ネオレアリズモの誕生ーヴィスコンティ監督初期3作品<その1>

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・コロナ禍だからこそ観ておきたい、戦火の時代を描くネオレアリズモ映画

代表的な作品/『ウンベルトD』/『戦火のかなた』/『無防備都市』/『郵便配達は2度ベルを鳴らす』/『揺れる大地』/『ベリッシマ

・各映画のあらすじ・感想

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イタリアの40−50年代のネオレアリズモ映画をもっと身近に感じてもらおうと、特集をしています。第1回はネオレアリズモ代表作品の特集、第2回はヴィットリオ・デ・シーカ監督映画、第3回、4回にわたりロベルト・ロッセリーニ監督の映画をテーマにしてきましたが、第5回は満を持して、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画を取り上げます。

ヴィスコンティという人

ミラノ・スカラ座の由緒正しき継承者

マリア・カラスとは大の仲良しであったとか。

ヴィスコンティは、日本で最も人気なイタリア映画監督の一人だと思います。彼の撮る美しい映像に世界中の人々が魅了されました。作品としては『山猫』や『ベニスに死す』が一番有名でしょうか。これらの代表作のイメージから、ヴィスコンティの映画は貴族や上流階級を描く豪華絢爛物語ばかりと思っている人が多いかもしれません。

ご存知の方も多いと思いますが、彼はミラノにある名門貴族ヴィスコンティ家の跡取りです。そのため幼少期は14世紀に建てられたお城で育ったそうです。日本人的感覚ではなかなか想像しにくいですよね。しかしイタリアはおそらく予想以上に、貴族出身者という人がおり、社会ステータスとして重要になっています(ちなみに撮影現場では「ヴィスコンティ伯爵」と呼ばれていたそうです)。

さて、ヴィスコンティ家というのは実はスカラ座の創始者として有名な音楽一家でした。ルキノの母方の祖父は作曲家でヴェルディと親友であったそうです。彼は舞台芸術の血が流れた人でありました。

そのため、彼は世界の名だたる映画監督ではありますが、作品本数は生涯で長編14本、短編5本とそれほど多くありません。それは彼は舞台・オペラの演出家としての功績が多いからです。反対にイタリアの映画監督にしては珍しく、テレビの仕事をほとんど受けていません(フェリーニなどTVやCMの仕事は多いです)。彼はそれだけ舞台畑の人であったということでしょう。

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そういう視点で見てみると、彼の作品は初期から後期に至るまで、なんとオペラ作品に影響を大いに受けていることか。このように彼の映画は彼を知れば知るほど、こういう深みにはまる特徴があると思います。

ジャン・ルノワールの助手からのスタート

ジャン・ルノアール監督作「ピクニック」で実は助監督を務めていたヴィスコンティ

そんな血統付き舞台芸術一家出身のルキノが、そもそも映画の世界に踏み込んだ理由はなんだったのでしょうか。彼は若い時に各国を旅し、パリでジャン・コクトーココ・シャネルなどの文化人と交流をするようになり、そのコミュニティで影響を受けたと言われています。

それから映画の仕事を自力で探していましたがなかなか見つからず、同情したココ・シャネルがこれまた巨匠のジャン・ルノワールにルキノを紹介し、彼はルノワールの助手、助監督などを勤め映画の世界に本格的に入っていきました。今思うとなんて豪華なコネクションでしょう。

ジャン・ルノワールは父親の影響からか、まさに印象派の絵のような映画を撮る人です。個人的には、ヴィスコンティの映画にルノワールらしさは感じませんが、彼の作品の絵画のような構成美は、やはりルノワールの影響をひしひしと感じます。

ヴィスコンティ映画の変遷

虜になるタッジオの美しさ「ベニスに死す」

『山猫』や『ベニスに死す』に強いイメージを持たれている方は、ヴィスコンティの初期の映画に華やかさがなく、むしろ泥臭さが前面に出ていることに驚かれるかも知れません。初期作品、デビュー作『郵便配達は2度ベルを鳴らす』と『揺れる大地』は、彼のネオレアリズモ時代と言えます。

その後『ベリッシマ』からだんだんとネオレアリズモの傾向から抜け出て、『若者のすべて』『山猫』につながります。これらの映画はイタリア国統一や南北格差についてテーマにしています。そしてドイツ3部作。『地獄に落ちた勇者ども』やトーマス・マンの小説が原作の『ベニスに死す』そして歴史的大作『ルードヴィヒ』などを完成させます。

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その後イタリアへの帰還を果たし『家族の肖像』そして『イノセント』が遺作となります。彼は最後まで新作を考え、制作に意欲的であったと言われています。

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ヴィスコンティ・ネオレアリズモ映画3作

『郵便配達は2度ベルを鳴らす』(原題:Ossessione) 1942年

アンナ・マニャーニの代役だった、クララ・カラマイは不気味な美しさ。サスペリア2にも出ている。

あらすじ

ポー川付近で小さなTrattoriaを営むジョバンナのもとに、ジーノという浮浪者が現れる。彼女には年老いた別に愛してもいない夫がおり、それにひきかえジーノの若々しさ、精悍な体つきなど全てにジョバンナは一目惚れしてしまう。

「あの浮浪者が食い逃げをした」と夫に嘘をつき、ジーノを呼び戻し、夫が外出している間に二人は関係を持ってしまう。数日後ジーノはジョバンナへ、共に家出をする話を持ちかけるが、結局先の見えない生活はごめんだと、ジョバンナは一人元の家に帰ってしまう。

ジーノはまた放浪の旅に出るが、ジョバンナのことを思い返さない日はなかった。ある日旅先(アンコーナ)でジョバンナと再会し二人の情熱は再燃、夫殺しを企むが・・・。

解説

ネオレアリズモはここから始まった

デビュー作『郵便配達は2度ベルを鳴らす』はタイトルだけでもあまりにも有名なので、ご存知の方も多いかもしれません。この映画は、アメリカのジェイムス・Mケインの同名(”The Postman Always Rings Twice”)の小説が原作です。しかし彼は制作許可を得ていなかったこともあり、「Ossesione」というタイトルで公開します。(つまり邦題は原作の題名に準じている)

実はこの作品の映画化をヴィスコンティに勧めたのは、かつての師匠であったジャン・ルノワールでした。「読んでごらん、きっと君の興味をひくよ」とフランス語訳版を渡されたそうです。

ヴィスコンティはすでに他の小説を元にした映画の脚本を準備していたのですが、その本が当時の文化省の検閲にひっかかってしまい、映画化がかないませんでした。

彼はこの小説が気に入り、舞台をアメリカからイタリアのポー川付近(フェラーラ付近、鰻がとれた話などが出るので、おそらくコマッキオ近辺)に置き換え、すべて現地ロケ撮影で行われました。この撮影のスタイル、そして人間描写の細かさ、リアルさが当時としては大変珍しく、この作品がきっかけでのちに”ネオレアリズモ”という言葉が生まれることになります。

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やはり彼はジャン・ルノワールの自然主義リアリズムを継承したのでしょう。ヴィスコンティは「ロッセリーニの『防衛都市』は完全に私の『Ossesione』から生まれている。」と言い切っています。まさにこの作品からネオレアリズモは始まったのです。

とはいえ、この映画は典型的なネオレアリズモ映画とは異なると思います。ネオレアリズモという言葉が誕生したきっかけである映画であったとしても、ネオレアリズモが確立した映画ではありません。

貧困が主人公の愛の妨げになっているし、貧困が救いようのない悪を呼び起こす様はよくネオレアリズモでも描かれますが、それにしてもあまりにもメロドラマです。この点が少し『防衛都市』に似通っている点なのかもしれません。

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映画封切り後2日で上映禁止に

アンコーナのドゥオモをバックに。今のアンコーナの街と比べてみるのもこの映画の面白さ。

またこのメロドラマ犯罪ストーリーに隠れてしまいがちですが、同性愛的観点も含まれている点にすでにヴィスコンティらしさを感じます。当時は今以上に同性愛の趣向は公にできないことでした。スパニョーロというジーノを助ける男が、二人で宿に泊まった時に、電気を消してジーノが寝静まってからマッチを灯し、ジーノの体をじっと見つめる場面があります。

面と向かって見ることができない秘めたる思いだからです。このこまやかな描写が私たちの胸を熱くします。このシーンは二人の影に注目してみるとまた面白いです。それぞれの心情を語っているようで、よく計算されている場面です。

この作品が彼にとってのデビュー作となりますが、しかしこの映画が封切られた2日後にはやはり検閲にひっかかり、上映禁止となってしまいました。内容が不倫の話であったし、少しホモセクシャル的な要素も感じられるので当時は無理もないことでしょう。

しかし彼はネガのコピーを密かにもっていたので、その後世界にこの作品を羽ばたかせることができました。それをまずやってのけたヴィスコンティはさすがの一言です。日本では1979年に公開、ヴィスコンティはすでに亡き人に、そしてイタリアでの初公開日から約30年もの時日が経っていました。

残り二作は・・・

次はヴィスコンティの中ではかなり珍しいタイプの作品を紹介していきたいと思います。ネオレアリズモの極みといってもいいでしょう。では続きは次の記事までお楽しみに。

他の2作品はこの記事で!
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Sayo

イタリア人の夫と息子と東京暮らし。日本にいながらもイタリアの食卓を再現したくて研究中。またイタリアの小説や映画を日本にもっと普及できればと、日々記事を書いています。

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