します。小さめの講義室、あるいは受講者の多い講義では座席を得るため、前の授業が終わった瞬間に次の授業の学生たちが流れ込み、座席の争奪戦が勃発!
この戦いに負けた学生は、地面に座って授業を受けることになります。また、設備が古いので、椅子には座れたけれど壊れていて机がない、なんてことも。時間に余裕のあるときは、早めに教室前で待機しておくことをおすすめします。
おわりに
日本にはあまり情報のない、イタリアの大学の授業についてご紹介しました。日本の大学生活とは異なる面も多く、驚かれたことも多いのではないでしょうか?
イタリアへの大学留学を考えている方の参考になれば幸いです。
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