中世の建造物が残る町グラダーラ
「イタリアの最も美しい村(I borghi più belli d'Italia)」にも加盟するマルケ州ペーザロ・エ・ウルビーノ県にあるグラダーラ。マラテスタ家の城塞があり、保存状態がとても良好な中世の建造物が残る町として有名です。
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グラダーラには、夏のバカンス地として良く知られる都市リミニからだと、先ず列車でカットリカまで行き、その後にカットリカ駅近くのバス停から80番または81番のバスに乗ることになるようです。
バス停から5分ほど坂道を上るとグラダーラに到着します。歩きながら徐々にグラダーラの城塞が姿を現してきて、「イタリアの最も美しい村」に加盟しているのも納得の中世の建造物が立ち現れてきます。
歴史博物館
グラダーラ城塞の入り口をくぐり抜けて、中世の甲冑や刀剣を模した玩具が並ぶお土産屋やレストランを眺めながら石畳を歩いていくとグラダーラの歴史博物館に到着します。
叙事詩『神曲』を著したダンテ・アリギエーリの像に迎えられながら入り口を通ると、まず中世の拷問器具や武器が目につきます。
そして、壁の反対側に目を向けると、ダンテの『神曲』地獄篇に登場する「パオロとフランチェスカの悲恋」が衣装やフランチェスカの部屋の模型などを駆使してイメージ豊かに描かれています。
「パオロとフランチェスカの悲恋」とは
ラヴェンナ出身のグイド・ダ・ポレンタの娘であるフランチェスカは、政治的な目的でマラテスタ家のジョヴァンニのもとに嫁ぐことになります。しかし、ジョヴァンニは、足に障害があり、容姿も醜く、フランチェスカは、ジョヴァンニの美男の弟パオロと恋に落ちてしまいます。
実は、娘がジョヴァンニのことを良く思っていないことを知ったフランチェスカの父グイドが、パオロを代理人にしてジョヴァンニとフランチェスカの結婚式を執り行いました。フランチェスカは、結婚式の翌日まで自分がパオロではなくてジョヴァンニと結婚したことを知らなかったということです。
それでも恋に落ちてしまったパオロとフランチェスカは、お互いのことを忘れることができません。そして、パオロとフランチェスカが密かに会っているのを目撃したジョヴァンニによって、2人は殺されてしまいます。マラテスタ家の城塞でもあったグラダーラ城には今もフランチェスカの部屋が一般公開されています。
中世のイタリアを感じながら、さらに博物館の奥へと進んでいくと、農作業や機織りの様子や慣わしがパネルで紹介されています。そのパネルに囲まれるように大きな織り機が展示されています。
そして、階段を下りていくと、地下洞窟へと通じています。歴史博物館のサイトによると、この洞窟は、異端な集会や礼拝の場として作られた可能性があるということです。
また、洞窟の利用目的は、都市の発展とともに変化してきており、中世の研究者たちによると、城が危険にさらされた時に備え、脱出ルートとして地下道が形成されていったのだろうということです。
グラダーラの地下には16もの洞窟があるそうですが、一般公開されている洞窟は、この歴史博物館のだけだということです。ただ、ここの洞窟は、それほど大きくはなく、こじんまりとしたものです。
そして、この洞窟の後、階段に沿って様々な貞操帯が展示されています。
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歴史博物館の開館時間と入場料インフォ
- 3月15日~9月30日:10時30分~13時、14時30分~18時
- 6月15日~9月15日:夜間もオープン(20時30分~23時)
- 10月1日~3月14日:10時30分~13時、14時30分~18時(祝祭日前日と祝祭日のみ)
- 入場料:一般 5ユーロ(約620円)、子ども(身長1m10cm以下) 無料
サン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会
歴史博物館を後にして、グラダーラ城に向けて歩いていくと、しばらくするとサン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会があります。
入り口には、教会の中に置かれたキリストの磔刑像の表情が見る角度によって異なるという説明文が貼られています。左側から見ると「息を引き取ったキリスト」、真正面からは「臨終のキリスト」、右側からは「苦しみのキリスト」が現われているということです。
実際にその磔刑のキリスト像の前にまで行くと、どこから見れば説明文のような表情がうかがい知れるか①、②、③と番号が振られています。その場所に立てば、キリストの1つの顔から3つの異なる表情を見て取れるということです。
下記が実際に各位置から撮った写真になりますが、写真からでも多少は表情の違いを感じられるかと思います。
グラダーラ城
この教会を出て、しばらく歩くとグラダーラ城に到着します。あのダンテの『神曲』地獄篇で描かれた「パオロとフランチェスカの悲恋」の舞台になった中世の城。
各広間の装飾や絵画をゆっくりと鑑賞しながら、窓からはグラダーラの素晴らしい景色も楽しめます。そして、フランチェスカの部屋にたどり着き、あの悲恋の物語にしばし浸ることができます。
なお、2020年度は新型コロナウイルスの影響で、グラダーラ城の入り口前で来場者の体温検査を行い、城内の各広間への入場者制限(最大2名から5名ほど)を設けているようです。
グラダーラ城のオープン時間と入場料インフォ
- 月曜日・12月25日・1月1日:クローズ
- 火曜日~日曜日:8時30分~13時15分
- 入場料:一般(25歳以上) 8ユーロ(約1000円)、18歳から24歳 2ユーロ(約250円)、18歳未満 無料
さいごに
中世の面影を残す町グラダーラ。大きな町ではなく、ゆっくりと見て回っても半日で巡ることができるかと思いますので、リミニなど近くの大きな都市を訪れる際に立ち寄ってみても面白いかもしれません。
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参照
- アイキャッチ画像:グラダーラ城塞
- イタリアの最も美しい村 協会
- グラダーラの歴史博物館
- グラダーラ城