はじめに
パスタの国!イタリア
「人生はパスタと魔法を組み合わせたものだ。」( "La vita è una combinazione di pasta e magia.")イタリア映画監督の巨匠Federico Felliniはこんな言葉を残しています。つまり、イタリア人にとってパスタは人生になくてはならない存在だということです。
その歴史と文化は奥深く、イタリア人のパスタに対する愛やこだわりはただならぬものではありません。
そんなイタリアの国民食パスタ。日本でもスパゲッティやペンネ、ニョッキなどは一般的に有名ですよね。しかしながら、パスタは地域によって面白いほど特長が異なり、その種類は実は数百以上あると言われているんです!
なかにはユニークな名前を持つパスタも…。そこで今回は、日本人があまり知らない&ちょっと変わったパスタを厳選してご紹介したいと思います。画像のパスタの見た目から、名前の意味をぜひ推測してみてくださいね。
ロング・パスタ(pasta lunga)編
1.キタッラ(chitarra)
spaghetti alla chitarraあるいはmaccheroni alla chitarraの名称で知られ、 chitarraとはイタリア語で「ギター」を意味します。木箱に細い弦をギターのように張り、そこに伸ばした生地を押し当てて切ることからこのような名前がついています。このような製法のため、断面が正方形をしていることが特徴です。
アブルッツォ州の郷土料理で、子牛を煮込んだソースで食べるのが伝統的な調理方法だそうです。
2.カペッリーニ(capellini)
「髪の毛」を意味するその名の通り、非常に細いパスタを指します。その細さのためゆで時間は短く、なんと二分以下(カップラーメンより短い!)。スープパスタや冷製パスタとして使われることが多いです。
またcapelliniと同様のパスタで、capello d'angelo(「天使の髪の毛」)という名のパスタも存在します。
3.ヴェルミチェッリ(vermicelli)
イタリア語でvermeとはミミズなどの細長い虫を意味し、vermicelliは「小さなうじ虫」といったところです。いやいやミミズって…。意味を知ってしまうとなんだか食欲がなくなる気がしますね(笑)でも安心してください!あくまでそう例えられているだけです。
見た目もほとんど普通のスパゲッティと同じで、断面が円形のシンプルなロングパスタです。違いはといえば、ほんの数ミリ太さが違うといったところでしょうか。
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4.ブカティー二(bucatini)
名前は「穴」を意味するbuco、あるいはbucato(「穴の開いた」)に由来すると言われています。別名ペルチャテッリ(perciatelli)とも呼ばれ、こちらも同様にナポリ語で「穴の開いた」を表すperciatoに由来するそうです。
その名の通り、よく見ると中心に穴の開いた管状のロングパスタです。私は初めてこのパスタを見たとき、あと少しのところでスパゲッティになりきれなかったマカロニかな?と思いました。
イタリア中部のラツィオ州、特にローマ周辺でよく使われるパスタとして知られています。アマトリチャーナをはじめ、濃厚なソースとよく合うそうです。
ブカティーニのお兄さんのような感じでツィーティ(ziti)というパスタも存在するのですが、太さは弟分の二倍くらいあります。英語名がロングマカロニというところから、こちらはマカロニの血が強いということになりますね。
ショート・パスタ(pasta corte)編
1.ファルファッレ(farfalle)
イタリア旅行をしたことがあるという方なら、このパスタを目にしたこともあるのではないでしょうか。
見た目のとおり名前は「蝶々」を意味します。通常のプレーンに加えて、ほうれん草やトマトなどが練り込まれたカラフルなものもよく目にします。これが食卓で出されたら、小さなお子さんは喜びそうですね!形や色のかわいらしさも相まって、お土産としても人気です。
夏にはパスタサラダに使うのもおすすめなんだとか。
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2.コンキッリェ(conchiglie)/ルマキーネ(lumachine)
「貝殻」という意味の名を持つこのパスタ。表面には筋のようなものがあり、内側に丸まっているので中に空洞ができています。本当に貝殻みたい!
だけど見た目がかわいいだけじゃありません!
シンプルに濃厚なソースと絡めるのもおいしいですが、先ほどのファルファッレと同じくパスタサラダに使ったり、あるいはスープなど煮込み料理に入れたり…。使用方法はとても豊富なんです!
またコンキッリェと同様の調理方法で使われるルマキーネ(lumachine)というショートパスタもあります。こちらは「カタツムリ」を意味するlumacaから名前の由来が来ています。
3.オレッキエッテ(orecchiette)
イタリアのかかとに位置するプーリア州を代表するこのパスタは、イタリア語で「小さな耳」という意味です。くぼみがあり、その名の通り小さな耳たぶのような形をしています。
濃厚ソースに絡めるというより、シンプルなオイル系の料理、特にブロッコリーを使ったオイル系のものが有名です。
4.アネッレッティ(anelletti)
小さな輪の形をしており、名前は「小さな指輪」という意味です。ネーミングからして女心をくすぐられますね。(だけど実際は小指にも入らないほど小さい。泣)
シチリア特にパレルモの伝統料理として、アネッレッティ・アル・フォルノ(anelletti al forno)というパスタのオーブン焼きがよく知られています。私がシチリアに行ったときに友人が注文していましたが、初めて見るリング状パスタに驚いていました。一つ一つが小さいので、パクパク食べれちゃいます!
5.カヴァタッピ(cavatappi)
これ一体何に見えますか?
くるくるした螺旋状のこちらのパスタ。イタリア語で「栓抜き」という意味なんです。うーん、たしかに見えなくもない。
面白いことに、よく見るとマカロニのように穴が開いているんです。
似たような螺旋状のパスタでよりポピュラーなものに、フジッリ(fusilli)というものがありますが、こちらには穴がありません。同じような成形法で作られていても、こうした違いによって全く別物のパスタとして区別されているんです…!
6.マニケ(maniche)
ん?今まで紹介されてきたパスタに比べて地味だな?ただの筒にしか見えないぞ!
そんな心の声が聞こえてきそうですが、イタリア人が「筒」みたいな遊び心の欠片もない名前をつけると思いますか?
意味はズバリ、「袖」です!(インパクトは大してない)参考画像のように筋が入ったものはマニケ・リガーテ(maniche rigate)といいます。
直径は20mm-30mmもあり、その太さから肉や野菜を詰めて調理されることもあるそうです。それを考えると濃厚なラグーソースに絡めるもよし、もちろんマカロニのようにクリームソースやトマトソースと合わせるのもよし、なパスタですね。
どうでもいいことですが、このパスタを見るとちょっと指にはめてみたくなるのは私だけでしょうか?(私はこれを「と〇がりコーン現象」と呼んでいます。)
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詰め物入りパスタ(pasta ripiena)編
「詰め物入りパスタ」と聞いてピンとくる方はそう多くないかもしれないので、一応補足させて頂きます。餃子やワンタンをイメージしていただければわかりやすいのですが、薄く伸ばした生地にチーズやお肉などの具を詰めたパスタのことです。
ラヴィオリ(ravioli)やトルテッリーニ(tortellini)などが代表的な例として挙げられますが、今回はその中で名前がユニークなものを一つ取り上げます。
カッペッレッティ(cappelletti)
巻き上げた形状が帽子を連想させることから、「小さな帽子」という意味の名がつけられています。なんだか小人が被ってそうなサイズ感でかわいい!
起源はエミリア・ロマーニャ州にあると言われており、コンソメスープの具として入れるのが伝統的な食べ方だそうです。
最後に
ユニークなパスタの世界、少しは味わっていただけたでしょうか。「小麦粉を練る」というたった一つの概念から、こんなにもアイディアを膨らませてきたイタリア人の食文化には本当に驚かされます。
また今回紹介してきたように、食べものにちょっと変わった名前をつけちゃうイタリア人の茶目っ気が私はとても好きです。これはイタリア語を勉強中だというひいき目が影響しているかもしれませんが(笑)
イタリアには他にも魅力的なパスタが数知れず存在します。今回ご紹介できたのはほんの一部でしかありません。
イタリア料理は「パスタ」「ピッツァ」と一言で括られてしまいがちですが、本当はずっとずっと奥深いのだということを少しでも知って頂けたなら嬉しいです!
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