世界遺産を食べる〜ナポリ・ピッツァ〜

世界遺産を食べる〜ナポリ・ピッツァ〜

編集者A

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2017年12月 ナポリピッツァが世界無形文化遺産に決定!

皆さんは知っていましたか?2017年12月7日、韓国の済州島で世界遺産委員会が開催されました。

そしてなんと、ナポリピッツァの職人:通称pizzaiolo(ピッツァイオーロ)の技術が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのです!ナポリの街が歓喜の渦に包まれたことは言うまでもありません。

喜ぶナポリ人たち

ナポリピッツァが世界遺産に決まった瞬間、ナポリのチェントロ・ストリコ(中心地)では人々の歓声が巻き起こりました。イタリアでもニュースに大きく取り上げられ、道行く観光客にピッツァを無料で提供するピッツェリアも現れたほどでした。

ナポリ市長・Luigi de Magistris氏も、

”(ナポリピッツァが世界遺産になったという事実は)歴史的再認識である。ナポリ、そして世界で活躍するナポリピッツァ職人すべて、そして署名活動に参加してくれた方々に心から感謝したい。

これは、芸術・文化・伝統・根源・創造性・ファンタジー性を通して、ナポリという街が持つ力を象徴しているのだ。我々の偉大なる勝利である。”

と述べています。

特筆すべき点

①ナポリの全体的評価向上

世界遺産に登録されたことで、ナポリピッツァはさらにその価値を高めました。

しかし、それ以上にナポリ地元民が嬉しかったのが、彼らの街の良いところを、世界的に認めてもらえたということでした。

治安の悪さで悪名高い印象ばかりが先走りがちでしたが、自分たちの誇りに思っている街を、外部にも認めてもらえたという事実が、一番嬉しかったのかもしれません。

②職人技が認められた

食で世界遺産になったものといえば、日本食(和食)がすぐに思い浮かぶかもしれません。日本食は、日本人の自然を敬う気質をベースにした「食という習わし」を評価されました。

一方で、ナポリピッツァにおいて評価されたのは、「職人技」でした。古代ナポリ時代より脈々と受け継がれてきた技術は、現在3000人ものピッツァイオーロによって今もなお受け継がれています。

ナポリピッツァといえば、トマトソースとオレガノだけのシンプルなマリナーラ、トマト、バジル、モッツァレラのマルゲリータの2種類がオーソドックスです。

そのシンプルな芸術の中に、たくさんの職人技が詰め込まれているのです。

ナポリピッツァの特徴:真のナポリピッツァたる十戒

 

イタリアのピッツァは一般的に有名ですが、その特徴は地方によって異なります。

その中でも、ナポリピッツァに関する規定はとりわけ厳格です。

ここでは、本当のナポリピッツァを世界に普及させることを目的に設立された団体「真のナポリピッツァ協会」による、”真のナポリピッツァ”に認定されるための10の条件をご紹介します。

その1・ピッツァたるもの

ピッツァたるもの、それは職人技術である。そのため、ピッツェリアごと、職人ごとに繊細な違いが見られるものだ。

その2・生地

ナポリピッツァの生地は、水、塩、酵母、小麦粉のみで作られるべきであり、最低でも8時間は生地を膨らませるために寝かせるべきである。

その3・手作業

生地を丸め、そして広げるのは、手作業以外であってはならない。手作業でこねるからこそ、中心から外側に向けての空気の移動を促し、ふっくらとした生地を実現させ、焼く間にcornicione(ピッツァの耳の部分)を形づくるのである

その4・材料

材料は、カンパニア地方原産のものが絶対に好ましい。

  • 皮むきされたトマト:絶対に手でクラッシュして、ソース状にすること。サラサラとした状態で、少しトマトの形が残っているくらいが望ましい。
  • 新鮮なトマト: 一口サイズにカットすること。
  • 水牛または乳牛のモッツァレラ:薄くカットし、満遍なく生地にのせること。
  • グラナチーズ:(もし使うのであれば)満遍なく、円を描くように、まばらにふりかけること。
  • バジル:生の葉を、トマトソースの上に置く。
  • エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル:螺旋状にかけること。

その5・焼き上げ

薪使用の窯で焼くこと。その時間、60~90秒也。

その6・焼き加減

焼きあがったピッツァは、簡単に2つ折りできるくらいでなければならない。また、耳の部分は1~2センチ、ふっくらとして金色がかっており、焦げはほんの少し、または皆無であること。

生地の裏側もまた然り。

その7・見た目

円形であることは言うまでもないが、直径は耳含め35センチを超えてはならない。また、中心部分の厚さも4ミリ以下であること。

オリーブオイルで光沢を帯びたトマトに加え、マリナーラであればそれに加えてオレガノの緑とニンニクの白、マルゲリータであればモッツァレラの白とバジルの葉の緑が際立っているべき。

その8・香り

焼きあがったばかりのピッツァであれば、

  • パンの香ばしさ
  • モッツァレラとトマトの酸味
  • オリーブオイルとニンニクのフルーティでピリッとする香り
  • バジルとオレガノのハーブのような芳香

以上のアロマを感じられるべきである。

その9・味、そのハーモニー

ナポリピッツァたるもの、その味は非常に強く、ハーモニーが取れているべきである。

よく焼かれたパン生地の味が、トマトの酸味やモッツァレラの旨味、バジルの青々とした味、ニンニクとオリーブオイルの苦味と辛味がハーモニーを奏で、実に特徴的な味を成すのである。

その10・栄養価

ピッツァは、地中海における食生活の象徴である。

  • マルゲリータ:250gのパン生地で800Kcalほど
  • マリナーラ:250gのパン生地で550Kcalほど

ナポリのピッツァを日本で食べる!

ついに世界からも認められた、ナポリ人の誇りの一つ、ナポリピッツァ。この十戒をクリアした、限られた店だけが名乗れる「真のナポリピッツァ」が食べられる名店が、日本にも幾つか存在していますので、そちらも注目です!

参考にしたページ

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