ディスカウント・スーパーLidl(リドル)のスニーカーが即完売、"リドル現象"とは?

ディスカウント・スーパーLidl(リドル)のスニーカーが即完売、"リドル現象"とは?

Kanba

イタリアの海沿いの小さな町に住んでいます。イタリアの大学を卒業後、日本の企業のために働いています。天気が良い週末は砂浜で筋トレしたり、庭でオーガニック野菜を作ったりしています。主に穀物・野菜・果物・ナッツ類を食べて暮らしています。

Lidl(リドル)の「リドル ファン コレクション」

 新型コロナウイルスの流行を受けて、イタリア各地で密集を避けるために入店の人数制限などを設けている店がある中、ディスカウント・スーパーであるリドルの店舗では安価なリドル・スニーカーの限定モデルなどを買い求める人々の行列ができました。

新型コロナウイルスの感染リスクがある中での人だかりに、ある種の驚きをもって報じているイタリアのメディアもあるように感じます。

今回、"リドル現象"とも呼ばれるディスカウント・スーパーリドルの限定モデルのスニーカーなど「リドル ファン コレクション(Lidl Fan Collection)」の即完売の動きを見てみます。

ディスカウント・スーパーLidl(リドル)とは

 ディスカウント・スーパーリドルは、ドイツのディスカウントストアでヨーロッパやアメリカなどに展開しています。イタリア国内には、600店舗を越えるリドルがあります。

ディスカウント・スーパーリドルの外観 / リドル・イタリア

また、リドル・イタリアは、イタリアサッカー代表などを組織するイタリアサッカー連盟(FIGC)とパートナーシップを結んでいます。

イタリアサッカー連盟のプレミアムパートナー /リドル・イタリア

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そんなリドルは、ディスカウント・スーパーマーケットですが、食料品以外にも独自の衣料品なども販売しており、2020年11月16日にイタリアのリドルは、限定バージョンのリドル・スニーカーを12.99ユーロ(約1600円)というスニーカーとしては比較的安い価格で売り出しました。

リドル・スニーカー / eBay

il Giornale.itの記事などによると、11月16日の朝から開店を待ち構える人びとの行列が店の外にできたそうで、販売開始から数時間後には限定モデルのスニーカーだけでなくリドルのソックスやスリッパやTシャツなど「リドル ファン コレクション」はすべて売り切れてしまったということです。

"リドル現象"とは何か

"リドル現象"とも呼ばれるこの騒ぎ。高級、有名ブランドでもない町のディスカウント・スーパーの安価なスニーカーになぜこれほどまで熱狂するのか良く分からないという声もあります。

il Giornale.itの記事によると、誰でも自由に情報をネット上に載せられるSNS時代を前提として"リドル現象"の要点を3つあげられるということです。

1.限定モデルの魅力

特に真新しいことではありませんが、限定モデル、限定版という"特別なものであり、限られた少数の人だけが手に入れられる"という魅力がリドルの商品にもありました。

ただ、販売個数を絞っただけでは、消費者が熱狂するほどまでにはなりません。

2.スニーカー・コレクターの存在

そこで、ディスカウント・スーパーのスニーカーで限定モデルという少し奇妙で不思議でニッチな商品という側面。そこにコレクターが食いついたようです。

最近ではスニーカーの修理を主に行う靴の修理屋も数多くあるようで、スニーカーのコレクターの数は多いです。

3.影響力のある人物によるプロモーション

そして、そのニッチな有名ブランドのものでもない商品も影響力がある著名な人物によって宣伝されれば自ずと注目を集めるようになります。

イタリア国内での「リドル ファン コレクション」は、人気男性ラッパーであるFedez(フェデツィ)により宣伝されました。イタリアで販売が開始される前からFedezは独特の色合いのリドル・スニーカーを履いて、その靴を見せびらかすかのようにSNS上にあげていました。

FedezのInstagram

なお、Fedezは、イタリアのファッション・リーダーとも言われる女性Chiara Ferragni(キアラ・フェラーニ)と結婚しています。このカップルの話題がゴシップ誌に出ない日はないというほどの人気です。

ちなみに、コンテ伊首相も新型コロナウイルスの感染予防のためにマスク着用を若者に呼びかけてほしいという意味も込めてFedezに直接電話をしたということです。

それほど注目されている人物によるプロモーションもあって、リドル・スニーカーを所有したいという熱気が高まりました。

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ここまで3つのポイント(限定モデル、コレクター、有名人による宣伝)と見てきましたが、まだこれだけでは"リドル現象"をよく掴めていないように感じます。

さらにこの現象を知るためには、HUFFPOST.itの記事によると、下記の点も見逃すことができないようです。

4SNSによる拡散

Fedezによるプロモーションを見てきましたが、「リドル ファン コレクション」はファッション関係の人々も巻き込んだ販売戦略だったようです。

Instagramなどにリドル・コレクションの写真が大量に投稿され、SNSでその存在を知った人々がリドルのスーパーに買いに走ったという面もあったようです。

SNS上ではリドルがトレンドにあがり、リドル・コレクションが市場を席巻しているかのような状況を作り出していました。

ソーシャルネットワークは、過剰な反応を引き起こす面もあり、商品の美しさではなくて奇妙さやおかしさが注目される可能性もあるようです。"美醜"ではなく、最も見られたもの、最も注目が集まったものが勝つ、という側面もあるように思われます。

5.リドルファンのために

「リドル ファン コレクション」というネーミングからも分かるようにディスカウント・スーパーであるリドルのファンのためのオーダーメイド・コレクションだと謳っています。

リドルは、消費者の傾向や欲求やニーズを注意深く研究してリドルのファッション・コレクションを世に出しているようです。

6.低価格と購入個数制限なし

価格も低く抑え、しかも1人で何個でも購入することができるという販売方法は、出来るだけ早く完売することが目指されており、また、SNS上での拡散も期待されているように見えます。

7.美しくはないが、挑発的で独特なコレクション

リドル・コレクションは、スニーカーだけでなく全体としてコレクターのコレクション・アイテムになりつつあります。

リドルのロゴがプリントされた白いソックス、プラスティック製のスリッパ、赤・青・黄色のリドル・スニーカー、リドルのロゴ入りTシャツ。

リドル・コレクションの美的価値は、品質の中ではなくディスカウント・スーパーの物を身につけるという状況の中にあるようです。

高級ブランドや既存の有名メーカーの商品ではなくディスカウントストアの物を身にまとうという行為自体が価値になっているのかもしれません。

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8.ハイ・ファッションがディスカウント・スタイルを導く

ディスカウント・ファッションブームの土台は、高級ブランドなどのハイ・ファッションによって用意されてきた側面もあります。

イケア(Ikea)のショッピングバッグを想起させるバレンシアガ(BALENCIAGA)の高級バッグ、ヴェトモン(VETEMENTS)による物流会社DHLのTシャツなど有名ブランドが、一種のパロディーのように量販店などの商品を再解釈する動きがあります。

イケアのショッピングバッグに似たバレンシアガのバッグ / バレンシアガ サイト

イケアのショッピングバッグ "フラクタ" / イケア サイト

そして、今はハイ・ファッションのロジックを有名、高級ブランドを経由せずにディスカウント・スーパーのリドルが直接利用しています。このことは、ハイ・ファッションによる商品の価値付けが必要なくなったということを示唆しているようにも見えます。

9.懐かしさを感じるスニーカー

赤と青と黄色のリドルのスニーカーは、1980年代のフィッシャープライス(Fisher-Price / 玩具メーカー)のローラースケートを思い出させるという指摘もあります。

80年代リバイバルとして懐かしく感じる世代もあるということです。

10.コロナ下でのスーパーマーケットの強み

新型コロナウイルスの影響で、高級ブランドなどのショップは緊急措置などによりいつ急にクローズすることになるか分からない状況になってきています。

そんな現状の中でも少なくともスーパーマーケットは入店の人数制限などがあったとしてもオープンしています。そのため、今以上にスーパーが食料品だけでなく衣料品も含めたショッピングの中心となる可能性を秘めているようです。

リドルのファッション・コレクションの動きを今後ますます"スーパーがすべての消費の舞台となる"という面から見ている人々もいます。

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11.消費者が行う一種の投機

リドルのスニーカーの場合、13ユーロ(約1600円)もかかりませんが、オンラインでは150(約18500円)、200ユーロ(約25000円)などの高値で取引されることもあります。

信じられないほどの高額で転売できるチャンスだと思い、リドルの商品を購入する人たちもいるようです。

コロナ下で"今しかない決定的な機会"という感覚を刺激されて、転売目的で一種の投機として買い求める傾向もあるようです。

さいごに

イタリアでの"リドル現象"を見てきましたが、イタリアだけではなくてヨーロッパの他の国々(ドイツ、フランス、フィンランド、ベルギーなど)でもリドルのスニーカーなどは大人気のようです。

"リドル現象"をいろいろと探ってみると、「リドル ファン コレクション」は単なるディスカウント・スーパー独自の衣料品というよりも一つのファッション・ブランドとして運営されているようにも見えます。

今後、ディスカウント・スーパーから生まれたファッション・ブランドとしてどのようにリドル・ブランドが確立されていくのか。

コロナ下のスーパーの強みという点もありますが、もしかしたら「リドル・ショップ」というリドルの衣料品のみを扱う店舗構想などもあるのかもしれません。

ちなみに日本からだと、海外ショッピングサイト「セカイモン」にリドル・スニーカーなどが出品されておりチェックできるようです。

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