近年ニュースで取り上げられている環境問題。今や他人事ではありません。気温の上昇や私たち人間が捨てるゴミの漂流物が動物たちに危害を与えているこの問題は全世界が抱える大きな課題です。
日本では2020年7月からレジ袋が有料化になり、環境問題への関心が少しづつではありますが、高くなってきたように思います。一方イタリアは、一時期日本でもゴミ問題がニュースになっていたほどですが、現在はどう変わったのでしょう?今回は、イタリアのゴミ問題を日本と比べながらご紹介したいと思います。
都市ごとのゴミ問題
ローマ
まずはイタリアの首都ローマのゴミ問題について。観光業が国の経済を支えているイタリアは多くの観光客が訪れ、観光名所の近辺はローマ問わず多くのゴミ箱が設置されています。
ローマのあるラツィオ州では都市廃棄物が約300トン出ていますが、半分以上は分別がされていません。(2017年のデータより)ローマ以外の地域の廃棄物は処理できているが、ローマで出る廃棄物の量があまりに多いので、処理が追い付かないという報道が昨年ありました。
ミラノ
ミラノはイタリア国内で最もリサイクル率が高く、ゴミ問題への関心も高いです。大きなきっかけとなったのは、ミラノ万博です。2015年に開催されたミラノ万博には世界中から多くの観光客が訪れた為、開催へ向けて本格的にゴミ問題に力を入れるきっかけとなりました。
各家庭に生ごみ用のゴミ箱が市から届き、生ごみを集め、堆肥を作りゴミの有効活用、コンポスト化を行いました。
日本の自治体ではコンポスト処理機を購入すると補助が出る市もありますが、ミラノのように市内全体で取り組むという姿勢ではありません。
フィレンツェ
小さい街なので歩いて観光名所を回れるフィレンツェ。
市民が捨てるゴミ捨て場は、なんと地下に埋まっています。初めて見たときはどうやって捨てるのか分かりませんでしたが、とてもスタイリッシュなゴミ捨て場でした。ゴミを入れる部分だけ地上に出ており、地下に埋まっている大きなタンクにゴミが溜まる仕組みです。
では、どうやってゴミを出すかというとトラックがクレーンでタンクごと持ち上げトラックの荷台にゴミを落とします。まるでUFOキャッチャーのようです。臭いもなく手が汚れない画期的なゴミ捨て場です。
ナポリ
イタリアのゴミ問題と調べるとナポリの記事ばかり出てきます。日本でもニュースで取り上げられていましたが、南イタリアのゴミ問題はどうなっているのでしょうか?
道の真ん中に多くのゴミが回収されずに山積みになっており、ゴミの上を歩いて通学していた子供もいました。日本では考えられないですね。
ゴミ焼却場を作っても処分が追いつかない点や、新しく新設する焼却場に反対するデモ、2018年から分別が始まった街もあるなどで、ごみ処分がうまく進まなかった背景があります。また、マフィアがゴミの事業に介入していたこともあり問題が悪化しました。
現在は観光名所のある中心街にはゴミが捨てられていることは無いようですが、ナポリ郊外はまだ一昔前と変わらない光景が残っている街が多いです。
イタリアの自治体
処分方法
回収したゴミの処分方法ですが、日本では焼却処分が主流です。再利用は少なくリサイクルできないものは焼却処分します。一方イタリアは、焼却処分はごくわずかでほとんどがリサイクルで処理しています。
というのも、EUがプラスチックをリユースかリサイクルできるものに変更し、プラスチックを減らしていく政策を決定した背景もあります。日本で始まったばかりのレジ袋有料化ですが、ヨーロッパや海外では何年も前からそのような動きはありました。
市民のゴミの捨て方
日本と同じようにイタリアもゴミに関する事業は自治体に任されています。多くの自治体は各家庭に分別用のゴミ箱を配布し、収集日に自宅前にゴミ箱を出しておくと回収してくれます。アパートなど集合住宅の場合は、自宅近くに設置されている大きなゴミ箱に捨てます。
分別の種類は、生ごみ、プラスチック、紙類、衣類などありますが日本より細かくはありません。
減らないゴミ
吸い殻
イタリアは日本と違い、歩きタバコの罰則がありません。道に設置されているゴミ箱に灰皿がセットされているにも関わらず、吸い殻は道にポイ捨て。火が付いたまま捨てられていたタバコもありました。
モラル
フィレンツェでは若者が夜中に大勢集まり、広場に飲み終えたお酒の瓶が散らばっていることがニュースになりました。市民だけの問題ではなく、観光業の盛んなイタリアでは訪れる多くの観光客のモラルも問われます。日本でも、ある国の観光客が立ち入り禁止内に勝手に入ったり、海にゴミを捨てて帰るなど問題になっていますよね。
自分の国でなきゃ良いのか、(自分の国でもしているのか?)個人のマナー、モラルの意識が表れている結果です。街の清掃は、黄色のベストを着て作業している清掃員の方です。石畳の道路は、回転するブラシが付いている清掃車を走らせ清掃しています。
さいごに
日本では自治体ごとにゴミ袋の指定があり、有料のゴミ袋が義務付けられている市町村が多くなってきています。また、ゴミ処分に掛かる費用は高く、焼却処分は二酸化炭素の発生など、環境に悪影響です。その在り方も含めて、イタリアと同じようにゴミの問題は日本でも解決せずに今も残り続けています。まずは、できることから少しずつ環境の改善に繋げていきたいですね。
続きを見る"イタリアのグレタ" 10歳の環境活動家アリーチェ・インバスターリさん