イタリア語ができなくても?イタリアの大学に正規留学 【最終回】 準備編

イタリア語ができなくても?イタリアの大学に正規留学 【最終回】 準備編

YASUE

初めてのイタリアは仕事で訪れたペルージャ。以来たびたび日伊を往復すること5年、離職してボローニャで大学院生に。卒業後もそのまま在住。現在は映画の仕事の傍ら、大好きな絵本と海外育児のあれこれについてブログを綴る。 linktr.ee/yasue

はじめに

年明けから連載でお届けしてきた本シリーズも、今回をもって最終回となります。

これまではわたしの実体験をもとに、ボローニャ大学修士課程への正規留学を決めたいきさつから実際の学生生活等についてお話ししてきました。

イタリア語ができなくても?イタリアの大学に正規留学【連載第一回】

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イタリア語ができなくても?イタリアの大学に正規留学 【連載第二回】 学生生活編①

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イタリア語ができなくても?イタリアの大学に正規留学 【連載第三回】 学生生活編②

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イタリア語ができなくても?イタリアの大学に正規留学 【連載第四回】 日常生活編

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イタリア語を使わない正規留学はまだ少数派かもしれませんが、わたしが入学したような英語による履修コースは増加傾向にあり、今後こうした体験談が少しでもどなたかの参考になれば幸いです。

そんな想いを込め、最終回はわたしがどのようなステップを踏んで留学に至ったか、ポイントを絞ってお話しします。

掲載内容はわたしが留学準備をしていた2017年~2018年当時の状況がベースとなっており、あくまでもひとつの参考として書いています。

その後変更になったことは本記事公開前に確認できた範囲で注意書きをしていますが、すべての情報がお読みいただく時点で最新のものとは限りませんので、今後留学を検討される方はくれぐれもご自身で関連の最新情報をイタリア文化会館の留学専用サイト等で確認してください。

STEP1 情報収集:留学予定の数年前~

① 留学フェアに参加

海外留学のきっかけは人それぞれ。どこで何を学びたい、ということがはっきりするまでにもいろんな過程があると思います。

わたしの場合、最初のうちはぼんやりと抱いていた留学への考えが、京都で開催された欧州留学フェアへの参加をきっかけに「アートマネジメントを学びたい。できればイタリアで。ただし手段は英語で。」というものに固まりました。

会場内のブースで英語で履修できるアートマネジメントの修士課程をいくつか勧めてもらったのですが、そのうちの一校が実際受験し留学したボローニャ大学のものでした。

出典:イタリア文化会館

なお、イタリア一国に留学先を絞っていないなら情報収集の幅も広がる欧州留学フェアへの参加がお勧めですが、イタリア留学フェアというものも毎年開催されています。

留学フェアについて

昨年は新型コロナウイルスの影響で欧州留学フェアはオンライン開催、イタリア留学フェアは中止となったようです。2021年もどうなるかわかりませんが、気になる方は下記サイト等で最新情報を確認してください。

ちなみに、例年は毎年開催されているイタリア留学フェアの見どころ、オススメポイントについては、こちらの記事でも紹介しております!

今年もスゴイぞ!11月のイタリア留学フェアを120%楽しむ10のポイント

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② インターネット検索

次に、わたしが情報収集に利用した教育機関等のサイトをご紹介します。

イタリア大学省イタリア高等教育ポータルサイト UNIVERSITALY

その名の通り、このサイトではイタリア国内の大学や大学院等のコースを一括検索できます。フィルター機能を利用すれば英語で履修できるものや希望する分野等に絞った検索も可能です。

各大学の公式サイト

ただし、上記ポータルサイトには記載漏れとなっているコースもあります。そのため、各校の公式サイトもくまなく調べてみてください。

たとえばボローニャ大学は英語での履修コースをまとめて検索できるページを設けています。

イタリア留学総合サイト Study in Italy

こちらはイタリア外務省・イタリア文化会館東京が運営するサイトで、私費留学を目指す人は必見になります。

なぜならイタリアの大学・大学院、音楽院・美術学院の正規コース、および同国大学省認定の美術・音楽系専門学校の正規コースの留学手続きはイタリア文化会館東京を通して行う必要があり、そのための情報が随時こちらに掲載されるからです。

③ 現地下見

これについては今のご時世特に実行が難しいかもしれませんが、学校だけでなく滞在先の土地柄を知るには最良の手段です。

わたしの場合、連載第一回で触れたように仕事を辞めての留学という一大決心だったため、まずは実際留学に踏み切る2年前にボローニャへ赴きました。街の散策だけでなく、大学に問い合わせたうえで受験を検討していたコースの講義を聴講し在学生や教授にも直接話を伺いました。

下見ができなくても遠隔的に在校生・卒業生に話を聞くことも有効です。伝手がなくても今はLinkedInやFacebook等のSNSを利用してそうした人を検索することも可能かと思います。

少し勇気がいるかもしれませんが、現にわたしは在学中、受験を考えている他国の学生からSNSを通して問い合わせを受けました。

STEP2 受験対策と出願準備:志望校が決まり次第、なるべく早めに

これは受験するコースによりけりですが、参考までにわたしがとった主な対策をご紹介します。

わたしが受験したこちらのコースは、第一次選考が書類審査、第二次(最終)選考が面接でした。面接は海外在住のためスカイプで受けることができました。

① 語学力試験

出願に必要だった英語能力試験(IELTS)のスコアを取得するため、出願期限の半年ほど前に勉強を開始、その2か月後に受験しました。

語学力試験のポイント

一般に留学でスコア提出が求められるIELTSやTOEFLの試験は毎月受けられるとは限りません。わたしはIELTS受験が初めてだったこともあり、満足なスコアが得られない場合も想定して早めに受験しました。

また、わたしの場合、学力試験は英語のみで済みましたが、日本のセンター試験のような総合的学力テストを受けなければならない場合もあります。

② 志望動機書、経歴書等の準備

志望動機書は客観的な意見を仰ぐためにあらゆる友人知人に見せ、何度も練り直しました。

学校によってはさらに推薦状(Reference)の提出が求められることもあります。

③ 面接準備

書類審査通過後、口頭で英語力と志望動機を審査するための10分程度の面接を受けました。

これに当たっては②の書類をベースにシナリオを何度も推敲し、前職の同僚(海外大学教授)や院卒の友人等に模擬面接をお願いして入念に練習を重ねました。

実際入試結果の総評を見てみての所見ですが、志望動機は日本の大学以上に重視されると感じました。

STEP3 留学手続き:場合によってはSTEP2と前後

さて、晴れて合格し入学を決めたら(あるいは出願校を確定したら)、イタリア文化会館東京を通じて留学手続きを行います。

この手続きは各校の受験スケジュール次第で受験そのものや合格通知を待たないまま開始する場合もあります。わたしは第一次選考出願後に開始しました。

2018年当時は地方在住であっても東京の文化会館まで二度足を運ばなければなりませんでしたが、現在は新型コロナウイルスの影響もありこの手続きはオンンラインに切り替わっているようです。

ただし、最新情報は常にイタリア留学総合サイトStudy in Italyで確認してください。

STEP4 ビザ申請

入学許可が降りたらいよいよ学生ビザの申請です。手続きは居住地管轄の東京の大使館か大阪の領事館を通します。

なお、申請にはイタリアの住所を証明する書類も必要だったので、合格後すぐにインターネットで現地の賃貸物件を探し、大家さんと電話で交渉、国際便を使って契約書を交わしました。

もし事前に家が決まらない場合はホテル等の住所を仮住まいとして申請することもできたようですが、わたしは渡航後すぐに講義開始の予定だったので時間や費用の効率も優先してそうしました。

でも、長期留学生活における家探しは慎重に行うことをお勧めします。わたしのように見極めが甘くすぐまた引っ越しする羽目になることも無きにしもあらずです(詳しくは前回の記事を)。

振り返ると、STEP3とSTEP4は揃える書類も多くなかなか煩雑で根気の要るもので、卒業した大学、公証役場、外務省、市役所、大使館認定の翻訳者(公文書翻訳のため)等との往復作業が必要でした。さらに渡航後は滞在許可の申請というものが待っています。

このように私費の正規留学は何もかも自分で手続きをしなくてはならない点が大変ですが、それを乗り越えれば待ちに待った新生活が始まります。

おわりに

さて、五回にわたりお届けしてきた留学体験談、最後までお読みいただいた皆さまありがとうございました。

昨今は外国との往来になかなか見通しがつかない世の中となってしまいましたが、いつまでもそれが続くとも思えません。

これから留学を計画されている方が準備期間を有意義に過ごされ、いつか満足のいく留学を実現されることを祈っています。

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