この記事のまとめ
・イタリア生まれのコーヒーブランドを知ることができる
・アラビカ種とロブスタ種の配合、北イタリアと南イタリアの違いに注目して欲しい
イタリアのコーヒーブランドを紹介しよう。うちいくつかは、日本でも簡単に入手することができる。ご存知のとおり、コーヒーの生産地はイタリアではない。アフリカや中南米、アジアなど様々な生産地から買い付けたコーヒー豆を、イタリアで焙煎することが多い。
コーヒーは、世界の流通網が拡大すると同時にイタリアに入ってきたためか、どのブランドもイタリアの港町や文化的な中心地に本社があるのが興味深い。
イタリア発のコーヒーブランド
1.ラヴァッツァ(LAVAZZA)
イタリア北西部、ワインの一大生産地として有名なピエモンテ州の州都 トリノで1895年に創業したのがラヴァッツァです。後述のイリーと並んで、イタリア・コーヒー市場の中で不動の王座を確立しています。イタリア国内のスーパーでも、一番棚のスペースをとっているのはラヴァッツァだと思います。
定番の「Qualità Oro」は、中南米産の6種類のアラビカ種をブレンド・焙煎しているとのこと。香り高いアラビカ種とだけあって、強さの中に花やフルーツなどの華やかな香りを含んでいます。それをイタリアトリノ工場で焙煎して、世界中に輸出しています。
2.イリー(illy)
イタリア最北東部、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の州都 トリエステで1933年に生まれたのがイリー。私も1度トリエステには旅行に行ったことがあるが、区画が非常に整備されていて治安もよく、おしゃれで洗練された街という印象を受けた。イリーというブランドは、まさしくこの街のスタイリッシュなイメージをよく引き継いでいると思う。
コーヒー缶がとてもかわいいので、私は様々な豆を何回も入れて使っている。
豆は100%アラビカ種を使っており、ダークな香り高いコーヒーを飲むことができるだろう。日本ではキーコーヒーが総代理店となっている。このアラビカ種は、ブラジル・コスタリカ・エチオピア・グアテマラ・エルサルバドル・インド・ケニアの必須7種類+適宜2種類を加えた9種類の豆で配合され、ブレンドされている。
3.キンボ(Kimbo)
異文化の交流地点という意味では、ナポリも負けてはいない。1963年創業のメーカーであるキンボは、南イタリアでは圧倒的なシェアと存在感を放っている。
キンボの豆のほとんどは、ブラジルとベトナムが産地で、子会社が買い付けてくる。北イタリアのメーカーとの違いは、苦みの強いロブスタ種をブレンドに多く配合していることだ。
アラビカ種100%のハイフレーバーの商品もあるが、アラビカ:ロブスタ=7:3や4:6という商品もあり、それがパンチの強いキンボのコーヒーを実現している。かなり苦味が強いが、是非一度はトライしてみて欲しい。病みつきになる(私)。
4.モッタ(Motta)
ナポリから高速鉄道で南に30分、カプリやアマルフィなど南イタリアへの玄関口であるサレルノで年創業のメーカーがモッタ。1960年の創業です。キンボ同様ロブスタ種を多く用いた濃さと苦味を強く感じるコーヒー豆。
またカルチョ好きな人ならピンとくるかもしれないが、フットボールクラブのUSサレルニターナ1919の胸スポンサーを務めているのがモッタだ。
5.コスタ・ドーロ(Costadoro)
最後はもう1度北イタリアに戻ってきた。1890年にトリノで創業したメーカー。日本でも有名な「コスタコーヒー」とは全くの別物なので注意。
エスプレッソ発祥の地のトリノにあって、エスプレッソ以外の抽出方法に合う豆を開発するなど、革新的な取り組みを進めているこのメーカーのコーヒーは、ゆっくり時間をかけて焙煎され、アロマティックな香りが特徴的。
強い香りを感じたい、いつもとは一味違うコーヒーを飲んでみたい方にオススメする。
さいごに
香りが強いアラビカ種を多く使った北イタリアのメーカーの方が、日本人の口には合うだろうと思う。コーヒーは香りもセットで楽しむものだからだ。それよりはガツンとしたコーヒーを楽しんでみたい方には、ロブスタ種たっぷりの南イタリアのメーカーをオススメする。
イタリアに行かずとも楽しめるイタリアの味。皆さんも是非堪能して欲しい。
この記事を読んだあなたに
また、さらにコーヒーライフをひろげたければ、以下の映画や本に触れてみてはどうだろうか。
①映画「カフェ・ソスペーソ~優しさがつなぐ一杯」
イタリアのナポリには、自分のコーヒー代に加え、次にバールを訪れた貧しい人、つまりコーヒー代すら出すことができない人、のためにもう1杯分の代金を置いていく、ちょっと素敵な文化がある。あるナポリのバールに訪れる人々の人間模様を追った、Netflixオリジナルのドキュメンタリー作品だ。
完成度がそれほど高い作品ではないのだが、イタリアのバール文化を紐解く上で役に立つと思う。
②書籍「THE COFFEE BOOK」
決して安くはないのだが、たまたま持っていた図書カードを足しにして衝動買いした。イタリアのコーヒー文化とは直接関係ないのだが、今自分が淹れている、飲んでいるコーヒーはどこから・どのように来たのかを知るためのいわば図鑑のようなものだ。
③BUONO ITALIAの記事
私がコーヒーにハマりだしたのはここ半年くらいのことだが、それ以前よりイタリアとコーヒーに関する知識はちょっとだけ持っていた。イタリア人にとってコーヒーがどんなものなのか?イタリア人はスターバックス文化をどのように捉えているのか?ポップな文体から堅めの記事まで、いくつか取り揃えているので、時間があれば併せて読んでもらいたい。