カーネーションは贈らない?イタリアの母の日

カーネーションは贈らない?イタリアの母の日

YASUE

初めてのイタリアは仕事で訪れたペルージャ。以来たびたび日伊を往復すること5年、離職してボローニャで大学院生に。卒業後もそのまま在住。現在は絵本と子育てについてのブログを書きながら、ときどき映画の仕事も。

はじめに

今日は母の日ですね。みなさんはどのように過ごされるのでしょう?

お母さんが好きそうな物を贈る、あるいは喜びそうなことをしてあげる。わたしも子どもの頃からいろいろ趣向を変えて感謝の気持ちを伝えてきましたが、やっぱり母が好きな花を贈ることが多いです。

わたしはフラワーアレンジメントが大好きなので、日本にいた頃は当日花市場で見つけた大輪の芍薬にちょっと変わり種のカーネーションを添えて、花瓶に活けてプレゼントしたこともありました。

本記事冒頭の写真がこれらを活けたあとに撮ったもの。こうして自分で生花をアレンジして贈るのが一番楽しいですが、鉢植えのカーネーションを買うこともあります。

去年はイタリアの義母に贈ったとあるお花と同じ色味のカーネーションを通販で注文して日本の実家に届けてもらいました。

イタリアで母の日に贈る花とは?

では、義母に贈ったとあるお花とは。

実はイタリアではカーネーションではなくこちらの花を贈る風習があります。

名前はアザレア。日本では西洋ツツジともいうようです。確かに葉っぱを見るとツツジ科ですね。他にも白、紫、薄い桃色など、いろんな色の花を咲かせます。

去年初めてイタリアで母の日に贈り物をすることになったわたし。最初はそんなことも知らずカーネーションを求めて近所の花屋を見てまわりました。ところがぜんぜん売ってなくてなんで?となった一方で、店頭にたくさん並んでいたのがこのアザレアでした。

後日夫を連れてお店へ戻ったときに初めてイタリアではアザレアが母の日に好んで贈られる花だと知り、この小ぶりの蕾がたくさんついた鉢植えを義母のために買いました。

あれから一年、またこの季節がやってきたイタリアの花屋には様々な種類のアザレアやツツジ科の花の鉢が売られています。今年は色違いでまた贈ろうか、それとも可憐なバラの鉢植えにしようか、などとあれこれ考えながら先日下見に行ったときの写真がこちら。

ところで父の日は何を?

さて、今年は作秋に出産したわたしも初めて母として迎えるFesta della Mamma(イタリア語で”母の日”)。一足先に父の日を祝ってもらった夫から何かサプライズがあるでしょうか。ちょっとたのしみです。

え、父の日って来月では?と思われた方。実はイタリアでは毎年3月19日が父の日になっているんです。なぜかというとこの日はサンジュゼッペの日。つまりキリストの父親である聖ヨセフの日に因んでいるんです。

ちなみに当日は義母とサンジュゼッペの伝統菓子、ゼッポレを作ってお祝いしました。これは南イタリア生まれのシュークリームのような焼き菓子で、レモンクリームをたっぷりと詰めて食べるとっても甘いお菓子です。

では母の日にも伝統菓子があるのかというと、とくに決まったものはないようです。だから、お母さんたちが好きなものを家族みんなでわいわい一緒に食べるのが一番。

どんなふうに祝う?(おすすめレシピ有)

もともとイタリアでは日曜日になると家族で集まってご飯を食べる習慣があるので、お母さんと同居していたり近くに住んでいたりする場合は普段通り気楽に集まり、ちょっとそこにお祝い気分を加えるという雰囲気なのかなと思います。

わが家も義母夫婦とは割と近所なので日曜日はよくランチをお呼ばれに行きますが、今日はちょっとだけおめかしをして朝からデザートのズッパ・イングレーゼを作ります。その名の通りイギリス生まれのお菓子ですが、本国イギリスではトライフルというのでしょうか。

本場のトライフルはよく知りませんが、どうやらそれをイタリア流にアレンジしたのがこのズッパ・イングレーゼのようです。カスタードクリーム、チョコレートクリーム、リキュールをしみ込ませたスポンジケーキを層に重ねて作るので食感はティラミスに似ています。

義母のレシピがとびきり美味しいので、先日電話で母の日は一緒にランチをする約束をしたときにわたしが「あ、ドルチェはあれが食べたいから一緒に作りましょう!」とリクエストしたのです。

こちらはクリスマスに作ってくれたときの写真ですが、スポンジがピンク色に染まっているのはアルケルメスという赤色のリキュールに浸しているから。このリキュール、もともとは18世紀にトスカーナの修道院で造られていた薬草酒だったそう。

とにかく本当にほっぺたが落ちる美味しさなので、気になる方はぜひ作ってみてください。いろんな作り方があるようですが、義母のレシピに少し似ているものを参考欄に貼っておきます。

おわりに

いかがでしたか。日本とイタリアでは贈られる花は違えど、大好きなお母さんに感謝を込めて一緒に楽しく過ごすのがきっと万国共通の最高のプレゼントだと思います。もちろんそれが叶わない場合は心のこもった電話一本だけでもきっと嬉しいですね。

お母さん、いつもありがとう!

参考

ズッパ・イングレーゼのレシピの一例(イタリア語)

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初めてのイタリアは仕事で訪れたペルージャ。以来たびたび日伊を往復すること5年、離職してボローニャで大学院生に。卒業後もそのまま在住。現在は絵本と子育てについてのブログを書きながら、ときどき映画の仕事も。

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