はじめに
イタリアのコンテ首相が、4月10日に会見を行い、現在、イタリア全土で新型コロナウイルス感染抑制対策として出されている行動制限等の措置を原則5月3日まで延長すると発表したようです。
この延長により、基本的に外出が禁止された中でイタリアの祝日である4月12日のイースター、4月25日の解放記念日、5月1日のメーデーを迎えることになってしまうようです。
ここでは、ロックダウンによるイタリアのイースター休暇への影響の一部を現地メディアの情報等を参考にしながら見ていきます。ちなみに、イースターは、イタリアではパスクワと呼ばれているようです。
新型コロナウイルス下の復活祭
1.皆で一緒に祝えないイースター
カトリックの総本山バチカンがあり、国民の多くがカトリック信者のイタリア。十字架にかけられたキリストが3日後に復活したことを記念するイースターは、とても重要な宗教行事であり、現在でもイタリア各地で復活祭の日にはミサに参加し、その後、親戚等が集まって一緒に昼食を取ったりしているようです。
しかし、新型コロナウイルスの感染増加を受けて出された外出制限等の措置のために今年はいつものようにキリストの復活を祝うことができないようです。
自宅待機を余儀なくされた中で、SNSやビデオチャット等を通じて親戚や友人同士でイースターを祝うメッセージのやり取りが頻繁に行われる状況になるようです。
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2.ローマ教皇のミサもストリーミング配信に
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇もミサをストリーミング配信しているようで、復活祭のミサの様子もインターネット配信されるということです。
なお、通常イースターとクリスマスに『ウルビ・エト・オルビ』(ローマと全世界へ)という特別な祝福が送られるそうですが、フランシスコ教皇は2020年3月27日に新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて異例の『ウルビ・エト・オルビ』の祝福を無人のサンピエトロ広場で送られたということです。
3月27日の『ウルビ・エト・オルビ』の祝福 バチカン放送 YouTube
雨の中、一人で祝福を送るフランシスコ教皇の姿は、テレビ、インターネット等を通して全世界に配信されたそうで、3月28日付けのQUOTIDIANO.NETの記事によると、イタリアの公共放送局Rai 1での実況放送の視聴率は32.7%にも達したそうです。
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3.卵型のチョコレート、子羊の肉、コロンバ(菓子パン)の販売減少
家族や親戚等と一緒に復活祭の休暇を過ごせないために、イースターの定番である卵型のチョコレートや子羊の肉やコロンバ(ハトの形をした菓子パン)の売上も減少しているそうです。ちなみに、卵型のチョコレートは、割ると中におもちゃやアクセサリー等が入っており、子どもたちの楽しみにもなっているようです。
4月1日付けのDISSAPORE.COMの記事によると、卵型のチョコレートの販売数が、2019年に比べて35%も減少しているそうです。なお、同記事によると、卵の売上は前年比で45%も増加しているようで、外出制限の中、お菓子やパンやパスタを手作りしている家庭が増えているためだと考えられるそうです。
また、3月28日付けのIL MESSAGGEROの記事によると、菓子パン、コロンバの販売数も例年通りとはいかないようです。下記は、コロンバの写真になりますが、このコロンバは動物性食品を取らないヴィーガンのために卵もバターも牛乳も使用していないそうです。
市場には様々な種類のコロンバが出回っており、宅配サービスを積極的に行っているところもあるそうですが、現状はかなり厳しいようです。
さらに、3月30日付けのANSA.ITには、飲食店が休業していることもあり、子羊の肉の売上も芳しくないという記事が掲載されているようです。
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4.アンドレア・ボチェッリ、復活祭の夜にたった一人でドゥオモ・コンサート
世界的に有名なテノール歌手のアンドレア・ボチェッリが、4月12日の復活祭の夜にミラノ市の要望で外出することさえままならない人々のためにもミラノのドゥオモで歌声を披露するということです。
無観客で行われるこの『MUSIC FOR HOPE』と題されたボチェッリのドゥオモ・コンサートの様子は、YouTubeで世界各国にイタリア時間の19時から配信されるそうです。
ボチェッリのドゥオモ・コンサート YouTube 4月12日イタリア時間の19時から配信
5.イースター・マンデーのピクニックも取り止めに
復活祭の翌日の月曜日は、イタリアではパスクエッタと呼ばれ、家族や友人たちとピクニックに行くことが多いそうですが、今年は当然、それも取り止めになっているようです。
例年のイースター休暇では、国外からも観光客やカトリック信者がイタリア各地を訪れ、特に観光地は賑わっているそうですが、今年はどこもゴーストタウンのようになってしまっているようです。
ちなみに、ラツィオ州では、4月12、13日の両日ともスーパーマーケットさえも閉める方針のようです。移動制限の措置が出ている現在でも生活必需品を購入するための外出は許可されていますが、4月12、13日には必要不可欠でない外出の取り締まりをさらに強化するそうです。
イースター、イースター・マンデーともに゛街に誰もいない゛祝日になってしまうようですが、4月6日付けのLEGGO.ITの記事によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響でローマだけでイースター休暇の3日間で1億8000万ユーロ(約213憶円)以上もの損失になるだろうということです。
さいごに
コンテ首相も「戦後最大の困難」と位置付けている今回の新型コロナウイルスの感染状況ですが、都市封鎖をしている間に今後の対策をしっかりと整えないと多くの企業倒産や大量の失業者、それに伴う治安悪化など様々な問題が浮上してくる可能性があるようです。
参照
- QUOTIDIANO.NET(3月27日の『ウルビ・エト・オルビ』の視聴率に関する記事)
- バチカン放送 YouTube(3月27日の『ウルビ・エト・オルビ』の祝福動画)
- DISSAPORE.COM(卵型のチョコレートの売上に関する記事)
- IL MESSAGGERO(菓子パン コロンバの販売状況に関する記事)
- ANSA.IT(子羊の肉の販売に関する記事)
- アンドレア・ボチェッリのドゥオモ・コンサート YouTube(4月12日配信)
- LEGGO.IT(移動制限等の措置によるイースター休暇への経済的な影響に関する記事)