イタリアと聞いて、美味しいパスタやピッツァを思い浮かべる方は多いことでしょう。しかし唐突に「イタリアの軍隊ってどんな感じ?」と問われても、知らない方がほとんどです。想像することもなかなか難しいのではないでしょうか?
今回は、まずはイタリアの軍事事情をのぞき見したあと、世界に名だたるイタリアの武器メーカー「Beretta(ベレッタ)社」について紹介していこうと思います!
前提:イタリア軍隊
イタリアを守るカラビニエーリ
イタリア軍は陸・海・空軍と、第四の軍と呼ばれる国家警察軍(カラビニエーリ)を保有しており、兵員は約30万人、軍事費総額は世界第11位とかなり上位に食い込んでいます。第二次世界大戦後は徴兵制度によって軍が組織されていましたが、2004年には廃止されています。
ちなみにカラビニエーリは国家憲兵としての地位を与えられており、テロ対策としての警備を任務とすることもあります。筆者がイタリアを訪れた時には、ローマのサンタ・マリア・マッジョーレ教会の前で女性のカラビニエーリがテロ警戒を行っていました。
ベルサリエーリ
その代わりに、イタリア軍の中でもユニークな外見で有名なベルサリエーリについて紹介しましょう。ベルサリエーリとはイタリア陸軍の歩兵科の一つで、偵察・先遣等の任務を主とする軽歩兵のことを指します。
映画『ローマの休日』においてはアン王女を歓迎するパレードに登場し、ラッパを吹きながら駆け抜ける姿が印象的です。
ベルサリエーリたちは、戦闘時以外はヘルメットに黒い鳥の羽をつけて行動します。羽はヨーロッパオオライチョウのものとのこと。
「この黒い羽には何か意味が込められているにちがいない!」と、最初は筆者もそう考えていたのですが、タダのお洒落だそうです。確かに、イタリア軍のイケメンお兄さんに魅力を一層引き立てています。
じゃぁ結局、Beretta(ベレッタ)って?
これまではイタリア軍についてお話ししてきました。ここではイタリアを代表するといっても過言ではない銃器メーカーBeretta(ベレッタ)社について紹介していきたいと思います。
Beretta社の歴史は古く、銃器メーカーとしては最古のものであるとも言われています。起業は15世紀、記録においては1526年からその活動が確認され、現在に至るまで15代の家系によって支えられている、いわば老舗といったところでしょう。
イタリアらしいスタイリッシュな洗練されたデザインと機能の高い銃器は、世界中で高い評価を受けています。例として、アメリカ合衆国陸軍の制式拳銃はBeretta社のM92Fピストルで、多くの兵士たちに愛されているそうです。
また、アニメやゲーム、映画の世界においても数々の作品に登場し「世界で最も有名な拳銃」とも称されるほどです。
同社では1日に約1,500丁の銃器を生産し、国内だけでなく100以上の国と地域に輸出しています。
軍用のみならずスポーツとしての射撃、例えばクレー射撃などに用いられる散弾銃もBeretta社製のものが多く、世界の選手たちに愛用されているそうです。2008年の北京オリンピックにおいては、Beretta社製の銃を使用した選手により、金メダル2個と銀メダル1個が獲得された実績もあります。
イタリアと軍事、関係がないようで、実は軍事力も強く、軍需産業も意外と盛んだったりするんです。ヘルメットにつける羽といい、無骨な軍隊にさえお洒落が光るところもまた、イタリアのお国柄といえるのではないでしょうか。
美しすぎる制作工程
ここまで紹介してきたベレッタの銃ですが、その銃ができるまでの工程を撮った映像です。ボーッと最後まで観てしまいますね。
世界中の軍や警察に愛用されているベレッタ。ここで見ることができるのは最高級のプレミアムグレードモデル。値段は車1台を買えるくらいだというから驚き。映像製作はイタリアのAncarani Studio、監督はPaola Manfrin氏。
火。溶鉄。森。木。無機質なロボットアーム。寸分の狂いもない切削。息。生き物のように横たわる銃身をガンスミスが手にとってカチッと嵌める音。ぞくっときますね。