近年、インターネットの大きな進歩により、私たちの生活はより豊かになりました。たくさんの変化がある中で、私たち日本人の習慣の中でなくなりつつあるのは”新聞”ではないでしょうか?どの家庭も新聞を取っていた一昔と比べ、今はどうでしょう?また、この変化はイタリアも同じなのでしょうか?今回はイタリアの新聞事情についてご紹介します。
イタリアの新聞社
種類
イタリアには日本と同じように、全国紙と地方紙があります。新聞によっては主観的な記事内容だったり、少し左寄りの描写だったりと、新聞によって少しずつ違います。今回はイタリアの全国紙をご紹介します。これからご紹介する新聞は、ほとんどのイタリアのホテルのロビーに置いてあるので見る機会があると思います。
1.コリエーレ・デッラ・セーラ(Corriere della Sera)
出典・SECOLO
ミラノが本社で、イタリアで発行部数が一番多い新聞です。名前のロゴを見たことがある人も多いのではないでしょうか?1876年に創刊され、イタリアで最も歴史の長い新聞です。
2.ラ・レプッブリカ(La Repubblica)
出典・SECOLO
ローマが本社で、コッリエーレに続いて発行部数が多い新聞です。ラ・レプッブリカと先ほどのコッリエーレの二紙は、イタリアの二大新聞と呼ばれています。
3. ラ・スタンパ(LA STAMPA)
出典・SECOLO
イタリア北部のトリノが本社で、この新聞はイタリアだけでなくヨーロッパ各国で売られています。自動車メーカーのフィアットグループに属しています。
4.イル・ソーレ・ヴェンティクァトロ・オーレ(Il Sole 24 Ore)
出典・il POST
この新聞は、ミラノ発の”経済新聞”です。ビジネス街のほとんどのバールやホテルに置いてあります。
5.ラ・ガゼッタ・デッロ・スポルト(La Gazzetta dello Sport)
出典・milanlive.it
名前の通り、スポーツ紙です。サッカー大国のイタリアですから、試合翌日はよく売れるそうです。日本のスポーツ紙と違い、芸能記事などはなくスポーツの内容だけです。
購読者の変化
日本の場合
まずは日本の変化を見てみましょう。各紙の発行部数は年々右肩下がりです。2010年には5千万部を下回り、2019年には3千万部後半にまで減っています。(一般紙・スポーツ紙の合計)確かに、通勤の電車内で新聞を読んでいる人はかなり減ったと思います。また、スマートフォンは8割以上の日本人が持っているそうです。この影響もあり、情報の入手方法は以前と大きく変わりました。
イタリアの場合
イタリアも日本と同様に、新聞の発行部数は各紙が右肩下がりです。その減り方は大きく、2013年から2019年までの6年間で印刷数4割減の新聞が多いです。もしくは半分にまで減っている場合もあります。イタリアで一番発行部数の多いコッリエーレ・デッラ・セーラを見てみると、2013年には印刷数の平均が約42万部だったのに対し、2019年には約23万部にまで減りました。
イタリアでは約7割の人がスマートフォンを持っています。日本と同じく、ほとんどと言ってもいいくらいです。イタリアでも、情報の入手方法が新聞よりインターネットを介する方へ変わってきたのでしょう。
ちなみに私のイタリア人の友達は、電話とメールができるだけのおもちゃの様な携帯電話を長く愛用しています。やはり、スマートフォンは高いから買えないと言っていました。イタリアは税金が高い上に、失業率も高い。物価も安くはない為、日本のように小学生がスマートフォンも持っている光景はほとんど見かけません。
イタリア新聞のあれこれ
入手方法
なんと、イタリアでは新聞配達がありません。新聞を読みたいなら、コーヒーを飲むバール(Bar)に行くか、タバッキ(Tabacchi)と呼ばれる路上販売のお店での購入となります。先ほどご紹介した5紙は、ほとんどのタバッキで売られています。また、場所によっては地方紙も同じように並んでいます。価格は1部1,5€~です。日本の新聞と同じくらいか、若干高いくらいです。
朝刊のみ
日本では、朝と夕方の2回新聞が発行されていますが、イタリアには夕刊がありません。朝刊のみの発行です。ですが、ラ・レプッブリカは土曜日だけいつもとは少し違う内容の新聞を発行しています。時事ネタだけでなく、娯楽情報が多くなり、付録が付く場合もあります。
さいごに
新聞だけでなく、雑誌やCDなども同様にインターネットで見たり聞けたりできる時代なので、購入する人が以前と比べ減っています。場所を選ばず利用できる点は便利ですが、本をめくる楽しみやインクの匂いなど懐かしく感じる時もありませんか?久しぶりに紙で活字を読むのも新鮮です。また、イタリア語を勉強している方にとっては、イタリアの新聞も立派な教材です。是非読んでみてください。