”結婚”だけが幸せの形ではない...イタリアの結婚事情

”結婚”だけが幸せの形ではない...イタリアの結婚事情

mina

学生時代のイタリア旅行を機に、イタリアの虜に。食べること、飲むこと、自然が大好き。なにより明るいイタリア人が大好きです。独学でイタリア語を学び、フィレンツェへ短期語学留学。現在も子育てしながらイタリア語学習継続中。

明るくおしゃべり好きなイタリア人は、多くのジェスチャーを使いながら話します。体で表現をすることに慣れている彼らは愛を伝えるコミュニケーションも日常生活の一部になっています。ハグや挨拶のキスはイタリア文化の象徴であり、そのような文化のない私たち日本人は驚くと同時にうらやましく思ってしまいます。

また、イタリア人男性はちょいワルで口説き上手、”遊び人”のイメージがあります。(私だけじゃないですよね?!)ふと、イタリアの結婚適齢期はいつなのか?日本と比べてどうなの?と思ったので、今回はイタリアの結婚・離婚、そしてその背景についてご紹介します。

イタリアの現状

結婚率

2019年の千人当たりの結婚率を見てみると、イタリアは3.2 1000人中約3人が結婚しているという結果でした。この数字、高いのでしょうか?低いのでしょうか?

日本と比べてみましょう。婚活という言葉をよく聞くようになった日本ですが、結婚を選ばない生き方がここ何年かで増えており、結婚したくない若者は2割弱に当たります。そんな日本でも結婚率は、なんと4.7とイタリアより1.5も高い数字です。

いかがですか?イタリアの結婚率がいかに低いかがお分かりいただけると思います。

離婚率

続いて離婚率ですが、千人に対してイタリアは1.51 対して日本は1.70 多少ですがイタリアの方が低いですね。理由は一つではありませんが、実はカトリック教が関係しています。

イタリアでは1970年まで離婚と中絶が認められていませんでした。これはカトリック教の”一度婚姻関係を結べば死ぬまで添い遂げる”という教えによるものです。

その為、5年間別居しなければ離婚できない時代もありましたが、現在では半年の別居期間で離婚をすることができるようになりました。離婚が認められていなかった時代があったので、現在も離婚率が高くないのでしょう。

出生率

日本は”高齢化”と”少子化”が近年、社会問題になっています。未来のイタリアを担う為の、大切な出生率ですが実は日本と似ている結果になっています。

イタリアの出生率は7.6日本は7.0 出生率に対し死亡率を見てみると、イタリアは10.7日本は11.1 ちなみに、日本は主要先進国の中で一番出生率と死亡率に開きがあります。様々な理由があるので一概には言えませんが、両国ともに人口が減少していることが分かります。

現在の選択肢

事実婚

ヨーロッパでは事実婚を選択するカップルがとても多いです。最近になって日本でも聞く言葉になりましたが、事実婚を選択するカップルは、日本ではまだあまり多くないと思います。籍を入れない選択には、国によっての様々な背景があります。

ヨーロッパで約半数のカップルが事実婚を選択していると言われるスウェーデンでは、幸福度指数の高い国として知られていますが福祉の充実が手厚く、また、家庭に入るより自分で稼げる高学歴の女性が多いという理由もあります。働く女性にとって名字が変わることに抵抗を感じる人は日本でも多いですよね。

一方イタリアでも事実婚を選択している人は多く、2016年に同性カップルのパートナー関係を法律で認める同性カップル権利法が成立しました。この法案は、同棲している異性カップルにも適用されます。つまり、事実婚のカップルも国が認めてくれるということです。

内容としては結婚していなくても、配偶者と同等の権利でパートナーの治療方針を決定できたり、財産分与の契約を交わすことができたりもします。ちなみに、日本にはまだこの法律はありません。

シングルマザーに対する補償が手厚く、子供ができても籍を入れずに事実婚のまま生活をする人もいたり、中にはあえて籍を入れない選択をする人もいます。ただ日本のように、親に結婚しなさいと強く言われることはあまり無いようです。”結婚=幸せ”と直結した考えはないということでしょう。

晩婚化

イタリアの平均結婚年齢は32歳、男性34歳、女性30歳とやや遅め。(2015年のデータより)理由としては、先ほど述べた通り離婚ができるようになってから、まだ歴史が浅く抵抗があることと、手続きが面倒という点がありますが、もう一つ大きい要因としては収入面です。

イタリアで大学を卒業するのは日本より難しく、20代後半でもまだ学生という人はとても多いです。30歳で大学生という人も少なくありません。大学を卒業し、就職し貯金しながら生活をしていくとなると、結婚が少し遅くなることは日本とあまり変わらない点だと思います。

背景

結婚率、出生率低下の原因は社会情勢にも理由があります。イタリアの長年の課題である”貧困”です。北部と南部での地域格差もあり、イタリアのアパートの賃料は高く、自立し一人暮らしをすることすら難しいです。また、失業率も高いので家賃が払えなくなり実家に戻るケースもあります。

やはりこのような背景があると将来を不安に思ってしまいますよね。結婚に踏み切れない理由も納得です。

さいごに

日本と似ている部分の多いイタリアの状況。違う点を挙げるとすれば、結婚にこだわらない点と幸せの形を国がしっかり認めてくれる点でしょうか。日本だと”まだ結婚してないの?”とか”子供つくらないの?”とか、一定の年齢を超えると言われることがあると思います。

様々な幸せの形があって良いのではないでしょうか?そう考える人がこれからもっと多くなれば、日本は誰にとっても住みやすい国になっていくでしょう。

(Garbagenewsより)


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