近年、日本で変わりつつある”性教育”。中学生、高校生の時に保健体育の授業で勉強しましたよね?私の場合、大事な授業なのに恥じらいの方が勝り、あまり真剣に聞いていなかった気がします。皆さんはいかがでしたでしょうか?
子を持つ親になり、自分が教えていく立場になったと気づいたとき、とても不安に思いました。海外の性教育は日本より進んでいるとニュースで見ましたが、イタリアはどうでしょうか?今回はイタリアの性教育事情についてご紹介します。
イタリアの性教育事情
学校
学校により異なりますが、小学5年生の理科の授業で人体について学ぶ子供が多いです。日本では保健体育の授業で学ぶ人が多いと思いますが、イタリアでは科学の授業で解剖学の内容に近いです。男女の体の違いや生殖器等を勉強しますが、イタリアの学校は各先生によって学習スタイルが違います。ですので、教科書に載っていることだけを教える先生や親を交えて意見交換会を行う学校など様々です。
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家庭
家庭での性教育については、日本と同じように積極的ではありません。親が進んで教えるのではなく、聞かれたら子供に分かるように答えるだけ。家庭で教えるという認識は低いようです。家庭環境による違いもあるので、性教育を家庭に任せることに反対の声も多いです。
背景
性教育はタブー?
ヨーロッパでは、性教育が学習カリキュラムに入っていない国が7か国あります。なんと、その一つはイタリアです。(その他の国は、スペイン、ルーマニア、キプロス、リトアニア、ポーランド、ブルガリア)上記以外の国では、他の教科と同じ様に性について勉強しています。
政府へは性教育を教育カリキュラムに入れるべきだという声も多いですが、反対派が上回って未だに義務教育にはなっていません。この論争は1975年の法案提出から30年以上に渡って議論されてます。理由の一つは宗教にも関係があり、同性愛や中絶を認めていないカトリック教会の強い反対があった為でもあります。
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なぜ必要なのか?
そもそも、なぜ性教育が幼児期から必要なのでしょうか?思春期に入る前に、性について学ぶ機会がないと知識のないまま性行為に繋がる可能性が高いと言われています。また、5歳くらいで自身の体への興味が湧いたり、男の子と女の子でなぜ体が違うのか?
などたくさんの疑問を抱くようになります。その時に、親や先生がしっかりと説明をしなければいけません。なぜ体の仕組みが男女で違うのか?なぜ体を大事にしなければいけないのか?自分の体を守るため、体の大事な場所は誰にも触られてはいけないと少しずつ教えていくことが、幼児、思春期の子供たちを巻き込む事件から守ることに繋がります。
また、性教育には生殖器や妊娠、出産の知識だけではありません。人権やジェンダー、多様性についても含まれ、包括的教育と呼ばれます。UNESCOの国際連合教育科学文化機関が作成した包括的教育の国際セクシュアリティ教育ガイダンスには、上位以外に価値観や文化、暴力についての指針も含まれています。
適切なカリキュラムで性教育を行った場合、科学的に証明されていることがあります。それは、初交年齢が遅くなり、性交渉の人数や頻度が減る。また、避妊具の使用が増えるなどです。
オランダは幼児期から性教育を行っています。最初はスキンシップの在り方や拒否できるかどうかから始まります。小学生では避妊具の付け方を男女ともに習います。(私は高校生のときに学校で習いました)早い年齢での性教育により、オランダでの望まない妊娠の数は世界平均を下回っています。
進まない性教育
学校など大勢の生徒へ説明する場合は、自分の体験や思考ではなく、科学的根拠に基づいた情報でなければいけません。つまり、教師が性教育について学び理解しなければ子供たちに教えていくことは難しいです。
また、世界経済フォーラムが公表しているジェンダーギャップ指数というものがあります。これは、男女の格差を経済、政治、教育、健康の4つの部門で指数化したものです。153ヵ国のうちイタリアは76位。一方、日本は121位でG7で最下位でした。イタリアは真ん中くらいの位置なのであまり悪くないように思えますが、ヨーロッパ主要国はほとんどが15位以内に入っています。そうみると、イタリアの順位はとても低いです。ジェンダー指数が性教育と直結しているわけではありませんが、性教育を通しジェンダーへの理解、知識をつけることが偏見や差別を無くしていく最初の一歩になることは確かです。イタリアの順位を見る限り、性教育が進んでいるとは言えません。
さいごに
いかがでしたでしょうか?”海外”や”ヨーロッパ”と聞くと先進国というイメージが先行してしまいますが、イタリアの性教育については日本と同じく後進国です。国によって違う考え方はあっても”性教育”は全世界共通で学ばなければいけない教育であると思いました。
子供にどう伝えるべきか難しいことですが、子供向けの性教育の絵本はたくさん出版されています。家族で少しづつ大切な体を守る情報を伝えていきたいですね。
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参照
- Focus Junior『イタリアの性教育』
- FRau『オランダの性教育』
- Yahoo!ニュース『包括的教育とは』
- 男女共同参画局『ジェンダーギャップ指数2020』