イタリア人は「時間にルーズ」
「イタリア人は時間を守らない」。日本人の私たちの中で、比較的よく語られるイタリア人へのイメージです。彼らは待ち合わせにも必ず遅れてやってきて、それも特に悪びれる様子もないことが多いです。私も1.2時間もイタリア人の友人に待たされたことが何回もあり、5,10分前行動が基本の日本から考えると本当に驚くほどです。
ですが私個人としては、イタリア人は時間にルーズなのではなく、時間に対する考え方が違ったり、時間に遅れざるを得ないような要因があるように思うのです。本記事では、私がそのように考える理由を取り上げさせていただきたいと思います。
イタリア人はルーズではないと思う
先ほど述べたことと被ります。私は、「イタリア人は時間にルーズだ」と冗談では言いますし、イタリア人からも「日本人に比べてイタリア人は本当にルーズだよ」と言われますが、本当にルーズだとは考えていません。
というのも彼らは、時間を守らなければならない局面ではキチンと守ります。大事な試験や仕事の際には余裕を持って行動しますし、常に正確に動こうとしています。
また、道を歩いていても、朝からお店の周りを綺麗に清掃している店員さんなんてのは多くみかけるもので、「怠け者だから朝は怠けている」というイメージも空想に過ぎないようです。
ではなぜ、イタリア人は時間にルーズだと考えられてしまうのでしょうか?一言で言ってしまえば、日本人とは時間や相手との関係性に対する考え方が違うのではないか、と思うのです。
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交通機関や渋滞
さて、イタリアの都市部では非常に交通渋滞がひどいことで有名です。目的地に向かう際に思ったより渋滞していたせいで、夜に出かける予定に遅れたりすることが多いです。そのためバスやトラムなどの公共交通機関も渋滞の煽りを受けてしまい、なかなか機能しているとは言えません。
ちなみに、イタリアでは比較的機能している地下鉄に乗れば、まあまあ時間通りに動くことはできます。ちなみに私の留学していたローマでは、イタリア人の友人で遅れる理由の大半は「交通渋滞」「バスがこない」でした。
このように、個人の力ではどうにもならないような事情によって、遅れざるを得ない状況が作られているとも言えます。
また、イタリア人で日本に留学していた友人は「日本人が◯時◯分の電車に乗ろうね」という形で待ち合わせするなんて信じられないことだ、と話していました。
単純なオン・オフ切り替えの問題?
イタリア人はオンオフをしっかりと切り替えます。日本人からすると、イタリア人は常にだらけていて、時間にルーズなように捉えられがちです。ですがそれは事実なのでしょうか?私は、私たち日本人の価値観に当てはめて考えたからこそ「違和感」を感じるのではと思っています。
というのも、日本人に比べて、イタリア人の多くはオン・オフをキッチリと分けています(断定系にしたのは、多くの友人からの賛同を得られたからです)。休むところでは休む、気合いを入れるところでは一気に頑張るのです。
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例1:飲みに行くとき
例えば友達と飲みに行く時、15分遅れや1時間遅れなんてのはザラです。「お前のこと車で迎え行ってやるよ」なんて言ってきた友達が、予定の1-2時間後にやっとやって来るなんてことは本当にザラです。毎週のようにありました。
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例2:旅行のとき
一緒に旅行していても、朝キツイときは予定時間をズラします。イタリア人とは、3泊くらいの旅行に2回行きましたが、「ちょっと朝起きれないから午後から行動しよう」とたとえ旅行中であっても言います。
以前北イタリアに旅行した際は、2日目にオーストリアのインスブルックという街に行こうと、みんなで計画を練っていたのですが、起きてきたのが11時過ぎで、結局行くことは叶いませんでした(笑)
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遊びの行為はオフ
そして、彼らからすると、飲みに行ったり遊びに行ったりすることは「オフの行為」であり、いわば時間を正確に守る必要はないと考えています。
なぜかってオフだから。リラックスして物事に接することを第一に考えているので、時間に囚われてせかせか動くことを嫌います。そして待たされる側も待たされる前提でいるので、それほどその行為を嫌だと感じているわけではありません。
この辺りが日本とは大きい違いでしょう。日本人は友達と出かける時でもなるべく時間を守り、正確に動こうとします。
イタリア人にとっては「時間を守る」ことは、それぞれの状況に応じて使い分けているように見えます。一方日本では幼少期から「時間厳守」を徹底されるので、 基本的になるべく時間を守ろうと心がけますし、相手に長い間待たされることを「普通のこと」と考えないので、慣れていない人は嫌な感じになるはずです。
時間への価値観
前項の続きになります。つまり、イタリア人にとって「時間」とは絶対的な価値観ではないのではないか、と思っています。
日本人は幼少より「時間厳守」を宗教のように叩き込まれ続け、その結果として様々な状況で時間を守ることを義務づけられています。また一方で、時間に無頓着な人には冷ややかな目を向けます。そのため日本人は"全体的に"は「時間」に対して正確な価値観を持っているのです。
イタリア人と日本人は時間に対する感覚が違うと思うエピソードは他にもあります。
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日本人が多くの場合にもつ「したいことがあるのに、色々としなければならない様々なことに押し潰されてしまって、ストレスがたまる」「時間がなくてできない」なんて相談をすると、多くの場合「そんなに焦らずに着実にやってけばいいじゃないか」「時間なんて関係ないよ。自分がやりたいことを目指そう」というアドバイスを受けることが多かったのです。
「何かある時に、どっしりと構えて、時間がかかってでもいいから、物事に取り掛かる」という姿勢を、日本にいた時よりも強く感じました。
誰かは遅れる
そして、もしも多くの人がこのような認識を持っていた場合、例え誰かが時間通りに来ても、誰かは遅れます。私たちの間でも「あいつよく遅れるし、俺もそんなに時間に正確じゃなくていいじゃん」的な行動はしばしばあるものです。
その結果として、イタリア人たちの待ち合わせもとても時間がかかります。時間通りに行ったら、何もすることのないローマ・テルミニ駅で1時間も待たされた、ということもありました笑
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ですが彼らは日本人に比べ、基本的に話すことを非常に好んでおり、待ち時間も話題がつきる場面を見たことがないので、待ち合わせ場所で、立ちながらでも、例え2人であっても、話が続くのはすごいことだと感じました。
さいごに
他の記事に比べ、長ったらしく読みにくい記事になってしまい、失礼いたしました。
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もちろん、全てのことに例外はあり、イタリアという多様な文化を持った国に住む人々のことを「イタリア人」と定義づけてしまうことは非常に難しいところです。「日本人は全員が数学が得意」と言われて、首をかしげる人も多いように、外部からの評価と実情は異なっていることは多いもの。
記事を書く上である程度の定義づけなしでは不可能なのですが、それでもそれを理解した上で記事を執筆するように心がけたつもりではあります。以上、イタリア人が時間がルーズというイメージは、必ずしも正解ではない、同じ価値観で当てはめてはいけないのでは?というお話でした。