シチリア島のパワースポット、「光のピラミッド」

パブリックアート作品『38度線 ピラミッド』

アーティストのマウロ・スタッチョーリ氏(Mauro Staccioli)によるパブリックアート『38度線 ‐ ピラミッド』(38° Parallelo - Piramide)。

2010年にシチリア島メッシーナ県のモッタ ダッフェルモの丘に作られ、「光のピラミッド」としてパワースポットのようにここを訪問する人々がいるということです。

フィウマーラ・アート(Fiumara d’Arte)とは

スタッチョーリ氏の作品『38度線 ‐ ピラミッド』は、フィウマーラ・アート(Fiumara d’Arte)の一環として制作されました。

スタッチョーリ氏の『38度線 ‐ ピラミッド』 / 海のアトリエ ホテル美術館のサイト

フィウマーラ・アートとは、アントニオ・プレスティ氏(Antonio Presti)によって発案された一大屋外彫刻プロジェクトですが、プレスティ氏が1982年に亡き父の記念碑の制作を彫刻家のピエトロ・コンサグラ氏(Pietro Consagra)に依頼したことが発端だということです。

プレスティ氏は、私有地ではなく公共の場にこの記念碑を設置することを考えつき、1986年にシチリア島メッシーナ県のトゥーザでパブリックアートとしてこの記念碑の完成が発表されました。

この時に、プレスティ氏は、この地の美しさと現代アートを組み合わせた野外彫刻プロジェクトの発表も同時に行なったということです。

ただし、この時期から地元の行政機関などとパブリックアート作品の制作を巡って作業の一時停止命令を受けるなどの問題が起こっていたようです。

1988年にはパオロ・スキアヴォカンポ氏(Paolo Schiavocampo)の野外彫刻作品の発表とともに、プレスティ氏は屋外彫刻コンペティションを開くことも発表しました。

スキアヴォカンポ氏の作品 / 海のアトリエ ホテル美術館のサイト

1989年には、フィウマーラ・アート展が開催され、ミラノを拠点に活動した日本の彫刻家である長澤 英俊氏の作品『金の舟の部屋』(Stanza di Barca d’Oro)もロメイ川の河床近くに制作されました。

この長澤氏の作品に関しても河川に関する法律違反の疑いをかけられたようで、また、その他のフィウマーラ・アート群も違法な建造物などと見なされて作品の解体命令が出されたりしたようです。

長澤氏の作品に関しても裁判で争われましたが、現在は、100年間閉じられるようにという作成の意図に従い、作品は封鎖された状態で保存されているということです。

その他のフィウマーラ作品に関してもプレスティ氏は裁判で争い続け、ついに2006年に"フィウマーラ・アート公園"として州政府によって認定されることになったそうです。それにより、フィウマーラ・アートの文化、観光資源としての価値が認められたということです。

なお、現在、フィウマーラ・アートとして9作品が存在しているようです。

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"海のアトリエ"に宿泊して

プレスティ氏は、フィウマーラ作品の裁判と並行して、海のアトリエ ホテル美術館(Museo Albergo Atelier sul Mare)という新たなアートプロジェクトを開始しました。

海のアトリエ ホテル美術館には、イタリア国内外の優れたアーティストによって設計、装飾されたホテルの部屋が用意されており、約20室にも及ぶ"アート・ルーム"を鑑賞するだけでなく、実際にそこに宿泊するができるというこです。

アート・ルームの一例 / 海のアトリエ ホテル美術館のサイト

アート作品の中に住み、、芸術に包まれて眠るという体験を味わうことができ、また、この"海のアトリエ"に宿泊しながら、この地に広がるフィウマーラ・アート作品群を見学するツアーというのも実施されています。

ちなみに、"アート・ルーム"以外にもスタンダードタイプの部屋も用意されており、スタンダード・ルーム内にも絵画、写真、陶器など様々なオブジェが置かれており、展示ギャラリーの中にいるような作りになっています。

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年に一度開かれる「光の儀式」

年に一度、夏至の日に「光の儀式」(Rito della Luce)が"フィウマーラ・アート公園"で開かれており、シチリア島以外からも人々が訪れているようです。

儀式は、美の言葉として捧げられ、白い服を纏った参加者たちは、自ら"光の道"を選ぶ機会が与えられるということです。

また、この儀式の日に、スタッチョーリ氏の『38度線 ‐ ピラミッド』の扉が開かれ、訪問客は内部に入ることができます。この日、「光のピラミッド」の辺りは白装束のパフォーマーや白色で統一されたオブジェで包まれるようです。

プレスティ氏は、新しい世代が毎年この日に集まり、"光の勝利"を選択し、未来がこの儀式とともに立ち上がる普遍的な美の価値によって彩られることを望んでいるということです。

さいごに

パブリックアートとしてのフィウマーラ作品群。その中でもスタッチョーリ氏の『38度線 ‐ ピラミッド』は、「光のピラミッド」として「光の儀式」の日以外でも人々が訪れているようです。

シチリア島のメッシーナを訪れる機会があれば、芸術の中で寝起きできる海のアトリエ ホテル美術館に宿泊して、パワースポットのように見なされている「光のピラミッド」やその他のフィウマーラ作品群に触れてみるのも面白いかもしれません。

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Kanba

イタリアの海沿いの小さな町に住んでいます。イタリアの大学を卒業後、日本の企業のために働いています。天気が良い週末は砂浜で筋トレしたり、庭でオーガニック野菜を作ったりしています。主に穀物・野菜・果物・ナッツ類を食べて暮らしています。

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